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ひとりの"サッカー好き"が書く、主観的なサッカーマンガの読書日記。『GIANT KILLING』と『ANGEL VOICE』を猛烈にプッシュ中!

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『ANGEL VOICE 18』 / 古谷野孝雄 

2010.10.21 00:34




※ネタバレとなりうる要素を含んでいますのでご注意ください




少し遅くなってしまいましたが、『ANGEL VOICE』18巻の感想です。

新人大会の3回戦に挑む市蘭サッカー部。
その対戦相手とは、冬の選手権の県予選で一度勝利したことのある美浜学園幕張。

しかし、今回は、前回対戦した時と違った布陣で戦う美幕に市蘭は後手を踏み、前半のうちから2点のリードを許してしまう展開に。

そこでまずは1点を返すため、黒木は、尾上と百瀬のポジションを入れ替え、美幕ディフェンスが戸惑う一瞬の隙を狙わせるという策に出ますが・・・、果たしてこの作戦は功を奏すのでしょうか?

18巻では、美幕戦の決着、そして、その試合結果やチームの戦いぶりがチームの崩壊危機へと招く・・・といった展開が描かれていきます。

今回は、大きく分けると美幕戦の試合描写と敗れた試合後の描写の2つになるのですが、その中でも語りたいこと、見どころがいろいろありすぎる・・・。まぁ、とにかく、今回も登場人物それぞれの想いを濃密に見せてくれていると思います。敗れるシチュエーションがこれまでと違うタイプのものなためか、特に人物の心理描写の深さが感じられたような気がします。

まず美浜戦の描写で言えば、17巻からの続きで、ポジションチェンジで相手守備陣のギャップを作り、そのたったワンチャンスを生かして1点を返すゴールシーンがひとつと、1点を奪った後さらに畳み掛けるように尾上のポジションを彼の心から望んだ左サイドへと移行させ同点を狙いに行く描写、このふたつが大きな見どころとなっていきます。

市蘭1点目のシーンは、黒木の作戦通りに美幕守備陣の混乱を誘うことに成功し、そのワンチャンスをしっかり生かしてしっかりゴールを決めた、これが素晴らしかったと思います。

美幕の守備が崩れるところを丹念に描いたサッカー描写も良いですし、何と言っても、チャンスにワンテンポ遅れた状態でゴール前に飛び込んでくる成田が・・・

「こっ…ここはっ… オレだろ!!」

と、持ち前の驚異的なスピードを生かしまさかのタイミングで、ゴール前に入り込んだ乾を狙ったラストパスをかっさらうように目の前に飛び込みゴールを奪うシーンは、胸を熱くさせてくれるものがありました!

GKとの1対1はいとも簡単に外してしまいけれど、こういうギリギリの飛び込みで奪うゴールには強い・・・、いかにも成田らしいゴールが良かったですね(ただ、この後の展開を思うとアレなのですが・・・)。

そして、同点ゴールを狙いに行くシーン。
ここでは、複数の人物の思惑が絡んでいく描写が、大きなドラマを見せていくことになります。

1点を奪った後、黒木はすぐさま、さらなるポジションチェンジを命じ、ついに尾上は念願かなって左サイドでプレーすることを手に入れます。

尾上が左サイドでプレーを望む理由は、成田のアシスト役ではなく自分でゴールを決めるため。

左サイドにポジションを移した尾上はさっそく特にのミドルシュートを放ちリズムをつかもうとしていきますが、しかし、いくら精度の高いミドルシュートを放てる尾上とはいえ、よりゴールに近い位置でボールを受けられるポジションにいる成田の方が得点の確率が高いと考えるのは道理。成田ばかりか、乾にまでそういう状況ならば成田に渡せと言われ、悔しさを滲ませる尾上。

そうしているうちに、運命の時は訪れます。

両チーム決定機を作れないまま試合は経過し、後半45分近くになった時間帯。

勝利を意識した美幕が、リスクを負わず、時間を使うためにボールを回し始めたところを百瀬がパスカット。

しかし、この時、百瀬の右足には激痛が!

それでも、百瀬は、無理をするなと言う黒木の警告を無視して、ボールを前へと運んでいきます。

なんのために百瀬はボールを前へと進めていくのか?

それはもちろん、チームの勝利のため。

苦痛に顔をゆがめながらも、ボールを前をと運び続ける百瀬は、前方の尾上へとパスを通します。

「勝つぞ!!」

この時の、バランス崩し倒れながらも最後の気力を振り絞り、強烈な勝利へのメッセージをパスを送る百瀬の執念の描写には、本当に胸を熱くさせられます。

そんな百瀬の想いが託されたボールを受け取った尾上は、シュートコースを相手に消されているものの、彼が手に入れていたもうひとつの武器、“クライフターン”を使って相手をかわし、左サイドから中央へと切れ込んで行きます。

そこで乾が相手のマークをひきつけてサイドに流れたことにより中央が空き、尾上のシュートコースができ始めるのですが・・・

そんなところに見えたのは、ゴール前で“フリー”でいる成田の姿でした。

ここで尾上は葛藤します。

点を取れるのは、成田や乾だけじゃない。
自分だって、ミドルシュートを磨き続けて精度を上げてきた。
それもそもシュートを打つために、左サイドでプレーすることを望み続けてきたんだ。

ゴールに近い成田に渡す方が、ミドルシュートを打つよりも精度が高い。

そんな先程の乾の言葉が頭をよぎるも、それでもそんな雑念を振り払うかのように・・・

「オレが決める!!
オレが決める!!
オレが決める…」

自分のエゴイスティックな意志を貫き通そうとする尾上。

けど、そんな尾上の脳内に、もうひとつの言葉が響き渡ります。

「勝つぞ!!」

・・・それは、チームの勝利のために、足を痛めながらもボールを前に運び続け、最後は苦痛のあまり鬼のような形相になりながらも自分にパスを送った、百瀬の強いメッセージでした。

