『ANGEL VOICE 9』 / 古谷野孝雄
2009.02.10 00:22
Amazonおすすめ度:

※ネタバレとなり得る要素を含んでいますのでご注意ください
高校サッカー選手権千葉県予選の1次予選を突破し、2次予選を見据え徹底的にフィジカル強化を目的とした合宿に取り組みパワーアップした市蘭のメンバーたち。
9巻では、2次予選、そしてさらにその先の戦いが描かれていくことになります。
※
今回は、サッカーの部分も、『ANGEL VOICE』らしいキャラの成長やドラマを描いた部分も両方楽しめる内容となっています。
まずは、最近プレー中のミスが多く、自信を失ってしまった広能と、練習後、広能のために特訓に付き合う乾とのエピソード。
自暴自棄になる広能には、ちょっとイラッとしていまいましたが、その後はしっかりと成長を見せてくれましたし、何より、優しさを見せる乾のいいヤツぶりがすごく良かった。
また、ふたりの特訓を見守る麻衣の姿も合わせて、とても微笑ましい気持ちになれました。
続いて、次の対戦相手ではないけれど、ノルマであるベスト4入りをかけた大一番の相手は、なんとよりによって天下の船和学院に・・・!
・・・ということで、船学との戦いを見据えたさらなるチームの強化と、そして、船学のエース・古川鷹山(ござる君)と偶然にも出会うことになる主人公・成田信吾のエピソード。
前者は、サッカーの基本的なことも丁寧に描くこの作品の良さとキャラの成長、後者は、敵役とのエピソードもカッコ良く描ける、これまたこの作品の魅力を見ることができます。
成田とござる君の出会いは、半分ギャグ入ってるところもありますが、成田がござる君の正体を知ったときの・・・
「全力で来い!!」
と、言葉をかける場面は、このふたりの再開の時をとても楽しみさせてくれるものでした。
そして、いよいよ始まる決勝トーナメント。
船学と戦う前に、まずは千葉南光を倒さなければならないのですが、これまで戦ってきた土ではなく、芝のピッチに悪戦苦闘する市蘭。
土と芝のピッチの違いをテーマにしたサッカー描写の面白さと、キャラたちが着実に成長しているところを感じられるところが良かったです。
先程の繰り返しになりますが、丁寧なサッカーの描写に、この作品らしいキャラの成長やドラマ、それに加えここぞの場面でギャグで笑わせてくれる・・・
『ANGEL VOICE』の魅力のあらゆる要素が詰め込まれていて、面白く読ませていただきました。
あとは、やっぱり・・・
これもいつも毎回言ってることの繰り返しになってしまいすが、サッカー描写の"動きのある画"に迫力が感じられないのが惜しいところです。
特にミドルシュートというのは、サッカーの中でも豪快かつとても美しいもので、そのあたりの魅力を作画の中でもう少し引き出せたら(ボールの軌道の描き方にもう少し工夫がほしいかなと・・・)、私の中ではほぼパーフェクトな作品なんですけどね・・・。
・・・なんて偉そうなことを書いてしまいましたが(苦笑)、その部分を差し引いても、私にとってはとても魅力的な作品ですし、もっともっと評価されてほしいなぁと願っています。
※
さて、続く10巻は、千葉南光戦のまとめ。
そして、市蘭サッカー部の命運をかけた大一番、船和学院と戦うことになっていきます。
船学と戦う前に描かれる切ないエピソードもあり、ここからより感情移入度が高まっていくであろう市蘭サッカー部をめぐる物語に注目です。
■ 収録
第70話~第78話
週刊少年チャンピオン2008年43号~51号
千葉南光戦、尾上の先制点のところまで収録
タグ : ANGEL-VOICE
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