『このマンガが凄いから読め!γ版2010』
2009.12.30 21:22
昨日の予告通り、『古本屋の戯言』さんの『このマンガが凄いから読め!(仮称)γ版・2010』…略して『こすヨメγ2010』という、企画に参加させて頂くことになりましたので、その投票用記事をアップします。
この記事では、『こすヨメγ2010』用に私なりの基準で選んだ、サッカーマンガもそれ以外のものも全部ひっくるめて「すごい!」「読ませてみたい!」と思った2009年の漫画ベスト5を紹介していきます。
こすヨメの参加にあたっては、読むジャンルがサッカーを中心としたスポーツ系が多いという偏りがあり、漫画に対する知識という面でも他の漫画レビュー・感想系サイトさんに比べたら浅識だと思うので、参加には躊躇する気持ちもあるのですが、せっかくの機会ですので思い切って参加させて頂くことにしました。
それでは、さっそくベスト5に紹介に移らせてもらいます。
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第5位 『かぶく者』 / 原作:デビッド・宮原 漫画:たなか亜希夫
週刊モーニングに連載中の歌舞伎を題材にした作品です。
歌舞伎を演じるシーンにおいて、ひとつひとつのコマの流れから息を呑むような緊迫感が伝わってくる・・・。なんかよく分からないけどスゲー、そんな風に思わせてくれる作品ですね。上手く言葉で説明できないんですけど、引き込まれてしまうものがあります。
第4位 『ベイビーステップ』 / 勝木光
週刊少年マガジンで連載中のテニスを題材にした作品です。
私は、週マガ読者歴が長いのですが、今、毎週一番楽しみにしているのがこのベビステです。
成績優秀、周囲が引いてしまうほど恐ろしく几帳面な主人公がテニスを始めてみたら?・・・を描いた作品。
几帳面さを活かしたノートを片手に、トライ&エラーを繰り返しながらも成長を見せていく主人公の姿を見ていくのが好きです。
少し地味かもしれないけど、テンポよく話も進み(序盤の頃は、一気に時間が進むと打ち切りフラグかとヒヤヒヤしたものですがw)、リアリティと漫画である部分のバランス、テニスの描写と息抜きのバランスも程好い良作だと思います。今後も今のバランス感覚を保ってほしいと思ってます。
他の作品は、1巻の画像を使っているのに、あえてベビステだけ10巻の画像を使わせてもらいましたが、この表紙に釣られて買ってみるというのもアリだと思いますよ?(笑
第3位 『GIANT KILLING』 / ツジトモ(原案・取材協力 綱本将也)
週刊モーニングで連載中のサッカーマンガです。
このブログの読者の方なら、言わずもがなですね(笑
私がジャイキリを3位に選んだのは意外と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、2009年ということで考えると、このあたりが妥当なのかなと・・・(昨年や一昨年だったら、迷わず1位に選びましたけどね)。あ、でも、勘違いしないでほしいのは、私の純粋に主観だけで好きなものを選ぶとするなら、ジャイキリが一番ですからね!
