『イナズマイレブン6』 / やぶのてんや
2010.07.06 19:13
※ネタバレとなりうる要素を含んでいますのでご注意ください
講談社漫画賞の受賞、コミックの累計発行部数も100万部を突破と、コミック版の方も着実に勢いが増してきている、『イナズマイレブン』6巻の感想です。
フットボールフロンティア全国大会決勝戦、世宇子中と戦う雷門中。
大好きだったじいちゃんが影山によって殺された事実を知り、心を乱したまま試合に臨んでいた円堂は、ゴッドハンドが発動できなくなるピンチに陥りますが、壁山と栗松のフォローを受け、トリプルディフェンスを形成しピンチを凌ぐことに成功。
支えてくれる仲間たちの存在に、自分を取り戻した円堂。 果たして、雷門中は、世宇子中を相手にフットボールフロンティア全国大会優勝を勝ち取ることができますでしょうか。
※
6巻では、世宇子中との決着が描かれていきます。
ひとつの話のクライマックスを迎えていくだけに、普段以上に『イナズマイレブン』らしい熱い展開が怒涛の如く押し寄せてきます!
円堂が復活し、さらなる成長を見せたことで、世宇子中の攻撃を抑えていた雷門中でしたが、アフロディの“ゴッドノウズ”が炸裂して先制を許してしまいます。
そればかりではなく、さらに風丸が負傷し、治療の間10人での戦いを強いられる雷門中。 そんな中、豪炎寺が健闘を見せるも・・・ゴールを奪えず、風丸もケガの状態が悪くプレーするのが難しい状況の中で登場したのが・・・
鬼道有人だぁーーー!
細かいところで突っ込みたくなりますが、そこは華麗にスルーするとして(笑
鬼道が加わった雷門中は、その鬼道が中盤で時間を作り味方を上がらせ、上がった壁山へ“相手ゴール前でザ・ウォールを発動させ”パスを送ります。
ザ・ウォールが相手GKのブラインドになっているところを、豪炎寺がファイアートルネード・・・?
いや違う。
鬼道のダークトルネードも合体させた、“ダブルトルネード”で同点ゴールを奪う雷門!
しかし、このまますんなりと逆転といくわけもなく・・・
神のアクア(要はドーピング)を飲んだアフロディが、さらなる力を解放させ、フルパワーの“ゴッドノウズ”で雷門ゴールに襲い掛かります。
片手の“ゴッドハンド”では防げなくても、みんなの思いを乗せたもう片方の手で“ゴッドハンド”、つまりは、“ダブルゴッドハンド”で雷門ゴールを守る円堂。
世宇子中優勢の中で試合が進んでいく中、なんとかゴールを守る雷門中でしたが、いよいよ勝負のときが訪れます。
たまごろうの顔面ブロックからボールを奪った雷門中は、豪炎寺へとつなぎ攻撃へと出て行きます。そんなとき、円堂に対して、お前も上がってこいと声をかける鬼道。
GKである自分が自陣ゴールを空けて上がることにためらいの表情を浮かべる円堂でしたが、味方に背中を押され、ゴール前と駆け上がっていく・・・。
豪炎寺、円堂、鬼道・・・
3人のキックが合わされば、きっと相手ゴールを打ち破ることができる!
そう信じみんなの想いが集結した“イナズマブレイク”
シュートは、相手GKを打ち破ることに成功したものの、ゴール前にはボールよりも先回りしたアフロディの姿が・・・
ゴールを奪えそうもない。
悲観的な空気が流れる中、どうしても勝利することを諦められない男がいました。
(何度も何度も挫折をのりこえ仲間を増やしたくさんの練習をして…、
やっと… やっとここまでたどりついたんだ…、だから…。だから…!!)
「あきらめてたまるかぁー!!」
諦めないことで、ここまで勝ち上がってきた雷門中。
その想いが円堂を突き動かし、ゴールに転がり込むようにダイビングヘッド・・・
このゴールが決まり、雷門中は勝利し、フットボールフロンティア全国大会の優勝を手に入れることがでました!
