今週の『GIANT KILLING』#172
2010.07.22 22:49
最新単行本16巻&ジャイキリextra vol.2は、いよいよ明日7月23日発売になります!
そういえば、15巻の感想を書いてないままだったんですけど、まだどうしようか決めてないのですが、多分、15巻と16巻は同時にあげるって形になるかと思います。
まぁ、16巻は一番悲しいところを読むことになるのですが、でも表紙は次なる展開を示す明るいものになっているのがいいですよね。ムック本第2弾の再掲される回が、あのマスコットたちのスペシャルマッチの回になっているのもバランスを取っているのかもしれませんね。
記事はいつぐらいになるというのは、ハッキリといえないですが、今回はそれほどお待たせしない程度のタイミングで更新できればいいなと思っています。
大人たちを信用できなくなった子供たちは、子供たちのサポーターグループを作ろうと動き出していたところで先週は終わりましたが・・・
今週は話が変わり、ETUの練習グラウンドの全景を映したシーンから始まっていきます。
練習グラウンドでは、選手たちが紅白戦を行っていました。
様々な声がグラウンドを飛び交い、練習にも熱が入ります。
そんなところで、サブ組の殿山から、右サイドを駆け上がるガブリエルに絶妙なサイドチェンジのパスが通ります。
パスを受け、ドリブルで加速していくガブリエル。
そのガブリエルについていくのは、レギュラー組の左サイドバックに入る清川でした。
「こいつだけには負けたくないって……
最近ずっと思っていたせいか……
守備の時のスペースへの警戒心だけは
俺は前よりも増した気がしてるんだ!!」
と、ガブリエル加入による、自身の成長を実感している清川。
「残念だったなガブリエル
お前はチームに馴染んできて手応えを感じてるかもしれないけど……
監督の言うように……
お前が伸びるっていうことは……
俺もさらにレベルアップしてしまってるんだよ!!」
と、自信を深め、したり顔でガブリエルとマッチアップする清川。
しかし、冷静に周囲を見ているガブリエル。
ガブリエルは清川の股下からパスを通し、そのパスに走り込んでいた世良がスライディングシュートを決めてサブ組がゴールを決めます。
ゴールを決めた喜びに沸く世良は・・・
「夏木(ナツ)さんと堺さんが試合で結果出してんだ!
そりゃ俺も触発されて上手くなるってことでしょ――!!?」
清川と同じような根拠で自分の成長を実感しているのでした。
自分もそうだったことは、他人も同じだということ・・・
これには、清川も苦笑い。
紅白戦での選手たちのプレーを見て、松ちゃんは、パスの出し手と受け手の関係を始めとした、選手の相互理解、チームワークが深まっていることを実感し、これに加え、ガブリエル、殿山といった新戦力の融合・・・
リーグ後半のチーム状況に、「いけそうだ」と手応えを感じ笑う松ちゃんでしたが、そんなの条件だけなら他所も同じだとあっさりと達海に言い返されてしまいます。そして、達海は言葉を続け・・・
「大事なのはこっからだよ
いい状態なんてずっと続くものじゃない
それをどれだけ持続させられるか
悪い状態に陥った時にいかにしていい状態に回復させるか
こっから試されるのは俺達コーチングスタッフの手腕だよ
そこんとこわかってる? 松ちゃん」
と、浮かれそうになる松ちゃんにグッサリ釘を刺してしました。
そんな達海と松ちゃんのやり取りを見て、声を掛けてきたのは有里でした。
選手の調子を占うのはコーチ陣だけの仕事じゃないはず、と言う有里は・・・
「だって例えばさ
スタンドに1人でも多くのETUサポーターが増えれば
選手のモチベーションだって変わってくるはずでしょう?」
と、主張します。
そして、チーム状態がいい今この時こそ、ホームの観客動員数を増やすチャンスと、会長たちを引き連れて、浅草駅前でビラまきに行こうとする有里。
1人やる気満々の有里と違い、会長、副会長、広報部員君の3人は、テンションが低め。
しかし、役割以上のことをしていくのが今のフロントに求められているんだからと、俺達何も暇じゃないと主張する副会長も退け、4人はビラまきに出かけていきました。
そんな有里のやる気ある姿を見て、達海は、こりゃあますます神戸戦には勝たないとなという気持ちになっていました。・・・松ちゃんもビラまき手伝ってきたら? というジョーク(?)飛ばすことも忘れていませんでしたが。
・・・
場面は変わり、浅草某所にあるパッションクリーニング雷門店。
そのクリーニング店の店主・タケは(6巻#49でも登場しています)、常連客と世間話をしていました。
お客のご婦人の話題は、最近健闘を見せているETUのことでした。
ご婦人は、あまりETUのことに詳しくないご様子でしたが、タケが以前ETUのサポーターをしていたことは知っているようでした。
“タクミ”くんが監督としてチームに戻り、再び勝てるようになりつつある“ET・・・?”。ご婦人は、今はサポーターをやめてしまっているタケに、久しぶりに応援行ってきたらと勧めます。
仕事の気分転換に・・・。サッカーが嫌いになったわけじゃないのなら、趣味も大事よと自らの経験も含めて、そのように話すご婦人。
・・・
浅草の街を歩いているタケ。
その頭の中には、ETUのこと、以前に吾郎が一緒にサポーターをやろうと誘ってきた時のことを思い返していました。
サッカーに興味ないって言ったら嘘になる。
でも、サッカー観に行ってられるほど余裕もない。
店のことや家族のことなど考えることはたくさんある。
昔と違って今は一家の大黒柱でもあるわけで・・・
ETUへの興味と現実との狭間で悩むタケ。
ふぅとため息をつくと・・・
「でも何より駄目なのは…
その一家の大黒柱が… こんなため息ついちゃってることだよなぁ」
と、暗く沈みこんでいました。
そんなところに、タケは、駅前で神戸戦のホームゲームを宣伝するビラを配っている有里に遭遇します。
ビラを受け取ったタケは、有里からいかにETUの試合をスタジアム観戦することが素晴らしいかの説明を受けます。
「テレビじゃ味わえない興奮がスタジアムにはあります!