監督が主人公ではありますが、それ以上に、選手やフロントサポーターなどを含めたETUというサッカークラブを取り巻く人々の群像劇が素晴らしい作品です。自分の応援するクラブを持つサッカーファンの悲喜こもごもを味わえることも魅力的(一番好きだと言う最大の理由はここ!)。
絵柄の好みは分かれるところですが、ダイナミックなカメラワークとコマ割り、選手の細かいポジションニングなどもしっかり描いた試合描写も素晴らしいと思います。
ひとつの作品という観点で見ると、最近は以前ほど高いテンションを維持しきれてないかなと思う部分もありますが(序盤のテンションが高すぎたというか、じっくりと話の土台作りをするのにもっと時間をかけても良かったのかも?)、アニメ化も決定したことですし、シーズン後半に向けて巻き返していってほしいなという期待も込めて3位とさせてもらいました。
第2位 『capeta』 / 曽田正人
月刊少年マガジンで連載中のモータースポーツを題材にした作品です。
カートからフォーミュラにカテゴリーが移って少し失速したかなと思っていましたが、F3編に来てまた面白さが増してきたように思います。
「不利な状況を少しでも好転させようと
頭を使いタイヤテストを“利用”して
あそこまでなりふりかまわずやる奴が……!」
このセリフにすべてが集約されています。
速いヤツに少しでも追いつくため、自分にできることを徹底的に考える。そして、着実に実行に移し自分に有利な状況を作り出す。主人公・カペタは、アグレッシブで負けん気が強いんだけど、決して感覚的なだけでなく、しっかりと考えることができる男。そんな姿に、改めて痺れましたね。
ジャイキリよりも上にランク付けしたのは、20巻~21巻で描かれたタイヤテストの話によるものが大きかったです。 コース内でのバトルばかりでなく、車の開発の部分にまで触れていく・・・、これもモータースポーツのひとつのファクターですし、そこまで話を持っていった曽田先生には脱帽です。すごく面白かったです。
ちなみに私は、曽田先生のサイン会&トークライブに行ったことがあります。
そこで初めて、生のカラーイラストを拝見させて頂いたのですが、コミックで見るよりも遥かに力強く迫力があって、ものすごく感激したことを今でもよく覚えています。
第1位 『ANGEL VOICE』 / 古谷野孝雄
週刊少年チャンピオンに連載されている、サッカーマンガです。
サッカーマンガということを抜きにして、というか、サッカーマンガ以外で選べと言われたとしても、私は自信を持って『ANGEL VOICE』をこのマンガがすごいから読ませたいランキング1位に選ぶと思います(笑
何がすごいって、ストーリーの構成力ですね。
今年13巻まで発売されましたけど、巻数を重ねるごとに面白くなっていってます。
普通週刊連載だったら、巻数を重ねてくれば話の矛盾が出てきたり、後付け設定っぽいものが見えてきてもおかしくないんですけど、この作品はそういうのをまったくといっていいほど感じさせません。
最初の土台作りがしっかりできているから、途中ブレることなく、面白さを積み上げていけるんだろうなと思います。 その積み上げてきたものが花開き、今の圧倒的な面白さにつながっていると感じています。その無駄のなさが本当にすごい。
サッカー描写に躍動感が足りないのはちょっと残念なんですけど、それを補って余りある魅力があると思います。シリアス展開の中にシリアスの中にギャグを織り交ぜていくセンスも秀逸。
この作品を一言で言い表すと、“サッカー版『ROOKIES』”ということになるんですけど、『ROOKIES』とは違った面白さがそこにはあると思うので、未読の方は、もしよろしければこの『ANGEL VOICE』の世界に触れてみてほしいなと思います。1巻だけと判断は難しいと思うので、できれば2~3巻ぐらいまでまとめて読んでいただければと。
ジャイキリは、ある程度売れてきてるからいいんですけど、エンボイはその面白さに対して売れてなさすぎだと思うんですよ(あくまで、私の主観ですけどね)。
ある意味、私が今回こすヨメに参加させて頂いたのは、『ANGEL VOICE』の魅力を世にアピールするためだと言っても過言ではなかったのかもしれませんね(笑
・・・
以上が、私なりの基準で選んだ、「すごい!」「誰かに読ませてみたい!」と思った2009年のベスト5です。
選考基準としては、嗜好が偏っているとしても、私が今年読んできた中で純粋に「すごい!」「誰かに読ませてみたい!」と思った自分の感性を最優先してベスト5を選ばせて頂きました。
ジャンルや掲載誌のバランスは気にしてません。ただ、サッカーマンガに関しては、サッカー好き以外の方に薦めてみたいものということを踏まえ、若干マイナス補正していて選んだつもりです。
面白みのないランキングだと思ったならごめんなさい。
でも、数多く参加されているブログ管理人のひとつの個性として、これはこれでアリじゃないかなと・・・思いたい(苦笑
とはいえ、選んだ5作品の中に、サッカーマンガを2つ選んでしまい(ジャイキリとエンボイは、ガチなので外しようがなかったです)、これだとこのブログの読者の方的に新鮮味がないかなーと思うので、今私の読んでいるその他の作品などをいくつかピックアップしてみたいと思います(私のこすヨメランク6位以降という基準ではまったくありません)。
□ 『バチバチ』 / 佐藤タカヒロ
週刊少年チャンピオンに連載中の相撲を題材にした作品です。
『ANGEL VOICE』と同様に、「もっと評価されるべき!」と思える作品のひとつで、チャンピオンらしい魅力に包まれたものだと思います。闘争心をかき立てられる熱い漫画ですね。
今年はベスト5外にしましたが(入れようか結構悩んでました)、来年こそはベスト5入りさせたい、いや、きっと無条件で入れたくなるだろうという期待感を抱いています。『ANGEL VOICE』よりも、序盤から入っていきやすいと思うので、よろしければご一読を!
