『GIANT KILLING 13』 / ツジトモ(原作・取材協力:綱本将也)
2010.01.24 11:23
※ネタバレとなりうる要素を含んでいますのでご注意ください
※連載を読んだ当時の感想を読みたい方は、今週の『GIANT KILLING』アーカイブを辿ってみて下さい。
アニメ化が決まり、今後のさらに注目度が高まっていくことが期待される、『GIANT KILLING』13巻の感想です。
リーグ戦第17節、東京ヴィクトリーvsETUの東京ダービー。
試合は、前半の早い時間帯に椿がミドルシュートを決めETUが先制。その後もETUが優勢に試合を進めるものの、前半の終盤あたりから徐々に東京Vがリズムをつかみ始め、後半、怪我でベンチスタートとなっていたエース・持田がピッチに投入されると、さらにその勢いを増しETUゴールを脅かしていく東京V。
ここまで、なんとか1点のリードしている状況ですが、果たしてETUはこのまま1点差を守りきることができるのかといったところから13巻は始まっていきます。
※
13巻は、前半部分は東京ダービーのクライマックス、後半部分はいったんリーグ戦は中断と言うことで、オフ期間のお話ということになっていきます。
全体を読んだ感想を言いますと、「やっぱりジャイキリは面白いな!」ということですね!
毎週連載を読んでいますが、単行本でまとめて読むとまた違った面白さがあります。
東京ダービーについては、最終的に勝てなかったどころかかろうじて勝ち点1を拾うという結果だったので、ETUサポ的な視点から読んでしまう私としては最高に胸が熱くなるということはなかったですが・・・
敵であっても味方であっても、選手、監督、サポーター・・・それぞれがそれぞれの思いがあって、それらが絡み合いながら物語が構築されていくところは、いつもながら魅力的だなと思いました。
今回は何度もカッコいいところを見せ同点ゴールも決めた哀れなミックだとか、有力候補とされながらも代表の監督になれなかった平泉の話、前年よりチームは変わったとはいえ依然として東京Vとの差を痛感させられるサポたちの思い、サポーターたちの対立など・・・。表情を撮ることに執念を燃やす、カメラマンの久堂もいい味を出してると思いますし小さな脇役まで、それぞれがジャイキリワールドをイキイキと暮らしてるなと思います。
語りたいことはいっぱいあるけど、単行本の感想でそれをやっていると本当にキリがなくなってしまうので、そのあたりは、連載当時の感想を書いた過去ログを読んでいただければと思います。
その中で、ふたつ取り上げていくとすると、まずひとつは持田のもはやホラーの領域まで達している凄まじい勝利への執念。
なぜ持田はそこまで勝利に執着するのか。
それは13巻では語られることはないですが、#119で右足に手を触れるシーンは、その理由を示す象徴的なシーンだと思います。
私個人的には、ひたすらに勝利(結果)だけを追い求めるよりは、純粋に見ていて面白い内容のサッカーを目指すことを好みます。ですが、持田の勝利に対する執念、その言動の背景は何からくるのかというのを考えながら読んでいると、ハッとされられるものがありました(だからと言って、私の考えの根本が変わるわけはないのですが)。
口は悪いかもしれないけど、その言動はしっかりとチームの勝利のために向けられていて、それもまず自分自身が動いているから誰も文句なんか言えないし、説得力が出てくるものだと思います。
まぁ、とにかく、12巻の終盤から続いた“持田劇場”はとにかく圧巻でしたね。
そしてもうひとつは、川崎戦でも見せていましたが、着実に精神面での成長を感じさせてくれる椿の描写ですね。
後半押されっぱなしのETUでしたが、ラストワンプレーで自ら前向きになってドリブルで仕掛け、ミートはしなかったけど最後は気持ちでシュートまで持って行ったプレーはちょっと熱くさせてくれました。
この試合で持田のメンタリティに触れたことでさらなる刺激を受けた椿。これがシーズン後半戦でどう活きてくるのか、さらなる成長を見ていくのが楽しみです。
※
そして、リーグ戦前半が終了し、一時の中断期間に入り・・・
ETUの胸スポンサーでもある大江戸通運の企業ポスター撮影のエピソードも興味深かったですが、やはりメインとなるのは、真夏の祭典・オールスターゲームでしょう!
これもまた語りつくせないほどに面白い!
ひたすらに楽しすぎる!(笑
特に、前座として描かれたリーグジャパン各クラブのマスコットたちによるドリームマッチは、読んだ誰もが笑いをこらえ切れなかったのではないかと思います!
名古屋グランパレスのマスコット・シャッチーが全力疾走するその姿と、そのシャッチーを華麗にスライディングで止めたかと思いきや、2枚目のイエローでレッドカードを受け退場という、美味しいところをひとりでかっさらっていた我らがパッカ君には最高に笑わせてもらいました。
連載であれ読んだ当時、本当に息ができなくなるほど笑ったもんなぁ。
ちなみに、毎週連載の感想書いていますが、今でもあの回(#124)が一番のアクセス数を記録しています。それが、すべてを物語っているんじゃないかなと(笑
そして、本物のオールスターゲームの方も、名古屋のブラジルトリオや大阪の志村や窪田など、これまで登場した懐かしのキャラたちが登場したり、新キャラも登場したりで存分に楽しませてもらいました。もうみんなキャラが濃すぎだよ!
それらもまたいちいちツッコんでられないので(この面子の中だと夏木でさえも普通に見えてしまうもんねw)、そのへんも連載当時に書いた記事を読んでいただければと思います。
私的には、40歳を過ぎても未だ現役、有里いわく、生ける伝説で日本の至宝・ケン様の放つオーラが素敵すぎてやられましたね!
あともうひとりは、モンテビア山形の監督でもある佐倉(サックラー)。
あらゆる面で某サッカーマンガのキャラを思われるサックラーですが、今回はタッツミーとコンビを組んでオールスターを戦うという形ですが、シーズン後半になればお互いライバル同士。
サッカー観が似ているという両者が、リーグ後半で対戦するところはきっと作中でも描かれていくところになると思われるのでリーグ戦での再会が楽しみです。
オールスターゲームの話は(14巻にも続いていきますけど)、これまでのジャイキリの中でも、最も楽しくて笑えるエピソードだったのではないでしょうか。ちょっとした余興的なものなはずなのに、これだけ面白いものを作ってくるとは・・・、ツジトモ先生恐るべしです。こういうみんなが純粋に楽しめる話はいいと思います。今回は、これだけで十分にお腹いっぱいになれました。
※
毎回個例の初版限定ステッカーは、“かっこいいパッカ君”ステッカーです。
本当にカッコよすぎてびっくりしたわ!
パッカ君、カバー裏でもミスターETUを尊敬していると言ってますし、オールスターでの村越が中に入ってると観客に思わせてしまうほどのプレースタイルにも納得ですね。
あと、巻頭のおまけページには、リーグジャパン1部所属のマスコットたちのリストが描かれていました。こういうのは嬉しいですよね。
・・・やっぱり、ここでもシャッチーのビジュアルが群を抜いてるな(笑
※
さて、続く14巻では、オールスターゲームの決着、
そして、さらなるリーグ中断期間中のエピソードが描かれていきます。
ジャイキリ史上最高とも言える笑いを提供してくれた13巻とは違い、ここからシリアスな方向に話は進んで行きますが、これもETUのひとつの物語として読んでいってもらえればなと思います。
■ 掲載
#118~#127
週刊モーニング2009年28号~38号
オールスターゲーム、ケン様が華麗に同点ゴールを決めるところまで収録
タグ : GIANT-KILLING
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