『GIANT KILLING 10』 / ツジトモ (原案・取材協力:綱本将也)
2009.04.25 21:26
Amazonおすすめ度:

※ネタバレとなり得る要素を含んでいる可能性がありますのでご注意ください
(単行本では)今回より綱本先生のクレジット表記が変更になっている、『GIANT KILLING』10巻の感想です。
10巻では、リーグ戦第12節のジェム千葉戦の続き(と言ってもジェム戦は少しだけしか描かれていませんが)、カレーパーティーの話を挟んで、リーグ戦第13節の川崎フロンティア戦が始まっていきます。
※
10巻のほとんどは(10話中8話)川崎戦となっていますが、ストーリーの山場は11巻のほうにあるので、川崎戦については今回は簡単に触れる程度にしておきます。
選手の才能を見つけ伸ばすのが大好きなネルソン監督率いる川崎フロンティア。
ネルソンによって力を伸ばした選手たちは、"ネルソンのために!"の想いでまとまり、若手主体のチーム構成というのもあり勢いに乗せると怖い相手。
一方でETUは、キャプテン・村越がイエローカードの累積警告で出場停止(リアルJリーグだと、累積のイエローカードが通算4枚になると次の試合に出場できないというルールがあります)、それに加え、王子が足の張りを訴え欠場(・・・のわりに、バカンスを計画してたりとかね?w)という状況。
そんなベストメンバーが組めない状況で達海は、椿にゲームをキャプテンを任せたり、これまでとメンバー構成を少し変え、これまで出番の少なかった、石神、堀田、堺といった年長組の選手をスタメンで起用します。
これらによって、ETUはどんな戦いぶりを見せてくれるのでしょうか?
というのが、川崎戦でのテーマになっていきます。
今回は、とりあえず川崎の中心選手で、椿とマッチアップすることになる八谷渡の話が良かったです。
暑苦しく椿に絡んできて、ザコキャラオーラを放っているように見える(それはそれで楽しませてくれました)八谷ですが、彼が自分の力を十分に発揮できないまま複数のクラブを渡り歩いていたという苦労人ぶりや、ネルソンが八谷をボランチにコンバートする時にかけた言葉・・・
「君とは運命共同体なのだわ」
には、胸にぐっとくるものがありました。
選手の才能を伸ばすことに心血を注ぐという、監督として達海やダルファーなどとは違う個性(哲学)を見せてくれるネルソンの存在も良かったです。
それと、今回スタメン起用された年長組の選手たちについては、11巻のほうで触れていきたいと思っていますが、開幕戦でスタメンでありながらも、いつの間にか若手の石浜にポジションを奪われてしまいた石神が見せるキャラクター。
ここから一気に評価を上げていくことになる、石神のまさに"飄々とした"という言葉が似合う活躍ぶりは必見で、注目しておいてほしいなと思います(笑
※
続いて、今回一番私を心震わせてくれたのが、カレーパーティーのエピソードです。
"選手だけでなく、ベンチ、フロント、サポーターがともに前を向く!!
クラブで戦う! それがフットボールだ!!"
