【読み切り雑感】『CROWN!』 / 原作:稲吉慶 漫画:小林ツトム
2009.05.06 00:23
現在発売中の赤マルジャンプ2009SPRINGに掲載されている読み切りサッカーマンガ、『CROWN!』を読んだ雑感です。
ストーリーは、かなり大雑把に書くと、王冠をかぶることが習わしという、ヨーロッパのサンクトリウス家の王子・ジーナスが、語学留学を口実にサッカーをするため日本の新設校にやってくるというもの。
新設校ということで、サッカー部はなかったのですが、そこは、もうひとりのメインキャラである、カケイという中学県大会優勝メンバーのひとりだった人物がサッカー部設立のために動きます。それにジーナスも加わり、話は順調に進むかと思いきや・・・
王家であるジーナスにサッカーで怪我でもさせたら大変だ・・・
という、大人の倫理によって、強豪校を相手に練習試合に負けたら廃部というベッタベタな展開になっていきます。
カケイは、このような理不尽な仕打ちな受けなければならない要因であるジーナス(もちろん、ジーナス自体は何も悪くはない)のことを激しく罵倒します。
こうして、ジーナスはチームから孤立したまま、試合当日を迎えようとしていくわけですが、果たして、練習試合に勝利しサッカー部を存続させることができるのでしょうか?
・・・と、こんな感じでストーリーは進んでいきます。
※
読んだ印象としては、サッカーを描きたいというよりは、仲間と一緒にサッカーがやりたいにために、母親の母国である日本に語学留学の名目でやって来たジーナスの物語が主軸の作品だなと思いました。
高貴の身分であるがゆえに、自国ではひとりの人間として扱ってもらえず寂しい思いをする・・・ といった設定は、わりと見かけるような気がします。
サッカーという点で見ていくと、ジーナスは幼少の頃から頭に重い冠を乗せ続けたことによって、自然と鍛え上げられたボディバランスの話が描かれていましたが、それは、あくまでジーナスのルーツを描いたものであって、サッカー描写の面白さそのものに直結するものではないんですよね。もう少し、そのボディバランスを活かしてどうサッカーしていくのかというのが描かれていればベターだった思うんですけど・・・(そういうところを求める作品ではないとは思うんですけど)。
また、ボディバランスを鍛えるだけで、技術の高いプレーができるようになるわけではなく・・・
例えば、ジーナスは、自国の人間は自分と本気でサッカーをしてくれなくても、いつか仲間と一緒にプレーできる日を夢見て、ひとりひたむきにサッカーが上手くなるため練習に取り組んでいた・・・みたいな描写があってもよかったのかなと個人的には感じました。
仲間と共にサッカーすることを求めて日本にやってきた、ひとりの王子の物語を描いたもの・・・として読む分には決して悪くはないと思います。
けど、サッカーマンガとして作品を読みたいとするなら、多少評価は下げざるをえないのかな・・・というのが私の見方です。
まぁ、ですが物の考え方は人それぞれ。
興味のある方は、ご自身で赤マルジャンプをチェックしてみてください。
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