『YATAGARASU 22』 / 愛原司
2010.02.21 21:40
※ネタバレとなりうる要素を含んでいますのでご注意ください
高円宮杯全日本ユース選手権への出場を目標に掲げ、全日本クラブユース選手権の地域大会を戦う、主人公・茂木但馬が所属するグランヴォーチェ城ヶ丘SC。
準決勝の対戦相手は、全員が各カテゴリーでトレセンなどを経験し、Jユースチームの撃破に執念を燃やしている、高い実力を持つ夙沢サザン。
試合は、(父親とは複雑な関係であるものの)森村と同等のズバ抜けた才能を持つ緑川魁のドリブルを長谷部がエリア内で倒し、夙沢サザンにPKを与えてしまいます。
そのPKの行方どうなるかといったところから22巻は始まっていきます。
※
22巻は、まるまる夙沢サザン戦の様子が描かれていきます。
今回は、収録のタイミング的に、物語の大きな盛り上がりというのはそれほどないですが、いつもながらにサッカー描写が上手く、サッカーシーンに魅力のある作品として安定した面白さがあるなぁと思いました。
本当、サッカーをしている身体の動きの描写が素晴らしく、フェイントから逆モーションを取る時なんか思わず「上手い!」って言いたくなってしまいますね(私的に愛原先生の切り返しの描写がすごく好き)。
魁がPKを蹴る時、ボールを見ずにGKの動きだけを見てボールを蹴るシーンなんかも、地味なんだけど魁のプレーのすごさを宮の視点からよく表現できているのではないでしょうか。
別の言い方をすれば、それだけサッカー描写が上手く表現できるだけに、プレーシーン中でのセリフの量はもう少し減らしてもいいようにも個人的には思ったりもします。
物語の方では、森村と魁、両チーム一の実力者それぞれがお互いを意識してプレーしている描写が結構好きだったりします。21巻で森村が見せたラボーナを魁が見せれば、森村も茂木がさんざん失敗してた魁のフェイントで突破してみたりなど・・・。
森村と魁で言えば、魁を高く買っているがゆえに、森村の実力を素直に認められないで憎まれ口を叩き続ける夙沢のキャプテン・設楽の描写には、ある種の微笑ましさを感じましたね。
一方で、茂木の方は、今回も見事な外しっぷりを見せてくれていました。
決して、シュートそのものは悪くないのにどころか、シュートに持って行くまでの形まではすごくいいのにな~。
「クソ――ッ
なんで俺のシュートはいいところで外れやがんだよ――っ!」
「クソッ あのGK俺に恨みでもあるのかよ」
という茂木のセリフもそうなのですが・・・
「相変わらず気前よく外しやがって」
と、つぶやく反町のシーンは、見て思わず笑ってしまいました。
このへんは、もはや恒例のネタと化してますね(笑
※
さて、続く23巻では、夙沢サザン戦の続きが描かれていきます。
再び2点差へと広げられてしまったグランヴォーチェですが、ここから逆転していくことができるのでしょうか?
脳裏に過去のトラウマが頭によぎる魁の今後のプレーへの影響や緑川親子問題、22巻では思ったより話に絡んでこなかった印象の長谷部、茂木のフェイントを成功させられるのか、さりげに通算2枚目のイエローを受け次の試合出場停止となってしまう塚口の描写は今後に向けてどのようなフラグとなっていくのか・・・など、気になるところもいっぱいです。
話のタイミング的に大きな盛り上がりのない21巻でしたが、物語的にここから面白くなってくると思われるので、次はまた4ヵ月後になるのかな、23巻を読むのが楽しみです。
■ 収録
Vol.84~Vol.87
月刊少年マガジン2009年9月号~12月号
過去のトラウマを意識した魁が簡単なコントロースミスをしたところまで収録
タグ : YATAGARASU
今週の連載雑感(2010年2月15日~2月21日)
2010.02.21 16:50
- キャプテン翼 海外激闘編 EN LA LIGA
- ANGEL VOICE
- LOST MAN
- 蹴助DX
- うるとらスーパーさぶっ!!