アニメ『GIANT KILLING』#12・感想
2010.06.21 00:15
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ジャイキリアニメ#12は、さらに先週に引き続き、まるまるリーグ戦第4節の名古屋グランパレス戦となっています。覚醒した(?)椿が先制ゴールを決めるまで、原作では5巻収録の#44~#46の終盤、3話弱分が描かれていきました。
今週のおおざっぱな話の流れは、先週のおさらい→カルロスとゼウベルトが試合中にもかかわらず長々おしゃべり→藤澤さんのシーン→カルロスが前目にポジションを移す→名古屋の仕掛け、カルロスからラストパスが出される→試合前のETUのロッカールームのシーンでこの日の作戦の種明かし→ペペへのパスをカットしてカウンター発動→椿ゴール・・・といった感じで描かれていきました。
今週は、個人的に原作の最も好きな部類に入るエピソードが描かれる回として非常の楽しみにしていたのですが、全体的な感想を言うと、自分にとっては良かったと思えた部分と残念に思ってしまった部分が混在し、そのギャップが非常にクッキリとしていた回となりました(具体的な記述はまた後ほど)。
そして、今週を観て、正直ちょっと酷いなと感じたのは、先週を振り返る描写に長く時間を割きすぎていたことです。
以前にも2分ぐらいおさらいに使ってた回はありましたけど、今週はなんと3分・・・。
他にも、藤澤さんのシーン内に回想シーンがわりと長めに使われていましたし、ストーリー構成上なのかもしれないですが(今週は原作の消化量がこれまでで一番少なかったけど、話を切った部分のキリはちょうどいいところ)、アニメ開始初期のざっくりカットしていた経緯を考えると、時間を持て余しているように感じられるのはちょっと複雑な思いがあって、かつアンバランスさを感じてしまいます。
そのたあり、制作側に何かしらの意図があるのか、それともそうせざるを得ない事情があるのか・・・、気になるところではあります。
□ 椿のゴールシーン(前編)
今週、個人的にアニメでどのように描かれるのか、すごく楽しみにしていたのが、この達海の作戦発動から椿のゴールシーンまでを描いたエピソードです。
このシーンについての記述は、あえて2つのパートに分けました。
なぜなら、椿のゴールが決まった瞬間を境目に、それ以前と以後とで私の観た感想がガラッと180度違うからです。本当、キレイに真っ二つに分かれています。
・・・ということで、まずは、椿のゴールシーンが決まるまでについてのお話。
攻めながらも点をなかなか奪えない名古屋。カルロスがポジションを前目に移し、そこからギアチェンジした名古屋が仕掛けてくるものの、達海の作戦がドンピシャでハマり、ボールを奪ったETUのが鮮やかなカウンターからゴールを奪うまでの瞬間のシーンなのですが、結論から言うと、正直私的にはガッカリに近い感想を抱きました。
原作だと耐えて耐えて、引き絞って引き絞った上で放たれたカウンターのシーン。最高のカタルシスの得られた場面。ですが、アニメでこのシーンを観たとき、原作で得たイメージを重ねても、もうひとつ高揚感を得ることができなかったんです。
その理由として、サッカーシーンだけでなく、演出の部分でも私の感覚には合わなかったというのもあったのかもしれません。
サッカーシーンは、まず鮮やかにカウンターを決めるというスピード感を感じることができませんでしたし、ボールを奪ってすぐさま走り始めている椿の細やかな描写がアニメで再現されたのは良かったんですけど、失礼ながらその走り方があまりにカッコ悪すぎると感じてしまった・・・。
サッカーシーンに関してはしょうがないという気持ちもあるんですけど、原作ではスピーディーに展開されてくカウンターの描写が秀逸なので、やはりそのギャップがつらかったです。
アニメの演出部分でも、私は正直あの時のBGMがあまりに合ってないなという印象があって(カウンターが発動した時のBGM)、最後の椿がゴールを決めるシーンも、もっと時間が止まるぐらいにスローで、原作同様にまったくの無声状態(あっても効果音程度)のまま決まるというようなやり方にしてほしかったなと感じてます。
ゴールが決まる瞬間のシーンは、嫌いというわけではないのですが、正直先週の振り返りなどで尺を使うなら、ここにもっと時間を使ってもよかったんじゃないかなと・・・。
先程も書いたように、このシーン、とにかく私にとっては原作の描写が好きすぎるものだったゆえ、なおさらこのような感想に至った部分も大きく、純粋にアニメだけで観ていたとしたらまた違った印象があったのではないかと思います。
なので、他のジャイキリアニメのファン方々がどのような印象を抱いたのかは気になるところです。
観る前は、自分でもここまでネガティブな感想を書くことになるとは思ってなかったのですが、前編の範囲については、私にとってはあまり満足のできるものではありませんでした。
□ 椿のゴールシーン(後編)
そして、後編は、ゴールが決まった後の描写についてなのですが、こちらは一転、すごく良かったなぁと思いました。
あれこれシーンが追加されたのは、やっぱり尺稼ぎの意味合いもあるのかなと思いつつも(ちょっと詰め込みすぎでテンポが悪かったかも?)、原作以上に椿のゴールシーン後に乗っかる選手がいたり(あれは笑った。きっと大丈夫、あれぐらいの人数なら実際でも見ますしw)、その後の追加された村越が椿を起こすシーンなども好きです。黒田と杉江のハイタッチもいい感じ。
そして何よりやっぱりあのシーン。
