『YATAGARASU 19』 / 愛原司
2009.02.22 00:02
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※ネタバレとなり得る要素を含んでいますのでご注意ください
チームの目標である、高円宮杯出場に向けた第一歩、日本クラブユース選手権の地域予選が始まりました。
初戦の相手は、前年度2位だった虎池FCガーズ。
虎池FCは、かつて反町(&諸見里)が当時所属していた高校のサッカー部をやめることになる原因にもなった因縁の相手。
19巻では、18巻の最後のほうから始まった、虎池FC戦がメインとなっています。
フィジカルを前面に押し出したハード・・・というよりは、少々ラフなプレーを仕掛けてくる虎池のサッカーに対し、グランヴォーチェの選手たちはどんな戦いを見せてくれるのかが今回の見どころです。
※
今回も、江守くんや宮がカッコ良さを見せてくれて個人的には大満足でした(笑
江守くんについては、ディフェンスラインを上げるように塚口に提案する場面や・・・
「逆に相手を追いつめていくには…
相手の一番得意なところに真正面からブツかっていかなきゃって…」
と、結局は負傷して交替となってしまったけれど、怪我をすることを恐れずに相手ボールになるのを阻止しに行った場面は、すごくカッコ良かった。
また、その江守くんの勇気を持ったプレーが、茂木の同点ゴールを生むきっかけになっているところも良かったと思います。
江守くんは、最初の頃は、茂木に振り回されるだけの役回りのキャラかと思っていたのですが、地味にだけど着実に成長を見せてくれていますね。
宮については、最初は練習した成果を見せられずに失点してしまいますが、江守くんの提案でディフェンスラインを上げてからは、浅いディフェンスラインの裏を突かれてもエリア外まで飛び出してクリアしたり、PKを止めたり、試合終了間際の相手の強烈シュートをナイスセーブしたりなど、19巻のMVPとも言えるほどの大活躍!
18巻の感想にも書きましたが、愛原先生の作品は、主役クラスを中心にストーリーを動かしていく傾向が強い中、彼らのような日陰系のキャラが活躍は、読んでいてとても嬉しくなってしまいます。
あとは、虎池FCと因縁のある反町と諸見里。
反町は、相手の挑発にも乗らず精神的に成長したところを見せてくれたのが良かったですね。
決勝点はアクロバティックなゴールを決めてくれたりと、反町らしいところも見せてくれました。
ただ、諸見里には、もうちょっと見せ場を作ってあげてほしかったかな。
個人的には、相手の激しいコンタクトプレーを反町が個人技で軽くいなし突破したところでクロスを上げ、それを諸見里が決める展開が見たかったかも。
あ、でも、面白かったですよ。
相手の虎池FCも、プレーにラフなところはあったし、どこからどう見てもヒールでしたが、"勝ちたい!"という気持ちの強さ、身体を張ったディフェンスなどは悪くなかったと思います。
※
サッカー描写的には、(特に江守くんの提案でラインを上げるようになるまでの)GK(宮)とディフェンスライン(塚口、大沢など)の微妙な関係が面白かったですね。
あとは、虎池FCのスタイルにもあってか、コンタクトプレーの描写が多めだったような気がするんですけど、その描写力はさすがと言いますか、力強さがあって見ごたえがあったと思います。
一定のサッカーマンガファンの層以外には、なかなか評価されにくいのかなという印象はありますが(『YATAGARASU』の感想って検索してもほとんど見つからないんだもの・・・)、愛原先生はサッカー描写で勝負できる数少ない方なので、個人的には応援したいです。
※
さて、次の20巻では、予選リーグを突破し、決勝トーナメントを戦っていくことになります。
グランボーチェの次なる相手は御陵川FC。
御陵川は、守備偏重のシステムに加え、GKもかなりの実力者な様子。
この作品は、単行本でしか読んでいないので、先の展開はまったく知らないのですが、19巻を読む限りでは、反町がキッカーとして練習してたセットプレーが鍵になりそう?
とにかく、20巻の発売が楽しみにしています。
■ 掲載
Vol.72~Vol.75
月刊少年マガジン2008年9月号~12月号
江守くんたちが御陵川のGKのすごさを知るところまで収録
タグ : YATAGARASU
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