□ 『マイガール』 / 佐原ミズ
今年ドラマ化されましたね。『オーレ!』がバンチに掲載されている時から、ずっと好きで読んでました。 どうしてこれがバンチに掲載されてるんだろうと思いながらも・・・(笑
優しさと切なさ、柔らかい温かみのある世界観が好きです。
今は、単行本でしか読んでいないのですが、正宗と片桐さん(大人なのに初々しいこのふたりの関係がツボすぎる)、そして、コハルちゃんとの関係がどうなっていくのか、すごく気になります・・・。
□ 『バガタウェイ』 / 小日向いろは
月刊コミックブレイドで連載中のラクロスを題材にした作品です。
スクエニやマッグガーデン系は、真っ当なスポーツマンガが育つ土壌がないという印象が非常に強いのですが(私はそっち方面には疎いので間違った認識をしてるかも)、この作品は少女たちの青春群像劇を描いていくばかりでなく、ラクロスというスポーツについても、説明描写を交えながら作品の中に落とし込んでいこうする意志が感じられます。
そういった意味で、今後どれだけマイナースポーツであるラクロスを魅力的に描いていけるのか、個人的にも応援したいという気持ちがあり、注目しているので取り上げてさせてもらいました。
□ 『ラストイニング』 / 原作:神尾龍 監修:加藤潔 漫画:中原裕
週刊ビッグコミックスピリッツで連載中の野球を題材にした作品。
高校野球の監督が主人公なのですが、監督漫画としてのロジカルな奥深さを描いているのは、ジャイキリよりもこちらの方かなと思います(競技の特性が違うので一概に比較はできませんが)。
高校野球のちょっと黒い部分にも触れているところも個人的には面白いと思う。
野球マンガでいうと『ダイヤのA』も好きで、ラスイニは王道的なダイヤとは対極に位置付けされるタイプのものと思いますが、私が今一番好きな野球マンガはこれです。
□ 『いぬまるだしっ』 / 大石浩二
週刊少年ジャンプに連載中のギャグマンガ。
・・・ごめん、私これすごく好きなんだ(苦笑
久しぶりにジャンプを買って読んでみて、一番猛烈なインパクトを受けたのがこれでした。
ネタ的にもツボなものが多く、畳み掛けるようなギャグの連続に思わず声を出して笑ってしまいます。
・・・
この他にも、個人的に好きな作品はいろいろありますが、みんな挙げていくとキリがなくなってしまうので、このあたりで打ち止めにしておきます。
あとは、こすヨメ関連でブログを訪問して下さっている方向けにアピールという意味を込めて(笑)、サッカーマンガについても少し書かせて頂きたいと思います。
□ 『龍時』 / 原作:野沢尚 漫画:戸田邦和
同名の小説をコミック化したもので、ワールドサッカーキングにて連載中の作品。
ベスト5入れようか結構悩んだんですけど、サッカーマンガであることのマイナス補正が働いてギリギリのところで外したといった感じです。
U-17の選抜チームの一員として、スペインU-17代表と戦った主人公が、その試合での活躍が認められスペインに渡り奮闘していくというお話。
家族のことや日本人であるをあることを捨てようとしてまで、ひたすらストイックにサッカーに打ち込んでいく主人公の描写がすごいなと思います。簡単に成功をつかめないところもいいです。
サッカー描写も、スキル的に高すぎる感もありますが(これはどのサッカーマンガにも言えることですけどね)、元の小説がしっかりサッカーを描いてることありリアリティ路線の作品と言えます。
あとは、少しメンバー的には古いけど、実名のリーガ・エスパニョーラ所属の選手たち(ロナウジーニョやメッシなど)の登場も作品に彩りを添えていますね。
作品は、まるっきり売れてないというわけではないのですが、サッカー専門誌での掲載ということで作品をご存じない方もいらっしゃるかと思うので、ここで取り上げさせて頂きました。
□ 『YATAGARASU』 / 愛原司
