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サッカーマンガを読もう!

ひとりの"サッカー好き"が書く、主観的なサッカーマンガの読書日記。『GIANT KILLING』と『ANGEL VOICE』を猛烈にプッシュ中!

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『ANGEL VOICE 16』 / 古谷野孝雄 

2010.06.16 23:19




※ネタバレとなりうる要素を含んでいますのでご注意ください




先日、ダ・ヴィンチのサッカーマンガの特集にも取り上げられ、注目される存在になつつある・・・と思いたい(苦笑)、『ANGEL VOICE』16巻の感想です。

・・・

抱えていた問題(植草たちのこと)も解決し、迫る新人戦に向けて練習に取り組む市蘭サッカー部。16巻では、その新人戦が始まっていき、内容もほぼまるまる千葉県新人大会の1回戦・六原学館戦の様子が描かれていきます。

今回も見どころがいろいろ多くあるのですが・・・
初戦の相手・六原学館は、ファールが多く相手に自分たちの戦いをさせないラフなサッカーを仕掛けてくるチーム。同じく六原学館と過去に戦った船学は、ファールから得たフリーキックを古川→ユゥエルのラインだけで4点を奪い、戦意を喪失させていったという話がある中、市蘭はどんな戦いをしていくのかということ。

その鍵となるのは、市蘭の攻撃の軸である乾。

成田は、古川→ユゥエルのラインで決めた船学同様、乾→成田という形でフリーキックを自分に合わせるのが市蘭の必勝パターンである信じていた・・・わけですが(そのパターンで何度か点取ってますしね)、古川と同じレベルのプレーをしても意味がないと、乾は、成田の願いも虚しく直接フリーキックを叩き込み、なんと3ゴールも奪っていきます。

フリーキックだけでハットトリックを決める乾も圧巻ですが、そんな乾と結局ボールを合わせてもらえなかった成田、この噛み合わない考えの2人のやり取りもまた面白くて笑えます。併せて楽しいんでほしいところです(笑

それにしても、今回は、乾が非常に感情豊かなところを見せていたな~と思います。

成田とのやり取りもそうですし、ラフプレーを繰り返し挑発的な発言をしてくる相手に「足もそれぐらい動きゃ もっとまともなサッカーできんのによ」と言い返してみたり、何より本気で打倒船学を目指していることに笑う六原学館の選手を相手に・・・

「本気だ だから弱えチーム……
おめーらごときに負けてるヒマはねえ」

と、(見開きで)言い切ったその姿は、本当にカッコよくてシビれましたね!

それだけでなく、相変わらずキーパーと1対1のシュートを外す成田に対して、アドバイスをする場面もあったりなど、連載初期に比べて徐々に自分の感情を表に出すようになってきたあたりに、今の乾はすごく気持ちが充実しているんだなというのが感じられて、思わずニヤリとしてしまいます。

それと、16巻で好きなところは、今回も黒木が好指導者ぶりを見せてくれていることです。

六原学館と対戦する前のミーティングで、普通だったら、ラフなプレーを仕掛けてくるチームを相手に、“ファールされてもやり返したりなんかするなよ!”と言いたくなってしまうところですが(ましてや、血の濃い連中の多い市蘭の面々ですからね)、黒木は報復行為を禁じる発言(ネガティブベースの発言)をするのではなく・・・

「そういうお前たちの取り組み方を
オレはどんな名監督にも堂々と言うことができる
こいつらは私の自慢です――――と」

ファールが少ないという市蘭イレブンのポジティブな部分を取り上げ、そのことにプライドを持たせる言葉をかける!