椿がゴールを決め、味方の祝福を受けた後、ベンチいる達海を見つけキャンプの夜を思い出し頭を下げる。そして・・・
「やったんだ…… 俺…… やったんだ……」
と、静かに自分のやってのけたことを噛み締める・・・。
静かなBGMの中に、椿コールが流れてくるあの演出は(青空を映すシーンも)、先程とは逆に原作のイメージを重ねながら観ていて、やばかった、本当、あのシーンに椿コールはやばいっすよ。こちらはアニメならでの演出がいい方向に効きまくっていて泣けました。
原作読んだ時もこのシーンは泣いたんですけど、あの時と同じ、ここはそれ以上だったかもしれないフィーリングがそこにはありました。
前編の部分では、うーんと思いながら観ていただけに、ここでこれだけの感覚を得られると思ってなくて、ちくしょうこんなところで泣かせやがって・・・と、ちょっぴり悔しい気持ちがあったことも否定するつもりはありません(笑
で、そして、その後のスタジアムの椿がゴールを決めたことを告げるアナウンスも良かったですね。
ん? この声・・・? ・・・有里さん何やってんすか!(笑
・・・と、観ていた当時は思っていたのですが、エンディングで確認したら違う方でした。ごめんなさい。私の勝手な勘違いのくせに、笑ってたりしてごめんなさい。
そういう感じで、前編と後編とでは大きな感想の違いがあったのですが、自分の感じたことを率直に書いてみました。
□ その他のお話・・・
カルロスとゼウベルトのやり取りは、やっぱり試合中にあれをやるのは違和感ありまくりだなと感じました。そりゃあそうですよね、インプレー中なのに何分棒立ちでしゃべってるんだよっていう・・・。他の選手たちは、普通にキレていいと思うぞ!(笑
でも、まぁ、アニメの話なので、そのへんの細かいことは気にしない!
(普段細かいことを気にしてる私が言うことじゃないですがw)
でも、あのやり取りの中のカルロスの表情具合が好きです。ポルトガル語からは、どれぐらい日本語表現のおっとりさが出ているのか分からないのですが、声も合ってると思いますし、あのシーンはわりと好きだったりします。
※
やっぱり、サッカーシーンで、ピッチでどのように試合が展開されているのか分かりにくいのが、やはり観ていてしんどいです。
細かいところで、話の大局にはなんら関係はないかもしれないですが、原作でのプレーの意図のニュアンスとアニメでのプレーの意図のニュアンスが異なる部分があったのがちょっと気になるところでした。
例えば、清川がカットしたカルロスのラストパスのシーンでは、原作だとシュート(キック)モーションに入ったところを村越が防ぎに行った感じでしたが、アニメではそのまま立ちふさがりに行ってる感じだった。それと、原作だとカルロスはパスを出す前にペペの動きをきちんとチェックしてるけど、アニメではその描写がなかったなど。
※
藤澤さんのシーンでの毒舌具合が好きでした(笑
その原因となった、前半の監督のハーフタイムコメントを載せたプレスリリース、アニメでは原作以上にETU側のが酷いことになっていたのが笑えました。
それにしても、あの文字って誰が書いたんでしょうかね・・・?
やはり有里でしょうか。
試合に早く集中したくて、ざっと書きなぐってしまったのかもしれませんね(笑
※
あとは箇条書きで。
- 達海がブラジルトリオについて語っているところで、「カルロスだ」と、そこを強く言ってるところがいいなと思った。
- 名古屋戦のベンチ入りメンバーを把握。先週の名古屋のロッカールームのボードもそうですが、原作でうやむやなところが意外とアニメではしっかり設定されていたりして助かります。
- 「あいつの7番は伊達じゃねえ」という吾郎さんのセリフも、序盤のETUの7番の系譜の描写をカットしてるだけにどこか虚しく映ってしまう。
- 達海の監督ぶりにニヤニヤする松ちゃん
のちょっと気持ち悪いところが好きだー。 - 板垣の心理描写の場面は、原作とは入れ替えていましたが、あれをラストに持ってきたのは良かったと思うのだけど・・・。
※
さて、続きジャイキリアニメ#13でも、名古屋戦の続きが描かれていきます。
来週は、全26回のジャイキリアニメのちょうど折り返し地点ということになりますね。ここのところの大幅なペースダウンによって、原作のどこまでを描いていくのか、未知数の状況となりつつありますが、来週も楽しみにしています。
タグ : GIANT-KILLING
コメント
コメントありがとうございます。
>一語一語を伸ばしていて、 しかも普通なら省略する単語まで使って
ポルトガル語のお話、すごく参考になりました。
単に言葉を伸ばしてるだけじゃなくて、わざわざ長ったらしい言い回しも
使っているってことですね。なるほど、面白いなあ。
緑川、村越、堺・・・
ETUの30代選手は、内面はともかく表面は冷静沈着系のキャラが多いので、
丹波みたいなキャラはチームにとって、とても貴重な存在だと思います(笑
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終盤の展開を入れたら詰め込みすぎになるから、
敢えて今回長めにとったのかもしれませんが…うーん。
カルロスの口調はポルトガル語でも忠実に再現されていた印象です。
(完全には分からないのですが、一語一語を伸ばしていて、
しかも普通なら省略する単語まで使っていました)
そりゃあゼウベルトもイライラするだろうと思いましたw
ゴール後、赤崎と世良に続いてみんな乗っかってきたのは笑いました。
真っ先に乗ってきたのが丹波なのもいい味でしたね。
さすが若手と一緒に大騒ぎする男…!