【読み切り雑感】 『ナリキン!』 / 鈴木大四郎
2009.04.23 00:30
ここ最近、ずっと私は何かを忘れている・・・と思っていたら、これだ、この作品のことをすっかり忘れてました・・・orz
現在発売中(結構日数が経ってます)の月刊少年チャンピオン5月号にて、鈴木大四郎先生の『ナリキン!』という読み切りが掲載されているので、読んだ雑感を書いていきたいと思います。
主人公は、成金歩(なりがね あゆむ)、通称ナリキン。
↑の画像がナリキンです。
キャラクター的には、マンガでよく描かれる外見のイメージと、そうかけ離れてはいないと思います。
サッカー部に所属するも、技術も練習についていく体力もなく、球拾いという立場なのですが・・・
「あんな強引に打ったって入るわけないでしょ
右にフリーの石倉さんがいたの見えなかったのか?
今のはパスが正解! 僕ならそうした!」
と、不遜にも上から目線で、サッカー部のエースに対してダメ出しをする男。
そんなナリキンですが、彼には、中学に入りサッカーを始めるまでは将棋一筋で、その実力は、奨励会でも一、二を争うという中学時代の友人をも赤子同然だというほど。
ナリキンは、その友人と道場で将棋を指していたのですが、そこで、服部桂司という男に出会います。
この出会いが、ナリキンの運命を変えていくことになっていきます。
※
サッカー描写的には、ナリキンが将棋によって培われた、"先の展開を読む力"を使ってサッカーをしていきます。
サッカー部の先輩たちの動きのクセをよく観察し、把握しているナリキンは、ゴール前に上がったクロスをGKがファンブルするところまで先読みしゴールを決める・・・。
サッカーシーンそのものはそれほど多くはなかったですが、技術や体力がなくても、先輩部員たちが持ち合わせていないストロングポイントを活かして勝負に勝つというやり方そのものはなかなか良かったと思います。
※
ですが、ひとつのマンガとして見た場合・・・
相手のことをリスペクトせずに、上から目線でダメ出ししたり、自分の主張を通そうとする主人公のナリキンのことをどう受け取るか。
主人公は、"必ずしも性格的にいいヤツである必要性はない"と私は思ってはいますが、結果(実力)または努力を示していないのに不遜さを見せるナリキンに、私はあまりいい印象が持てませんでした。
そのネガティブな印象が先行してしまっているため、本来だったらもっとワクワク感を得られるであろうゴールシーンでの高揚感も半減してしまったかなというのが正直なところ。
そのナリキンの性格的欠点については、その後服部がしっかりと指摘しているので、そのあたりは狙ってやってるんだと思うんですけどね。
作中ナリキンが将棋よりもサッカーの道を選ぶきっかけになるエピソードも描かれてはいるんですけど、彼の心の中にある"サッカーが好きで好きでたまらないんだ!"といった部分をもう少し感じてみたかったです。そうすれば、また読んでいて印象も違ってきたはず。
連載の第1話として読むなら、これでも問題ないのですが(もしかしたら、連載の可能性も視野に入れてる読み切りなのでしょうか?)、読み切りとして読むなら、もう少し爽快感みたいなものがほしかったかもしれません。
※
・・・なんて、私もいろいろ偉そうなことを書いてきましたが(苦笑
もし、この作品の続きを読んでみたいかと問われれば、間違いなく「読んでみたいです!」と答えます。
「サッカーってのは"線"のスポーツだ
選手という名の"点"をパスという名の"線"で繋いでった先に…
ゴールという名の得"点"がある
お前が決めたのはただの"点"だ それじゃ一人で将棋やってるのとどこが違う?」
これは、服部がナリキンに言った言葉なのですが、そもそもナリキンは、みんなと"繋がっている"感覚を得たことがきっかけでサッカーを好きになっています。
だから、今は嫌われ者状態だけど、人間的・精神的にも成長し、徐々に周りに認められてピッチの中でも繋がっていくことができるようになっていくにつれて、面白くなっていくのではないかという期待感。
それに、ナリキンが将棋で得た先を読む力に、技術や体力的な成長を伴うようになったら、彼はどんなプレイヤーになるんだろう? ・・・といったものも見てみたい。
私以外の人はどう思うかは分かりませんが、連載化されたとすれば、伸びしろはそれなりにあるとは思うので、とりあえず、アンケート書いて送ってみようかと思ってます(笑
興味がある方は、万人受けするタイプの作品ではないですが、チェックしてみてはいかがでしょうか。
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