この百瀬の言葉には尾上の意志もぐらつき、自らシュートを打つか、ラストパスを送り成田にシュートを託すのか。

「あああぁ――――!!!
あああぁ――――っ!!!」

究極の選択を迫られ、強く葛藤を見せますが・・・

「勝つ……ためだ!!」

最終的には、チームの勝利のため、ゴールの確率の方、つまりは成田へのパスを選択した尾上。

このあたりのシーンを描くのにまるまる1話を使っているのですが、この百瀬と尾上の心理描写を描いた回は、非常に見応えのあるものでした。これは、実際に、作画とテキスト、彼ら心情を汲み取りながら読んでいくほどに面白さが感じられるもので、とにかく読んでもらうしかないってところでもありますね。彼らの気迫を感じることができはず。

まぁ、これだけボールに思いが込められても、ボールを受ける側にその意識(覚悟と言うべき?)が足りなければ、意図も簡単にシュートを外してしまう・・・。

このあっさりと外れていくシュートシーンも、古谷野先生の作画の空白感とこれによって試合に敗れたという事実も手伝って、読んでいて呆然としてしまいました。こういう描写もまた、読む者の感情を動かすと言う意味では、見どころであると思います・・・。

そして、ここからが試合後の描写となってくわけですが・・・

この敗戦が、次なる市蘭サッカー部のドラマへとつながっていくのです。

「取れる点を取らなかったことで――
負ける試合もある」

これは他のスポーツにも言えることでもありますが、1点の重みの大きいサッカーにとっては、特にこの乾の言葉はひとつの真理だと思います。

そうして、市蘭サッカー部は美幕に敗れました・・・。

強く葛藤したうえでシュートを成田に託した尾上はいきなり殴りかかるほどの怒りを見せ、(他校よりも伸びしろが大きくどこよりも成長したはずの自分たちが)一度勝利した相手に敗れた事実を受け止め切れない脇坂、乾の個人技なら何とかできたのでは・・・と、他力本願な姿勢を見せる二宮&万代・・・。

しかし、そんな彼らの行動に、乾のフラストレーションは限界を超え・・・

「これ以上ストレスが溜まるようなことを言ってんじゃねえよ
おめえら全員…… 物足りねえ」

チームの崩壊危機を招く一言を発してしまいます。

もちろん、これには乾なりの純然たる想いがあるからなわけなのですが、そのあたりの描写もこの作品らしいニヤリをさせてくれます。

ただ、このエピソードの解決は、18巻の最後の方から描かれ始めますが、19巻にも続いていくところなので、それはまた次の機会にでも。

しかし、また別な意味で、市蘭サッカー部崩壊の危機となるエピソードがあります。

そこでは、試合に敗れて殺気立つ市蘭メンバーたちが一触即発でケンカを起こしてしまいそうになりますが、なぜかその場に偶然居合わせた尋猶の強さ(カリスマ)に頼るのではなく・・・

「道を空けなさい!!」

市蘭サッカー部を守るために取った麻衣の勇気ある行動。
そして、怖いという気持ちを押し切ってまで、そんな行動に走らせた麻衣の市蘭サッカー部に対する想いが、その場を動かしていく・・・という展開に心揺さぶられるものがありました。勇気を振り絞った後に、力が抜けて、思わず涙を流してしまう描写も含めて、ここもじっくりと読んでほしいポイントです。

あとは、美幕戦で足を痛めたにもかかわらず、勝利への執念を見せていた百瀬が疲労骨折していたという事実。ギャグ描写もありましたが、この時ばかりは、報告する百瀬の落ち込んだ表情から読み取れるその心情を察すると悲しさがこみ上げてくるものがありました。今後の布石となる麻衣の気になる描写も含めて・・・。

ここまで延々と書いてきましたが、つまりは、18巻を迎えた『ANGEL VOICE』もいつもと変わらず、時に効果的なギャグ描写を織り交ぜながらもじっくりと読ませるストーリーで私たちの心を揺さぶってくれる。

ブレることなく読ませる物語を提供し続けてくれる古谷野先生の才能は、今回も本当半端ないなということですね。

18巻は、全体的に前向きな話が描かれた巻とは言えないんですけど、いや、そういう巻だからこそ、個々のキャラクターの心情というのが心に響いた部分もあったような気がします。

やっぱり、『ANGEL VOICE』は面白いです。

18巻まで来ると、なかなか未読の方には簡単に勧めにくくなってきますが、今連載中の作品の中でも、丁寧に読ませてくれる物語という点では間違いなくトップクラスですし、サッカー描写も躍動感という部分では劣りますがこれも地味ながらも丁寧に描いています。

着実に評価はされてきているのだけれど、個人的には本当に面白いと思っているので、もっともっと多くの人に読まれてほしいなと願ってます。なので、未読の方は、是非とも一度チェックしてみていただければなぁと思います。

さて、続く19巻ですが、先程書いた乾の一言が発端となった話の顛末がどうなっていくのか。そして、予告にもある通り、すべてが前向きな話というわけにはいかないのですが、『ANGEL VOICE』らしい良い話も見せてくれるので、連載も読んでますが単行本としてまたじっくりと読み返したいなと思っています。

□ 掲載

第151話~第159話
週刊少年チャンピオン2010年27号~35号
乾が成田を味方に入れ他の部員たちと勝負、華麗なループシュートを決めるところまで収録

タグ : ANGEL-VOICE

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