『LOST MAN 7』 / 草場道輝
2010.03.01 23:24
※ネタバレとなりうる要素を含んでいますのでご注意ください
サッカーの本場・イングランドを舞台にしての物語が展開中!
『LOST MAN』7巻の感想です。
イングランドのビッグクラブ、マンチェスター・ユニオンのトライアルを受けたマツモト。デキレースとも言われるトライアルでしたが、シンプソンのコピーとしてばかりではなく、それなりに自分の色を見せることができたマツモト。
果たして、マツモトは無事マンUに加入することができるのか。
その結果待ちの状況から、7巻は始まっていきます。
※
7巻では、サカザキが敏腕ぶりを発揮し無事マンUに加入することができたマツモトとチーム加入後のマンUでの様子を描いた話、そして、記憶喪失で謎の多いマツモトの過去に関する外郭がさらに見えてくる描写といったところが見どころかと思います。
ファゼンダ編までの話も私は好きですが、やっぱり、イングランドに舞台を移してますます面白くなっているなと感じますね。
その背景には、サッカーの部分での魅力がより増してきているからなのかなと思います。
草場先生の描くコメディ描写が好きだということは過去の感想の中でしつこく書いてきましたが、その言葉に何ひとつ偽りはありません(今巻だって、ギボンさんの見せるいい親父キャラぷりや、ミッコリの中に国旗を仕込んでる場面とかは好きですw)。でも、やっぱり草場先生はサッカーを描いてこそ一番輝く人だと思うんですよ。
今巻、サッカー描写で魅せてくれたのは、後半の方で描かれた、コミュニティー・シールドのマンチェスター・ユニオンvsリヴァプール・シティの試合シーン。
マツモトと同じポジションのライバルであるシンプソンのプレーのすごさを描きつつも、シンプソンと交替で出場したマンUの観客からすれば「誰?」と言いようがないマツモトも決して引けを取らないプレーを見せる。
ここで魅せてくれる迫力あるサッカーシーンの数々は、やはり草場先生だから描けるものだと思いますし、読んでいて面白かったです。
(このへんの具体性については、後々の巻の感想で書きたいと思ってます)
そして、さらに圧巻だったのは、どこの誰だか分からない謎の人物だったマツモトが、チームの絶対的司令塔であるシンプソンと遜色ないプレーができると知った時のサポーターたちが示した反応です。
試合が終わって、「あの66番は一体何者なんだ?」というサポーターたちの純粋な疑問に、「彼の名はマツモト」と思わず立ち上がって口にした詩乃。それによって、マツモトという名を知ったひとりのサポーターが・・・
「groly~ UNION♪
There's only one・・・ MATSUMOTO!」
と、タオルマフラーを掲げ、マツモトの歌を歌い出す。
そのひとりのサポーターの行動が呼び水となり、たちまちスタジアム全体に「MATSUMOTO」コールが広がっていく・・・
所詮は想像でしかないんですけど、無名だったマツモトが多くのサポーターたちに認められた・・・このシーンの映像のイメージが頭の中に浮かんだ瞬間、ぶわーっと鳥肌が全身を駆け巡っていく感覚がありました。本当、このシーンは最高でしたね!
詩乃さんも思わずこんな表情を見せてしまう・・・。 このシーンは必見です。それも、その前のサッカーシーンがしっかり描かれていてこそだと思います。
序盤の頃の『LOST MAN』は、個人的には大好きなんだけど・・・という言い方にどうしてもなってしまってしまいますが、現在の『LOST MAN』だったら、サッカーマンガとしてサッカー好きな人にもお勧めできるかなと思います。興味のある方はイングランド編以降の『LOST MAN』をチェックしてみてほしいです。
※
今回、もうひとつ取り上げておきたいのが、本編ではないんですけど12ページもあるおまけまんがが、いろいろと裏話的なものが聞けて興味深く面白かったです。
やはり今の時代実名を使うには権利関係がいろいろあるんだなぁとか(そういう意味では、実名選手が普通に出てくる『龍時』はすごい)、イングランドのフットボール事情については漫画として分かりやすくアレンジしているんだなぁなど。
それと、個人的に笑ってしまったのは、6巻の表紙がシスターだったことについて・・・
のちのち主要キャラとしてしゃしゃり出てくるかもしれせんが、
6巻では端役もいいとこ。それなのに6巻の表紙だとゆうのは、
“萌え”を求めてジャケ買いしてもらおう!!
というあさましい考えからでした…
と、コメントされていたことです。
・・・草場先生、あなたの作品の魅力はそこじゃないですし、努力の方向が間違っていると私は言いたい!(笑
・・・思いっきり失礼極まりないことを書いてしまいましたが(苦笑 ちなみに、私の手元の資料によると、(シスター萌え効果によるものかは定かではないですが)5巻から6巻の売り上げは伸びています。
ただ、前髪出したがかわいいには同意ですし、出番こそ少ないかもしれないですが、作中のシスターはちょっと天然っぽさがあって好きですし(神父様のお姉さんですけどねw)、のちのち主要キャラとしてしゃしゃり出てきてもいいと本気で私は思ってますよ?
っと、話がどうでもいい方向に脱線しかけましたが(苦笑)、7巻はおまけまんがも面白いということで、興味のある方は是非単行本を買ってご自身の目で確認してみて下さい。
※
さて、続く8巻では、無事マンUに加入し、着々とその地位を築きつつあるマツモトの過去話が描かれていきます。
記憶喪失となってしまったマツモト、そしてサカザキにはどんな過去があるのか。
その鍵を握るメディア王・デビット・トラウズマとの関係は?
サッカー描写の面白さが増していく一方で、物語の核心に迫っていくエピソードにも注目です。
■ 収録
第58話~第67話
週刊ビッグコミックスピリッツ2009年38号~46号、48号
マツモトがサポたちに認められ、MATSUMOTOコールが起こるところまで収録
タグ : LOST-MAN
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