サッカーマンガ好き的には、『VIVA! CALCIO』で有名な愛原先生の作品です。
月刊少年マガジンに連載中のトレセン、街クラブを題材にしています。
個人的には、ベスト5入りを考慮したい作品ではあるんですけど、サッカーという要素を引いてしまうと、特筆すべき部分が少ないというか大きなアピール要素に欠けるかなと思うので選外に。
この作品の一番の魅力は、サッカーシーンの描写力です。
愛原先生は、サッカーをしている身体の動きを描くのが現在連載中の漫画家さんの中でも一番上手いと思いますし、また見栄えのいい見せ方というのを心得ている方だと思います。その点を強く主張したかったので、ここで取り上げさせてもらいました。
こすヨメ的には上位にしにくいですが、サッカーが好きな方、しっかりサッカーをしてるサッカーマンガが読みたい方にはお薦めできるものなので、21巻まであって集めるのが大変ですが、もし興味があれば読んでみてほしいなと思います。
□ 『LOST MAN』 / 草場道輝
週刊ビッグコミックスピリッツで連載中の、『ファンタジスタ』で有名な草場先生の新作サッカーマンガです。
迫力のあるサッカー描写はさすがと思わせてくれるのですが、今作は純粋なサッカーマンガというよりは、コメディや人情劇といった色合いが強いものになっています。
また、サッカーシーンでも『ファンタジスタ』のような創造的なプレーでドキドキワクワクさせてくれるものとは少し違い、大衆には少しアピールしにくいということもあり、ベスト5入りのリストからは早めに外しました。個人的には、コメディ・ギャグ描写も含めて大好きなんですけどね(笑
現在連載で進行中のイングランド編は、サッカーの本場イングランドのビッグクラブを舞台に展開されていて、サッカー的な意味で面白くなってきそうな予感がり、今後に注目しておいてほしい作品ではあります。
これ以上は、またキリがなくなってしまうので、このへんにしておきたいと思います。 もし、その他のサッカーマンガに興味がおありでしたら、こちらで現在連載中のサッカーマンガをチェックしてみて頂ければと思います。
・・・
いかがでしたでしょうか。
基本的にサッカーマンガ(もしくは、リアルサッカー)以外のことについて語る機会がないので、私的には、すっごく楽しみながら記事を書かせてもらいました。たまには、こういうのもいいですね。結局、半分ぐらいはサッカーマンガ語りになってしまったのがアレなのですが・・・(苦笑
この記事を書くにあたって、こすヨメに私を誘って下さった『テニス漫画レビュー』の闇霧様、私のような者に参加を許可して下さったこすヨメ主催者である『古本屋の戯言』のヒロ様には、深く感謝の意を申し上げます。もし、来年も継続されるなら、是非ともまた参加させて頂きたいです。
そして、最後まで記事を読んだ下さった皆様方も、どうもありがとうございました。 ご意見、ご感想、苦情、または・・・「お前の方こそ、この漫画を読めよ!」というのがございましたら、コメント欄なりメールフォームからコメント下されば幸いです。
コメント
こちらこそ、こすヨメにお誘い下さいまして、
本当にありがとうございました。
ベビステは、普通に好きだから入れただけですので(笑
もっと売れていいと思うし、評価されるべきだと思ってます。
スポーツ漫画系で何するってのは面白そうですね。
何かできそうなものがあれば、是非乗っかってみたいです。
私も、ちょっと考えみたいと思います。
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あと、日頃は一つのジャンルに偏ったレビューを書いてるからこそ、「たまには他のジャンルも語りたい」という気持ちも、非常によく分かります。
とりあえず、ふれてぃすたさんがサッカー以外のスポーツ漫画にも精通していることが分かったので、いずれまた何らかの形で「スポーツ漫画系サイト」としての合同企画も考えてみたいですね。