今週の『GIANT KILLING』#199
2011.02.17 22:46
リーグ戦第20節の山形戦。
試合は、後半に入りETUが1点をリード。
試合展開も、ETU有利の流れとなっていますが・・・、山形にも復調の気配が感じられ、いくらETUが有利と言っても2点目を奪いきれない状況が続くとなれば・・・?
と、いった中で、試合は進んでいます。
・・・
「いいか?
パスのつながりが悪い向こうはメンデスを一列上げてきて…
実質3バックになってる
これはとにかく1点が欲しい山形の攻撃的なプランだ!
もちろん守備時にサイドとボランチがケアしてくるが…
最終ラインの両脇への対応は確実に遅れる!
わかるな!? 攻めるのはサイドからだ
ピッチをワイドに使って山形の守備陣をゴール前から引きずり出せ!」
メンデスを最終ラインから1列前のポジションへ移してきた山形に対し、夏木に世良、堀田に村越といったメンバーたちに指示を送る達海。
「よぉ――し
バチーンと決めてこいよお前ら――!」
そうして、松ちゃんも選手たちを送り出します。
しかし、松ちゃんは、ETUにとって理想的な試合展開で進んでいる状況に対し、今のうちに2点目を取っておかないと苦しくなるとの見解を示す達海に・・・
「おほっ
前半はあんなにグダグダしてたのに
後半は勝負師って顔してますな――監督!
今のままでも十分優勢じゃないですか
このまま押し通せれば後半は危なげもなく・・・」
茶化したような言い方をしたばかりか、この試合をあまりに楽観視しているような発言をしてしまいます。
そんな松ちゃんの発言に、指で強引に目を見開かせて、「その目は節穴かい松ちゃん」と問いかける達海。
そして、半ば呆れ気味に・・・
「松ちゃん、ウチに不利な点がひとつあんの忘れてない?」
と言う達海に、松ちゃんは何のことを言っているのか理解できないといった様子を見せていました。
・・・
場面は変わり山形ベンチ。
「選手を信じる… そうだ……」
試合を見つめる佐倉は、ひとり考えていました・・・。
自分と達海の差、かつてスター選手であった達海と部活ですら続けられなかった自分。達海なら、自らの経験をもとにピッチに立っている選手たちの気持ちを理解できるかもしれないけど、自分はそうはいかない・・・
(私にとって選手達は……
自分が到底辿り着けなかったプロという高みにいる者達……
ボールも上手く蹴れなかった私には尊敬に値する存在なのだ…
そんな彼等の限界を… 私ごときが決めてどうする…
信じろ
そしてリスペクトを持って彼らをサポートし…
より勝利への確率を高めろ…!
それが私がここにいる… 最大の理由ではないか…!)
そうして、佐倉は、自分の立ち位置を改めて理解し、自分なりに監督としての仕事を全うしようと決意をしたかのように見えます。
その頃、ピッチの中の小森はとにかく自分がボールを受けられるようにするため、村越のマークを振り切ろうと動き、村田からパスを受けますが・・・、村越も小森の動きにしっかりとついていき、小森に自由にパスを出させません。
・・・しかし、そのボールを拾ったのは、山形の瀬古。
ガムシャラしか売りのないという瀬古は、球際では負けてられないと、闘志を見せ、それに対し堀田は、後半になってもまったく衰えることのない瀬古の運動量に手を焼いている様子でした。そして、堀田は、瀬古に振り切られそうになったところをファールで止めていました。
そんな様子を見ていた達海は、堀田と王子の名を呼び、何やら手でジェスチャーして指示を送っていました。
そんな達海の素早い対応に、佐倉も戦術ボードを使って、ピッチの動きを予測し、すかさずケン様からメンデスへ何やら伝言をしていました。
・・・
場面は変わり、記者席の藤澤さん。
「やはり危惧している……!?
達海もあのことを
相手を崩せている今の時間帯に
勝負を決める2点目を取らないと…
ETUにとって後半どんどん苦しい展開になることもあり得る……!」
自分(藤澤さん)が先週号のラストシーンで思った通りの展開かもしれないと、試合の現状を見て、そう考えていました。
ETUが最後まで試合の主導権を握り続けるためにも、優位に試合を進めることができている今のうちに追加点が必要、そのような見解を藤澤さんは示していました。
それは、ETUの選手たちにとっても百も承知。
選手たちは、達海の指示通り、3バック気味になっている山形最終ラインのサイドのスペースを使って、攻撃を仕掛けようとしていきます。
世良が左サイド大きく開いて裏のスペースに走り込み、そこに王子がパスを供給していてきます。
しかし、メンデスがポジションを前へ移している今、山形の最終ラインの中心を司る大倉は、サイドを突破されたとしてもゴール前さえしっかり固めていれば問題ないと考えてプレーしていました。その背景には、佐倉のかけてくれた言葉が強みになっているようです。
(俺達は……
あの人が監督になって… ここまで勝てるようになったんだ…!)