このやり方は、『GIANT KILLING』の達海猛なんかも見せていましたが、こういったところが見ていていいな~と思いました。現に、そのやり方が効いてた描写もあったりしましたしね。

あともうひとつ、取り上げておきたいのは、新人戦を戦うために取り組んできていたサイドチェンジが、初めて実戦の中で成功させたシーンについてです。

サッカー描写として、サイドチェンジから一気に攻めていくスピード感がいまひとつなかったのが残念と言えば残念なのですが、右から左にサイドを変えて、左サイドの二宮から左に流れてきた乾、そして、乾がニアに速いボールを入れたところを成田が飛び込んでゴールを決めたシーンは、胸が熱くなりました。

で、このシーンの何が好きかって、ゴールが決まった後・・・

「サイドチェンジ……
毎日練習を見ていてサイドチェンジが一番好きなプレーなんだよ
誰か1人でも失敗しちゃうと成り立たない……
みんなの力を集結するプレーだもん」

マネージャーとしてピッチの外から試合を見つめる麻衣が、そのように言っていたシーンもあったからです。個性派集団が意思統一してみせるチームプレーに、麻衣も思うところがあるんだろうなって思います。

練習で取り組んでいたサイドチェンジを成功させたことによって、チーム全体が強くなったというイメージを完全につかんだ市蘭のメンバーたち。噛み合わず失敗した描写があったことも含めて、この彼らの成長にこれまたニヤリとさせられてしまいます。

こうして、さらなる強さを手に入れた市蘭が前半を5-0の大量リードを得て、ハーフタイムを迎えるわけですが・・・

これは『ANGEL VOICE』という作品。
このままでは、決して終わることはありません。

前半だけで5点をリードされてしまった側の六原学館にもドラマがあります。

六原学館がなぜラフなサッカーをするようになってしまったのかという理由もしっかりと描かれ、目標を高く持ち戦う市蘭のサッカーに感化され、自分たちもやり直そうと気持ちを新たに挑む後半・・・。

彼らがいじけて情熱を失ってしまった間、耐えない努力で前進し続けた市蘭を相手に、やはり歯が立たないという現実を突きつけられてしまうのは道理といったところでしょう。それでも、せめて1点、なんとか一矢を報いるために、リスクを負って攻め続ける六原学館。

そんな彼らの姿に心打たれたのが、六原学館の素人監督・窪田。

サッカー部の強化計画が中止となり、顧問の役割を“押し付けられた”窪田は、これまでの自分の姿勢を反省し、指導者になることを誓います。

とは言っても、窪田は、現段階ではただの素人。
彼にできることは、ごく限られているわけで・・・

「キっ…… キミたちっ!! 頑張りなさい!!」

と、素人なりに指示を送る窪田。
連載を追ってた頃は、まさかこの人にこんな出番が来るとは思ってなかったのですが、それもまたこの作品らしくて、これらの描写の数々は好きですね。

・・・この続きは、17巻の話となっていくわけですが、敵役のドラマまで丁寧に描き魅せてくれるところは、さすが古谷野先生としか言いようがありません!

とにかく、16巻も、地味だけどじっくり丁寧に描かれたストーリーは、ニヤリとさせられたり胸を熱くされてくれたりで素晴らしく、ギャグを挟むタイミングも絶妙で、存分に『ANGEL VOICE』らしさを堪能することができました。

最近は、『ANGEL VOICE』関連でコメント(ツイッターなども含む)を頂くことも増えて、すごく嬉しかったりするのですが、まだまだこの作品の秘めている力はこんなものではないだろうという思っているので、引き続きプッシュしていければなと思っています。

まだ読んだことがないという方も、今からでも遅くないです、少しでも興味を持ったなら、作品の世界に触れてみることを個人的には強くお勧めします。

さて、続く17巻では、六原学館戦の続きが描かれていきます。

市蘭大量リードといった状況下。でも、せめて一矢を報いるために戦い続ける六原学館の選手たちに、素人監督の窪田の言葉はどのように響いていくのか・・・?

今ここではその内容について言及できないですが、『ANGEL VOICE』らしいさ面白さを次回も見てくれることは確かなので、単行本派の方は期待して待っていてほしいなと思います。もちろん、私自身も単行本で読めるのを楽しみにしています。

■ 掲載

第133話~第141話
週刊少年チャンピオン2010年8号~16号
六原学館・窪田監督が突然選手たちに指示を出し始めるところまで収録

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タグ : ANGEL-VOICE

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