【新連載】SFの次はサスペンス、未来のフットボールの大和屋エコが贈るサッカーストーリー『T.R.A.P』第1話雑感
2010.03.18 00:42
3月17日発売の週刊少年サンデーにて、大和屋エコ先生の新連載『T.R.A.P』が始まりました。 なので、その第1話を読んだ雑感をつらつらと書いていきたいと思います。
以下、連載のネタバレ要素を含ますので、記事をたたみます。
その少年は、何者なのか!?
エースを亡くしたサッカー部に現れた不思議な少年・海音(カイン)…!!
圧倒的なスキルと神秘的なパスセンス……
彼は一体、何者なのか………………!?
物語の舞台となるのは、誘波(いざなみ)学院高校サッカー部。
誘波高校サッカー部には現在10人の部員しかおらず、サッカーの試合を人数に満たないため、グラウンドをフルコートで使わせてもらえない状況。
サッカー部が10人になってしまったことには事情があって、チームのエースだった真崎という選手を交通事故によって失っていました。
エースを失った悲しみがあるとはいえ、この状況から前へと進みたいと思う竹本と、まだ悲しみを引きずりサッカーへの情熱を損なっている五十嵐が対立しケンカを始めますが、そこに現れたのが天草海音という少年でした。
高校生どころか男にすら見えない風貌のカインは、「サッカーやりましょう!!」とボールを手にすると、高くボールを蹴り上げ振り向きざまにダイレクトボレーをゴールに叩き込み周囲を驚かせます。
そんなカインのことすら認めないという五十嵐は、自分とDF全員をカインと竹本の2人だけで抜けたら認めてやると言う・・・亡くなった真崎なみのプレーを要求し勝負をします。
「誰にもできっこねーんだよ
アイツの代わりだけは―――」
そう思う五十嵐でしたが、そこからのプレーが圧巻でした。
うつむき下を向くカインに安易にボールを奪いに行ったDFを鮮やかにかわし、そして五十嵐のことも、まるで何もせず道を明け渡したかのように抜き去りゴール前GKと1対1の状況に・・・
GKは、ボールを奪い前に出ますが、何かを察したカインはヒールパスで後ろから走りこんできた竹本に渡しそのままシュート。ボールは、ゴールネットを突き刺します。
初めてコンビを組んだ相手にこれだけ息の合ったプレーを見せるカインに、五十嵐は亡くなった真崎の幻影を見て声をかけようとしますが・・・
「ボクの名前…「天草海音」です。「マサキ ヒデオミ」じゃ、ないです…」
このカインの言葉に我に返った五十嵐は、突然カインのことを殴ります。
そして、ひとり帰路に着く五十嵐は、事故現場で亡くなった真崎のことを思います・・・。
一方でカインは・・・
「――彼は、怒っていたけど、泣いてました。
サッカーしながら悲しそうでした。
可哀相です。 サッカーは楽しいものなのに…」
自分を殴った五十嵐に対して、そのように発言していたところで第1話はお終いとなります。
■ 私的雑感
マルコだ・・・
カインがどうしてもマルコ(・クォーレ)に見えてしまう!
・・・と、いうのが、作品を読んで一番印象に残ったことでしょうか?(笑
その風貌もさることながら、すべてを知っているかのように(実際に意味で知ってるのでしょうが、サスペンス的な意味で)、うつむき加減でプレーしている姿なんかも含めて、マルコを思い起こさせてくれるものだと、私は思いましたけどいかがでしょうか。
で、作品の内容についてなのですが、“サッカーサスペンス”というキーワードからしても、(サッカーは普通にするんだと思うんですが)サッカーマンガとしてサッカーそのものの面白さを描いていくタイプの作品ではないと思います。
なにやら不思議な感覚を有しているカインと亡くなった真崎との関連性(ここが一番気になるところですね)を軸に、誘波学院サッカー部の様子を描いた人間ドラマが中心となっていくものと思われます。
大和屋先生の前作、『未来のフットボール』も1話はサッカーマンガとして可能性を感じる面白さがあるものでしたが、最終的には友情物語を中心に描いたものでした。今回も、おそらくそういう色の強いものになるでしょう。作画も丁寧で、絵柄的にもそういった方向性に向いていると思います(ボールの前に立つカインの作画がすごく絵になっていて良い・・・かと言ってサッカーしてる画がダメだというわけじゃないです)。
・・・ということで、実際もう少し読んでみないことには何とも言えないんですけど、サッカーを楽しむという点ではあまり大きな期待はしてないですが(ネガティブな意味ではなく、作品の方向性という意味でね)、“サッカーサスペンス”として、今後のドラマティックなストーリー展開に期待ということでまとめておきます。
なお、大和屋エコ先生の前作、『未来のフットボール』の単行本は3月18日に発売されます。
なるほど、単行本の発売が他のクラサン勢より大幅に遅れていたのは、このタイミングと合わせるためだったんですねと、ひとり納得(笑
『未来のフットボール』の単行本の感想に関しては後日書きたいと思っていますが、現在クラブサンデーの方で第1話が読める状態になっています。大和屋先生の描く世界観に興味のある方、『T.R.A.P』を読んで他の作品にも興味がわいたなどはチェックしてみてはいかがでしょうか。私が連載当時読んだ感想に興味のある方は、左サイドバーのタグより辿ってみて下さい。
(参考リンク:未来のフットボール(クラブサンデー内詳細ページ))
タグ : T.R.A.P
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