世良が左サイドからクロスを入れますが、大倉は、夏木に競り勝ちシュートを打たせません。
そして、そのこぼれ球を村田が拾ってメンデスへ。
メンデスは、自らドリブルで持って上がって・・・、今度は山形が攻撃を仕掛けていこうとします。
そして、メンデスは、小森へ・・・ではなく、右サイドに開いた位置にいたケン様へパスを送ります。
そこには清川がいて、すかさず、ケン様にマークにつこうとしますが、ケン様は清川に仕掛けるようなことはせず、シンプルにパスを出します。
そのパスの送り先は・・・、ケン様へパスを出した後、その後も足を止めずj前へ上がってきていたメンデスでした。
再び、自らボールを持って上がるメンデス。
それを阻止するために立ちはだかったのは・・・、王子でした。
「嫌だなぁ
でもこれ止めないとマズイよねぇ」
守備が嫌いな王子でさえも、今置かれている状況を理解し、守備に入ろうとしています。
・・・今、この状況を作り出したのは、先程、ケン様からメンデスへの伝言を佐倉が指示したからこそ。
(やはり…!
ETUは瀬古のハードワークを抑え込むため堀田の位置を上げ…
ジーノをボランチに下げた
いくらメンデスを上げることがリスキーだとしても…
ジーノが相手なら勝算はある…!)
まさに、佐倉の読み通りの状況となっていきます。
そして、王子とメンデスが1対1の状況を迎える中、そんな状況にしびれを切らした村越が、小森のマークを外し、王子のフォローに入ろうとします。
その瞬間をメンデスは見逃しませんでした。
村越のマークが外れたことにより、フリーでボールを受けられるようになった小森にメンデスから送られてしまい・・・
山形が、大きなチャンスを迎えそうになったところで、今週はここまでとなります。
■ 私的雑感
今週は、今は優位に試合を進められているけど何とか2点目を早く取りたいと戦うETUと、まずは同点に追いつくために何とか攻撃の糸口を見出そうとする山形、その両者の攻防が両監督の采配面も含めて、見応えがあって面白かったなと思いました。
まぁ、ひとりばかり危機意識に欠けている人もいましたが、基本的にシリアスに進んでいった回でした。
今週、個人的に好きだったのが、サックラーの心理描写。
サックラーの選手たちをリスペクトしようとする気持ちを描いた部分が良かったなぁと。
自分の持ち合わせていないものを持っている人たちをリスペクトしようとする気持ち。これって、すごく大切なことだなって思うんですよ。自分もサッカー観ていて、やっぱり好きであるがゆえに、ちょっと感情的に物を見てしまう部分ももあるんだけど、リスペクトする気持ち、これは絶対に忘れないでいたいなって思います。ジャイキリだと、神戸戦にも審判リスペクトの話がありましたけど、あれもそうですよね。
で、監督のサックラーばかりでなく、変化を見せ始めた小森に、大倉といった選手たちのサックラーに対する思いの部分を感じられる描写も良かったなぁと。サックラーは、選手経験がないことが、ひとつのコンプレックスであるかもしれないんだけど、サックラーにはサックラーだからこそできることがあって、それがまたリスペクトにつながっている。お互いに信じて戦う、そういう関係性っていいなって思うのです。
逆に、ETU側の話をしていくと、コシさんが・・・っていう・・・。
そのシーンは、まるで、「哀れなミック」を思い出してしまうなという・・・。
言い方は良くないかもなのですが、王子の守備を信用していなかったがゆえの行動に見えてしまいますし・・・。個人的には、王子もこの状況を理解していたわけだし、信じてあげてほしかったような気もするかなぁと・・・。
けど、もちろん、コシさんのひとつの行動だけが悪かったと言うつもりは全然ないです。
メンデスが上がってくることに対するケアがチームとしてできてなかったようにも見えますし、常に相手を出し抜こうとしながら戦っている中、90分間まったく判断ミスをしないってこともないでしょうから。
それに、小森にボールが渡ったってだけで、まだ失点してしまったわけでもないですし、ここから佐野を中心にゴールを守ってくれると信じていましょう。自分の応援するチームのために戦ってくれる選手たちをリスペクトしないと、ですよね!
