【新連載】得点力不足に喘ぎ窮地に陥っている日本代表を救うのはいわくつきのストライカー?『コラソン〜サッカー魂〜』第1話雑感
2010.03.02 17:31
3月1日発売にされている週刊ヤングマガジン13号にて、連載がスタートした『コラソン ~サッカー魂~』(作者:塀内夏子)の第1話を読んだ感想をつらつらと書いていきたいと思います。
以下、連載のネタバレ要素を含ますので、記事をたたみます。
20XX年W杯アジア最終予選の終盤 日本は窮地に陥っていた―――
『コラソン』は、日本代表を題材にした作品です。
W杯アジア最終予選を戦う日本代表は、得点力不足にあえぎグループリーグ4位に転落してしまうという状況。
そんな状況であっても代表監督の口からは・・・
「え―― 結果はともかく
目指す方向のサッカーはできていると自負しています
私の戦術自体に大きなミスはなく・・・」
そんな言葉が飛び出している始末。
このままでは、ワールドカップ出場が危ない!・・・
ということで、日本サッカー連盟は新しい日本代表監督候補として、ヘルマン・ヴィースラー(72歳・旧東ドイツ出身)という男に白羽の矢を立てます。
このヘルマンという男は、欧州を中心にクラブやナショナルチームの監督して数多くの実績を誇り、近年では韓国やオーストラリアを率いた経験も持つ、アジア及び日本のサッカー事情にも詳しい人物とのこと(要は、ヒ○ィ○クさんみたいな人ですねw)。
連盟の会長さんは、ヘルマンを少々気に入らない部分もあるようですが、代表強化部長にあたる人でしょうか・・・今はそんなこと言ってる場合じゃない、ヘルマンみたいな人のスケジュールが空いてること自体奇跡なのだと、必至に監督就任を頼み込んでいます。
そんなヘルマンは、代表監督を引き受けるための条件を提示してきます。
「すべての権限を私が持つこと!
残り3試合 メンバーも 戦術も!
テレビ局からもスポンサー側からももちろんあなたがたからも
いっさいに口出しをさせないこと!
それさえ通れば金額にかかわらず
私は今サインしてもいい」
と言うヘルマン。
ヘルマンに全権委任を託すことに、自身の立場が危うくなりそうな会長さんはしかめっ面を見せますが、無事契約は合意に達し、契約書作りへと入っていきます。
契約もまとまりホッと一息ついている状況で、代表のメンバー選出について(時間がないからメンバー全体を選びなおすことはしないけれど)「一人FWをいれる」と言ったヘルマンの構想にある人物が誰なのか、連盟の人間が尋ねると・・・
「イヌイ・リョウガ」
という選手の名を挙げるヘルマン。
戌井凌駕・・・その名を聞き驚く連盟の面々。
過去に何やら問題を起こしたのか、「札付きの狂犬のような男」と評される戌井の代表選出には連盟幹部も否定的な考えを持っているようですが、「全権委任」を改めて主張するヘルマンの前に言葉を返すこともできず・・・。
・・・
14ページ目にて、ようやく主人公が本編に登場!
現在ブラジルでプレーしている戌井は、相手からあからさまな削りを受けながらも(というか、思いっきり蹴られたり肘打ちされてるレベルw)、むしろ頭突き返すなどして強引に前に突き進みゴールを決めています。
結局、乱闘騒ぎとなり退場処分となってしまう戌井ですが、彼のゴールにより試合には勝利しています。
・・・そんな戌井のもとを一人の男が尋ねます。
その人物は、日本代表監督に就任したばかりのヘルマン・ヴィーズラー。
戌井を日本代表へと召集に来たヘルマンでしたが、戌井はそれを拒否します。
現状に満足しているのかというヘルマンの問いにも、「………そうだよ」と答える戌井でしたが・・・
「嘘だね
いっぱしのコラソンを持ったFWなら
より高いレベルより高い報酬を求めるはずだ
そしてW杯を――――」
図星を突かれたのか、黙って拳を握り締める戌井にヘルマンはさらに・・・
「それとも自信はないか?」
と、挑発的な言葉を投げかけます。
それに対し、足元にあるバケツを蹴った戌井は・・・
「自信が「ある」「ない」でFWやってるんじゃねぇ!
要はテンを取ったか取らねぇかだろ?
点を取った奴を「FW」と言うんだろう?」
ヘルマンに顔を寄せ、強い眼差しでそう言い返します。
「……では証明してくれ」
ニヤリを微笑んだヘルマンは、成田行きのチケットを戌井に手渡そうとしたところで第1話の物語です。
■ 私的雑感
・・・というわけで、『Jドリーム』以来の塀内先生のオリジナルのサッカーマンガということで、連載が始まりました。
(リアルでも日本サッカーの長年の課題とも言える)得点力不足を抱える日本代表に救世主となるべくFWがチームに加入する・・・
サッカーマンガとしては、わりと普遍的というか、いたってシンプルな発想の設定の作品だなと、まず最初に思いました。
荒々しい力強さを持ったストライカーに加え、ヒディンクのような戦術家の監督が日本代表を率いる・・・このあたりも、ないものねだりとでも言いましょうか、塀内先生の「日本代表がこうあってくれたら・・・」というひとつの想像、ifを描いたものなのかなと感じます。
主人公の戌井凌駕は、パラグアイやチリの2部などあらゆる国のリーグでも必ず得点王になってきたというストライカー。その反面、その実力は確かようだけど、気性はかなり荒いようで相手選手と試合中殴り合ったりしていたり、それはサッカー連盟幹部もその名を聞くだけで顔色を変えてうほど。
でも、相手からあからさまなファールを受けながらもそれに怯まず、むしろ正々堂々やり返しつつ突き進みゴールを決める泥臭い描写というのは、なかなか見応えがありましたね。そのへん、塀内先生が好むところなんだろうと思います。
今の段階では、面白いと感じたかどうか・・・という部分についてはまだ何とも言えないですが、導入部分としては悪くないかなと思ってます。
戦術家の監督と、ひとりのFWが加わったことで、日本代表がどのように変化していくのか。作品タイトルにある“コラソン”というのは、欄外の言葉を借りれば“魂”を意味するものということで、塀内先生がこのキーワードと日本サッカーの現状をどのように捉え作品を描いていくのか、今後の展開に注目していきたいです。
新監督へ交代、混乱分子がチームに加わること、ヘルマンがメディアやサッカー連盟に対しても一切の口出しをさせるなという発言をしていることで、まずは波乱の展開になっていくことは必至と思われる中、ここからどのように話を進めていくのか。塀内先生は人間ドラマを描く上手さには定評のある方ですし、戌井凌駕が抱える過去・思いといったものも含めて、来週以降が楽しみです。
またひとつ、連載を追う楽しみが増えて嬉しいですね♪
(参考リンク:マンガ新連載:「コラソン」 「Jドリーム」の塀内夏子 規格外のFW描く)
(参考リンク:塀内夏子のW杯代表戦記「コラソン」ヤンマガでキックオフ)
タグ : コラソン
コメント
コメントの投稿
トラックバック
http://soccermanga.blog84.fc2.com/tb.php/631-18226e01