・・・と、ここまでひたすらに話の流れを綴ってきただけですが、これらの展開が怒涛の如く押し寄せ胸を熱くさせる。とにかく熱い、熱いとしかいいようがありません。
私はもういい大人ですし、決してこういったタイプのサッカーマンガを多く望んでいるわけではないですが、『イナズマイレブン』のような児童誌らしい熱血王道展開というのも、今読んでもこれはこれでよいものです。
※
こうして、フットボールフロンティア全国大会は、幕を閉じたわけですが、これで6巻が終わりというわけではなく、新展開へと続き、話は“フットボール フロンティア インターナショナル (FFI)”編に突入していきます。
ゲームやアニメを知っていると、ずいぶんごっそり話をカットして、吹雪や不動などをここで普通に新キャラとして持ってくるんだなと思ってしまうのですが、続く7巻では、新展開が本格的に動き出していきます。
コミック版では、ゲームでは3に相当する部分をどのように描いていくのか気になるところです。
『イナズマイレブン』は、コロコロ年代を越えてしまうと、読む人を選ぶ作品だとは思いますが、今の少年たちに多大な影響を与えているものとして、作品の世界に触れてみるのも悪くないんじゃないかと思います。
『イナズマイレブン』の存在が、日本サッカーの10年ぐらい先に何かしらの軌跡を残しているのか、個人的には興味深く見ていきたいテーマですね。
■ 掲載
第21話~第24話
月刊コロコロコミック2010年2月号~5月号
新展開、FFI代表メンバー選抜テストが行われるところまで収録
タグ : イナズマイレブン
『YATAGARASU 23』 / 愛原司
2010.07.06 00:44
※ネタバレとなりうる要素を含んでいますのでご注意ください
単行本感想がなかなかできなくてごめんなさい。
まずは、『YATAGARASU』23巻の感想です。
全日本クラブユース選手権地域大会準決勝。
森村と同等の才能を持つ緑川魁が実力を示し、夙沢サザンを相手に1-3とリードを許しているグランヴォーチェ。
しかし、後方からのタックルにトラウマがあり神経質になる魁は、イージーなミスを連発し始め、自分のプレーを見失っていきます。
試合の残り時間は15分を切り、諦めるには早いですが、かといって残された時間は決して多くない状況の中で、グランヴォーチェは2点差をひっくり返し勝利を収めることができるのでしょうか。
※
23巻では、夙沢サザン戦の決着がつきます。
魁のミスからの流れで、まずは1点を返し2-3とするグランヴォーチェ。
後方からのタックルに対するトラウマが想像以上に深いもののようで、自分を見失い苦悩しながらもプレーを強いられる魁。
そんな魁の心を動かすことになる、茂木&森村の恐れることのない勝利への執念を見せるプレーに、読んでいて胸が熱くなってきました。
1点を返したのは茂木のゴールだったのですが、その茂木はゴールを決めるとき、相手GKと強く接触し、その後ゲーム中に左目が塞がってしまうほどに腫れあがってしまいます。
魁が不調のままで、グランヴォーチェに試合の流れがある状況。
治療を終え、いち早くピッチに戻りたい茂木ではありますが、目を塞ぐほどに腫れあがってしまったとなっては、いくら冷やしたところで簡単に腫れが引いてくれるわけがありません。
でも、今のままではプレーに戻ることができない・・・。
そこで、総監督である伊集院のじっちゃんがある提案をします。
「マブタを切ってしまえっ」
・・・考えるだけでも私はゾッしてしまうのですが、茂木は何のためらいもなく「なんでそれを早く言わねーんだよっ じいさんっ!!」と返し、まばたきひとつせずマブタを切られ、溜まった血を抜き、治療してピッチへと戻っていきます。
痛い痛い・・・と思いつつも、勝利のためならこんな程度のことは恐れないというその執念には、ただすごいとしか言えません。
ピッチに戻った後も茂木は、治療した箇所を気にせずヘディングをするなどして・・・、とにかくそんな彼のハートの強さに胸が熱くなってします。
おまけに、魁のフェイントを真似しようとしてミスったけど、包帯がゆるく一瞬見えなくなったことが幸いして、思わぬスーパープレーからゴールを決めるシーンも見せてくれました。
一方、森村の方も。
試合中相手のタックルを受け、右足を痛めた状況でも勝利のために戦い続けます。
トラウマを抱える魁の、無理をしてもしプレーできなくなったらどうするんだという問いにも・・・
「ケガを怖がって100%の実力(ちから)を出してプレー出来ないなら……
それは俺にとってプレーしてないのと同じことだ!!」
と、魁の心を直接動かす後押しにもなる、カッコよすぎる言葉を返す森村。
そして、魁がトラウマを抱えるきっかけとなったのと同じ角度からタックルを受けそうになった森村が、“あえて痛めた右足”でブロックし、決勝ゴールとなるシュートを放つ。
そんな森村のケガを恐れないプレーも、私の胸を熱くさせてくれるものがありました。
ここまで茂木に森村のふたりをメインで取り上げましたが・・・
1枚イエローカードをもらっていても、決して怯むことなく魁を止めに行こうする長谷部や(結果的に、2枚目のイエローをもらってしまいますけどね)、そんな長谷部の2枚目のイエローの判定にボールを叩きつけて抗議する宮など・・・
彼らも含めた、勝利のために恐れることなく勇敢に戦っていく姿勢が、とにかく今回は熱かったです。
魁の側から話を見ても、何とか魁にトラウマを克服させてやりたいとあえて交替させなかった夙沢サザンの監督や、最後は修復される親子関係の描写も良くて、ここまで2巻以上に渡って描かれてきた夙沢サザン編でしたが、最後はスッキリとした気持ち読み終えることができた・・・そんな23巻だったと思います。
※
さて、続く24巻以降についてですが・・・。
準決勝を勝ち抜き、Jユースとの決定戦を戦えることが確定したグランヴォーチェ。
先の展開は、全然知らないので何とも言えないですが、まずはトーナメントの決勝戦が描かれることになるのでしょうか。次はどんな試練が待ち受けているのか、続きを読むのが楽しみです。
■ 掲載
vol.88~vol.91
月刊少年マガジン2010年2月号~5月号
夙沢サザン戦の決着まで収録
タグ : YATAGARASU