『GOLDEN★AGE 12』 / 寒川一之
2009.02.24 00:02
※ネタバレとなり得る要素を含んでいますのでご注意ください
"WEB連載 アクセス殺到!!"書かれている帯が、なんとも微妙な気分にされてくれる、『GOLDEN★AGE』12巻の感想です。
いよいよ決勝戦を迎えた県大会。
かもめ中と対するは、今までに一度もフリーキックを決められたことがないというGK・滝数馬が率いる横浜永和。
かもめ中は、超守備的な布陣を敷く横浜永和を前にリズムを作れないでいる中、試合前、父親に会い「お前は何もできない選手(プレイヤー)だ」と言われ、何とか見返してやろうとするものの空回ったプレーを続ける近江が、自陣ゴールに近い位置で相手にフリーキックを与えてしまいます。
ここで、前半早い時間なのにも関わらず選手交替をする横浜永和。
その出てきた選手とは、なんと、偵察に行った時、ただのヘタッピかのようにしか見えなかった三島剣二だった!
・・・といった感じで12巻が始まっていきます(前置きが長くなってしまった・・・)。
その三島が見せる究極の一芸。
徹底した守備サッカーを見せる横浜永和を相手に、唯たちはいかにして突破口を見出していくのか?
空回りしまくりな近江は、この後一体どうなってしまうのか??
このあたりが、今回の見どころになってくるかと思います。
12巻全体を通した感想としては、試合描写がメインではあるんですけど、サッカーの話よりは、思いっきり主人公しまりくな近江と、キャプテン徳ちゃんのエピソードが良かったな思いました。サッカー描写については、栄大藤沢戦の面白さから比べると微妙だった・・・かな(面白いところもありましたけどね)。
※
まずは、何と言っても、徳ちゃんの話に触れないわけにはいきません!
三島のFKで先に失点し、その後も攻め続けチャンスを作っても作っても同点ゴールを決められないままハーフタイムを迎え、閉塞感が漂うロッカールーム・・・。
なんとかこの空気を変えたいと思った徳ちゃんは、「おめーら、大丈夫だぜ。 かもめ中はあんなキーパーに負けやしねーよ!!」と、後半開始前の円陣の中で声を出し、そしてメンバーそれぞれに声をかける(トラと蓮葉に拒否られてたのには吹いたけどw)。
この徳ちゃんの見せたキャプテンシーが、閉塞感漂う空気からチームを解放し、後半持ち直すきっかけとなっていくのがすごく好きでした。
そして、もうひとつは、横浜永和の追加点を防ぐために思わず、エリア外で手を使ってしまい、一発レッドで退場になってしまうシーン(あれは、連載雑感でも書いたと思いますけど、ボールを止めるため無我夢中になりすぎてしまった結果、知らぬ間にエリア外まで出てしまってたんでしょうね・・・)。
理由はどうあれ一発レッドは当然のことで、この後どうなってしまうんだよと思いながら読んでいたのですが・・・
「うおおおお!!!!」
と、突然大泣きする徳ちゃん。
やってしまったことは、確かに大チョンボもいいとこだったんですけど、「情けねえ~」と自責の念に駆られ大泣きする徳ちゃんの姿を見て、読んでる私まで泣けてしまいました。本当、こう来るとは思ってなかったのでやられました。
かつて東神にサッカーのスコアとは思えないほどボッコボコにされ、次々に部員が辞めていく中でも、真田、佐渡とともに残り、かもめ中サッカー部を支えて、誰よりもかもめ中サッカー部の躍進を嬉しく思っていた徳ちゃん。
実力的には、ぶっちゃけ大したことないかもしれないけど、それでもキャプテンとして自分なりにできることを頑張ってきた徳ちゃん。
この先も、試合の中での見せ場はほとんどなさそうですが、とにかく今回、私の胸を一番熱くさせてくれたのは、他でもない、徳ちゃんだったのでした!
※
徳ちゃんのことを書いて、何だろう、すでに文章を書ききったかのような充実感があったりするのですが(笑)、もうひとりの男についても触れておかなければなりません。
あの徳ちゃんの退場のそもそもの発端となり、その徳ちゃんの退場によりようやく目を覚ましたG★Aの事実上の主人公とも言える近江舷也についてです。
まだ空回るぐらいならまだしも、スタジアムで観戦していた父親の姿が見えなくなった途端、覇気のないプレーを見せ始めた近江には、正直イラッときてました。
けど、徳ちゃんの退場後、「オレは… オレにできることをやる!」、"チームのために"を意識し始めてからの近江は、王道展開ではありますがスカッとさせてくれたと思います。
そして、決勝点となったのは、フラグが立っていた、あのロベカルシュート!
決めるシーン、近江の心理描写あたりはすごく好きなのですが、"やはり、あの左に大きく外れた場所をめがけて蹴ったシュートが逆サイドのネットに突き刺さってしまうのやりすぎだろー!"という印象はありました。
ただ、もともとG★Aは、(特に近江の場合)誇張表現が激しい傾向にありますし、何より、主人公してる近江を楽しむのがメインテーマだと思っているので、あれはあれでいいんだと思っています。
近江と徳ちゃん、この2人の物語が面白かった12巻でした。
※
毎回のお楽しみになっている、巻末のおまけまんがは、これまでとは趣が違って、G★Aの担当編集者のドジっ子ぶり(あ、編集者さんは男性ですよ)ついて描いた内容となっていました。
サンデーの編集部については、まぁ・・・、その、なんだ、いろいろなことがネットの世界では囁かれていたりしますが、そんなイメージを吹き飛ばすような(どんなイメージしてるんだ?w)ほのぼのとしたものとなっていて、ある意味このおまけまんがが一番の見どころかもしれません(笑
※
さて、続く13巻は、早くも3月18日発売となっています。
ストーリーは、かもめ中の次なる戦いへ!
サンデー本誌収録分は、これで収まることになります。
ウェブコミックに移行した2nd legは、隔週での連載なので、13巻が出ると、その次は結構待たされることになってしまいそう・・・と思うと、少々複雑な気持ちもあるのですが、とりあえずそのことは忘れて、来月の発売を楽しみにしたいと思います(笑
■ 掲載
GOAL107~GOAL116
2008年36・37合併号~46号
横浜永和戦、試合終了のホイッスルが鳴ったところまで収録
タグ : GOLDEN★AGE
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