※
さて、来週以降についてのお話ですが・・・
ら・・・、来週、いや、再来週までジャイキリの連載はお休みとなりますorz
次回は、連載200回記念で表紙&巻頭カラーとなっているわけですが、まさかの、しかもジャイキリ連載初となる休載ということになります。
でも、2週の休載と言っても、ツジトモ先生は、2週間完全なオフになるってわけではないでしょうし、というか、これまで連載4年以上、休みなしでやってきたこと自体すごいことです。ジャイキリの連載がないのは本当に残念で残念で仕方のないことなんですけど、次ジャイキリが掲載される3月10を楽しみに待つとしましょう!
小森に、仕事ができる状態でボールが渡って、そこからどんなプレーを見せてくれるのか。
あー、サッカーファン的な視点からすれば、小森の素晴らしいプレーを見てみたいですし、ETUファン的な視点からすれば、それによって同点にされてしまったら困るしで・・・、まぁ、何やら複雑な思いが絡み合っていますが、そんな気持ちを3週間も抱えるのかと思ってしまうのですが(苦笑)、またジャイキリを読み返しながら待っていようと思います。
タグ : GIANT-KILLING
コメント
えっ??
コメントありがとうございます。
もうすでに読まれてしまったかもですが、
コシさんは、ひとつの事実として、
相手のキーマンである小森のマークを外すということをしてしまいました。
ただ、それは、普段守備をサボる王子のフォローという形であり、
だから、コシさんの判断を一概にやってしまったと言えるかというと・・・
そのあたりは、ご自身で読んでいただくしか・・・
ですが、まだ小森にいい形でボールが渡ったというだけで、
まだETUの失点につながったというわけではありません。
他の選手たちが守ってくれると信じて、
次は3週間先になってしまいますが、待つとしましょう。
サックラーの覚悟、カッコイイです。
監督としてのタッツミーとのコントラストが
とても面白く描かれてますね。
ジーノは何か策があっての事なのかな、
コシさんが動く事を考えて、でもやっぱり守備がダメなのか?
何とも言えぬ「不安と期待」をかもしたままの、2週間のお休み。
「帝国の逆襲」を見終わって「ジェダイの帰還」まで
数年間待たされたときの気持ちと同じです。
コメントありがとうございます。
似たような価値観を持っているってところから、
両者の違った部分を描いていってるところが面白いと思います。
名プレーヤーとしての実績がなくても、
フットボールに対する情熱があれば、壁を越えていくことが出来る。
自分も高校時代はサックラーと同じようなサッカーへの接し方をしていたので、
そういう意味でも、ETUには勝ってほしいけれど、
サックラーにも頑張ってほしいなって思ってます。
ここにきての2週間のお休みは、
なんとも辛いところでありますが、
ツジトモ先生にはやるべく良い状態で作品を描いてほしいと思いますし、
もやもや感は残りますけど、おとなしく待つとしましょう!
どうもはじめまして。
コメントありがとうございます。
王子の熱くなった姿・・・
表面的にそれを見せることはないのかなと思ってます。
というか、私は王子はそれでいいんじゃないかなと。
けど、たまにサボるところはあるかもしれないけれど、
なんだかんだ言いながらも王子はETUのために戦っていると思うので、
“熱い”とは違うかもしれないのですが、
今のチームに対する王子なりの思い入れはあるんじゃないかなって思っています。
熱いところを見せてくれるというのなら、
見てみたいって気持ちも、もちろんありますけどね。
メンデスと王子の対決ちょっと観てみたかったですけど(笑)
しかし松ちゃん毎回笑わせてくれます(笑)
コメントありがとうございます。
シーズンオフを経て、いよいよJリーグが開幕。
楽しい季節がやってきました!
ジャイキリの連載もようやく再開ということで
(2週の空白と言えど、本当に長く感じられます)、
ちょうど200回記念ともなりますし、
こちらの方も楽しみな気持ちでいっぱいです。
王子とメンデスのマッチアップは、私も見てみたかったです。
松ちゃんの方は、相変わらず・・・ですね(笑
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わざとではなく??
まだ今週号は読んでいないのですが、
なにやら読むのがこわいです。。。