選手も、フロントも、食堂のおばちゃんやジュニアのコーチまでをも巻き込み、地元のETUを愛する人々を招き、一緒に仲良くカレーを食べながら、コミュニケーションを深めお互いの結束力を高める。
これはクラブの監督が主導で行うことではないよなー・・・なんてことを思いつつも(笑)、こういうクラブとサポの素敵な関係は、読んでいて心が震えました。
特に、実際に自分の応援するクラブを持っている人なんかは、そういう思いを強く感じたのではないでしょうか(これを読んだ当時、私の応援していたクラブも、それぞれがバラバラな状態だったので、これエピソードを読んで、いろいろ感じるものがあったんですよね・・・まぁ、そんな話はどうでもいいですね・苦笑)。
達海も元々はETUでプレーしていた選手です。
達海の、"クラブで戦う!"といった思想の根底には、現役時代、彼自身がスタジアムに駆けつけた人々から多くのパワーもらっていたから・・・といった要素もきっとあったんだと思います。
それがこういう形で還元されて(と言っても、チームが素晴らしいフットボールで勝利してくれるのが最高だと思いますけどね)、サポーターもまたETUを一生懸命応援しにスタジアムに駆けつけ選手たちに戦う勇気を与える・・・
それらがお互いに作用に循環していくことによって、クラブの歴史が紡がれていく・・・
私が書いてることは、現実的に見れば、幻想的な理想論でしかないかもしれないですが、(今はサポ同士での対立があったりもしますけど)ETUはそんな素敵なサッカークラブであり続けてほしいなぁと思います。
ジャイキリは、達海猛という監督が主人公で、サッカー監督にスポットが当てられた作品ではありますが・・・、ETUというサッカークラブを軸に、それらを取り巻くあらゆる人々の織り成す人間ドラマも非常で魅力的であるということを再認識させてくれるエピソードでした。
やっぱり、私がジャイキリが大好きだな~と思いますね(笑
※
あと、もうひとつ書いておきたいのが、最近特に異常なまでに私を楽しませてくれる、黒田一樹という男について。いやぁ、最近のクロの面白さは神がかっとる!
カレーパーティーでは、達海に意のままに操られビラ配りに行くことになるクロ、しかも、一緒に行った相棒の杉江は、女子高生にサインを求められさらにショックを受けるクロ。
川崎戦試合前のロッカールームでは、椿のゲームキャプテンに異を唱え、さりげに自分をキャプテンにとアピールしてみるものの、達海から"陰キャプテン"という微妙な役職を与えられ、私たちの笑いを誘ってくれるクロ。
・・・さらには、テンパりまくりの椿の代わりに、円陣を仕切ろうとするも、年上選手から「陰キャプ」と茶化されるクロ。
また、おまけカットでもネタにされてたりもするし・・・
クロは、本当みんなに愛されてますよね!
時々やらかしてしまうことはありますけど、プレーヤーとしても心強いですし、私もそんなクロが好きですよ。
まぁ、サッカーとは全然関係ないところでの話ですが、こういうキャラクター同士のやり取りもジャイキリの楽しさのひとつだと思います。
次は、どんな風に私たちを楽しませてくれるでしょうかね?(笑
※
毎回恒例の初版限定ステッカーについて。
やはり、週刊モーニング2009年19号で使用された表紙にあった、達海のフラッグでした。
冒頭部分には、ETUのこれまでの試合結果が掲載されています。
ですが、18ページの電光掲示板の結果と照らし合わせると、計算が合ってなかったり・・・。
文中でも触れてますが、おまけカットはいつも通り面白かったです。
陰キャプがやっぱりツボでした(笑
王子のも面白かったですけどね・・・そうやって、またファンが多国籍化していくのねと。
あと、さりげに表紙の赤崎の代表ユニがいいなと思いました。
※
さて、続く11巻についてですが・・・
1点をリードされたまま後半を迎えたETU。
椿をゲームキャプテンに指名した意図、年長組をスタメン起用した狙いなどが明らかにされていきますが・・・
「俺わかってるからさ
お前らがこんなもんじゃないってことぐらい」
果たして、ETUはここから逆転勝利を収めることができるのでしょうか?
先の展開は知っていますが、単行本でまた読み返すのを楽しみにしてます。
単行本出せるだけのストックはあるので、2ヵ月後ぐらいに出してもらえると嬉しいなぁ(笑
■ 収録
#88~#97
週刊モーニング2008年47号~2009年6号
リーグ戦第13節vs川崎フロンティア、後半開始直後まで収録
タグ : GIANT-KILLING
コメント
コメントの投稿
トラックバック
http://soccermanga.blog84.fc2.com/tb.php/450-9853f5a8