プレーのひとつひとつにスタンドが大きな声をあげて盛り上がるんです
今年のETUは本当にいいチームですし…
一度来たら絶対にやみつきになると思います!」
そんな有里の言葉に・・・
かつて、スタジアムでの興奮を味わっていた、タケは自分の過去の姿を思い起こしていました・・・。
・・・
場面は変わり田沼青果。
見当たらないコータの行方を奥さんに尋ねる吾郎は、友達とETUの試合に行ったと知りショックを受けています。コータは、どうやら山さん宅に集まったメンバーで試合に行っているようです。
コータがいないことで、その日の神戸戦をどうしようか悩む吾郎。
行きたいけれど・・・、シゲと行けばまたスカルズと揉めるに違いない、かといってシゲをのけ者にすればうるさそうだ・・・と、どうしようかひたすらに悩んでいる吾郎。
・・・そんな吾郎の前に姿を現したのは、10年前のETUのレプリカユニフォーム着たタケでした。
タケは、吾郎に一緒に試合に行かないかと誘ってきたところで・・・、今週はここまでとなります。
■ 私的雑感
先週のラストとはまったく違った流れになっていきましたが・・・(苦笑
今週もETUをとりまく人々の描写が素晴らしい回でした。
今週は、まず何と言っても、6巻#49で一度はゴローのサポ復帰の誘いを断った、パッションクリーニング雷門店店主・タケさんの再登場ではないでしょうか!
まさか、こんなところでまさかの伏兵が登場するとは!
いや、ツジトモ先生としては、ここで満を持しての登場ということなのかもしれませんね。
お店の常連さんちょっとした世間話から・・・、タケさんしては思わぬ形だったと思うのですが、密かに燻り続けていたであろうETUへの思いが小さく燃え始めて、興味あるけど家族のことも考えなきゃいけないという葛藤を抱きながらも、最後はたまたま広報活動をしていた有里と出会い、その思いをさらに炊きつけスタジアムへ行こうとするアクションにまで発展していく。
あぁ、このあたりの一連の流れがすごく良いなぁと思いました。
タケさんは、あの世間話が再びETUに気持ちを向かせるひとつのきっかけになったのでしょうが、小さな燻りの最初のとっかかりを作ったのは、#49の吾郎さんによるものが大きいと思っています。
そして、きっと吾郎さんが再びETUに情熱を燃やし始めたことを知らなかったら、強く興味を持つところまではいっても、スタジアムへ足を運ぼうとする具体的アクションにまでは発展しなかったのではないかと。
だから、吾郎さんのやってきたことは無駄じゃない。最近の吾郎さんは、情けない姿も少なからずさらしていますが、自分のETUへの思いには、誇りを持ってほしいなと思うのです。
吾郎さんは、コータの件といい、シゲさんとの件といい、周囲とギクシャクしている感があります。そんなタイミングでのタケさんの登場に、タケさんは、バラバラになりかけている江戸前応援団を救う存在になるのかもれない・・・、そんな思いで私は見ています。
今回は、コータたちの話はひとまず置かれるという形になりましたが、子供たちのグループ、スカルズ、江戸前応援団・・・、それぞれが集う、“リーグ後半戦最初のホームゲーム”であるウィッセル神戸戦では、ETUを応援する人たちのいろいろなものが見ることができそうで(話が進展していきそうで)、そういった意味でも、神戸戦が楽しみですね。
※
サポーターが神戸戦に向けて、さまざまな思いでいる中、ETUの選手たちもまた中断後初のホームゲームを前に、熱の入った練習が繰り広げられていました。
・・・ということで、ETUの選手たちに関するお話。
練習グラウンドでは、紅白戦が行われていました。
その面子を見る限りでは、シーズン前半のベストメンバーがレギュラー組としてプレーいるように見えます。
サブ組としてプレーはしているものの、殿山君とガブはそれぞれに持ち味を見せていて調子は良さそうです。神戸戦では、この新加入ふたりはメンバー入りすることができるのか。この2人に限らず、みんなに頑張ってほしいけど、せっかく新加入としてチームに加わったこの2人、できれば早いとこ実戦で見てみたいなという気持ちもあります。
で、練習シーンで面白かったのが、マッチアップの機会の多い(まぁ、それだけじゃないだろうな)ガブへ対抗意識を燃やしている影響で、守備時のスペースへの警戒心も増したと考えるキヨ。
悲しいかな、ガブが自分を成長させているとしたり顔を見せてみるも、股下を通され、セリーのゴールを演出するラストパスを出されてしまうキヨ。
あぁ・・・、キヨ、君はやっぱりガブに手玉に取られるという役回りなんだなと、ちょっぴり切なくもなりました(笑
まぁ、けど、ガブの存在は、キヨの同期の親友ハマは甲府に移籍してしまったけど・・・、ある意味、この2人をやり取りを見ていくのが、個人的な楽しみになっていきそうです。
そして、紅白戦でゴール決めたセリー。
ガブのパスに絶好のタイミングでニアサイド走り込んでのスライディングシュートはいいゴールでしたね(ガブの絶妙なパス出しも素晴らしい!)。
「ナツさんと堺さんが試合で結果出してんだ!
そりゃ俺も触発されて上手くなるってことでしょ――!!?」
と、喜ぶ姿は、言ってる意味としては間違ってないのですが、言葉として考えてみるとムチャクチャな理屈なようにも思えてしまいます(笑
まぁ、何はともあれ、みんながそれぞれに自分の成長に手応えを感じている・・・。チームとして、非常にいい状態であることが改めて窺えますね。そういう姿を見ていられるのは実に楽しい。
そして、好調さが窺えるチーム状況でも・・・
「大事なのはこっからだよ
いい状態なんてずっと続くものじゃない
それをどれだけ持続させられるか
悪い状態に陥った時にいかいんしていい状態に回復させるか
こっから試されるのは俺達コーチングスタッフの手腕だよ」
と、決してうかれることなく、しっかりとそこのところをタッツミーが認識している描写があって安心しました。タッツミーにはシーズン後半、チームをマネージメントする力を存分に私たちに見せてほしいなーと期待しています。
※
そしてもうひとつ、チームの広報活動を懸命に頑張る、有里の姿もまた良いなぁと思いながら見ていました。スタジアム観戦の良さをアピールする有里はいいこと言ってる。有里さん、本当お疲れさまですー。
しかし有里のハイテンションぶりに対して、会長たちのテンションの低さが何とも・・・。
副会長は、俺達何も暇なわけでは・・・と言ってましたが、副会長は普段どんな仕事をしているのだろうか・・・?
有里の広報活動が、前述のタケさんの話とリンクしているシーンも良かったですよね。有里の熱意がタケさんの最後の一歩を後押しをしたわけですから(タケさんも、チラシを配ってた相手が10年前の後方の娘だとは思いますまい)。こういう描写っていいなぁって思います。
・・・というわけで、今週もETUを取り巻くあらゆる人々の描写が素晴らしかったなー。ピッチで展開される話ばかりでなく、チームを支える周辺の人々にもしっかりとスポットを当てて描いている、そんなジャイキリってやっぱり素敵な作品だなーって思います。
来週は、どういう展開になっていくのか分かりませんが、とにかく来週号がまた待ち遠しいです。
タグ : GIANT-KILLING
コメント
コメントありがとうございます。
>ガブに股抜きパスされた清川・・・靴紐結びよりも屈辱だったと思います
そうですね、選手とという立場からすれば、
股抜きの方が屈辱的と言えますよね。
タケさんは、久々のスタジアム観戦をまず楽しんでほしいなと思います。
有里のユニフォーム姿は、意外にも初めてってことになるんですね。
過去編でも、ユニではなくTシャツにタオマフという組み合わせだったという記憶があります。
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タケさんの心理描写が絶妙でしたね
色々と葛藤していて、お客さんの一言から想いが燻り始め、ユニフォームを着て決意・・・
「気晴らしにサッカー観戦してくるかー」くらいの軽い気持ちでいいと思います
何気に有里ちゃんのETUユニフォーム姿は初めてのような気がします