2009年のサッカーマンガを振り返る
2009.12.31 20:04
2009年も終わりということで・・・
2009年のサッカーマンガについて、トピックスをいくつかピックアップしつつ(サッカーマンガ自体大きな話題になることは少ないので書くこともあまりないですが)、振り返ってみたいと思います。
■ 現在連載中の作品
- 『イナズマイレブン』 / やぶのてんや
- 『うるとらスーパーさぶっ!!』 / 村山文夫
- 『エリアの騎士』 / 原作:伊賀大晃 漫画:月山可也
- 『ANGEL VOICE』 / 古谷野孝雄
- 『GIANT KILLING』 / ツジトモ 原案・取材協力:綱本将也
- 『さよならフットボール』 / 新川直司
- 『蹴球少女』 / 若宮弘明
- 『蹴助DX』 / 馬場民雄
- 『ばもら!』 / 長田佳巳(フットサルマンガ)
- 『フットボールネーション』 / 大武ユキ(2009年スタート)
- 『MAGiCO』 / 佐久間力
- 『YATAGARASU』 / 愛原司
- 『龍時』 / 原作:野沢尚 漫画:戸田邦和
- 『LOST MAN』 / 草場道輝
※サッカーマンガと定義かわせひろし先生の個人サイト掲載の『ケッタ・ゴール! 激闘編』、浦和レッズ有料情報サイトが主掲載の『赤菱のイレブン』(作者:古沢優)他は、このリストから除外しています。 サッカーマンガとして定義するべきか微妙なラインにある『清村くんと杉小路くんろ』と『群青シザース』も除外しています(後者は、今後の展開次第ではリストに入れるかもしれません)
■ 2009年に連載が終了した作品】
- 『大分トリニータ物語』 / 原作:木村元彦 漫画:宮城シンジ
- 『キャプテン翼 海外激闘編 IN CALCIO 日いづる国のジョカトーレ』 / 高橋陽一(2009年連載スタート、続編は2010年春頃連載開始予定)
- 『清く正しく美しく』 / ufotable×たあたんちぇっく(ウェブ掲載)
- 『GOLDEN★AGE』 / 寒川一之(ウェブ掲載)
- 『マイスター』 / 加地君也
- 『未来のフットボール』(2009年連載スタート)
・・・
ここからは、トピックする別に振り返ってみるとします。
□ 『マイスター』が10週打ち切り
すごく前のことのような気がするんですけど、連載が打ち切られたのは今年2月の話です。
『NUMBER10』以来、久しぶりに週刊少年ジャンプにサッカーマンガが連載されるということで注目されていましたが、残念ながら『NUMBER10』に続いて10週で打ち切られてしまうという結果に・・・。
とはいえ、なんだかんだ言っても少年ジャンプ掲載の作品なのだから、単行本はそれでもサッカーマンガ勢の中ではそこそこ売れるのではと思っていましたが、特にそういったこともなく、「ふざけるなァ!!」という迷言を残し去っていきました。
内容は、正直擁護し切れないというか(「楽しんで勝つ」というコンセプト自体は悪くなかったけれど・・・)、10週で打ち切られても仕方がなかったものだと思いますが、ネットでのあまりにも酷い叩かれっぷりを見てしまうと、逆に同情したい気持ちにも・・・。復活のチャンスがあるのかは分かりませが、頑張れ加地先生。
□ 単行本化されない作品たちを思う・・・
今年、単行本の発売が告知されながらも、結局発売してくれなかった作品があります。
その作品のタイトルは、『大分トリニータ物語』と『未来のフットボール』です。ちなみに、『キャプテン翼 海外激闘編 IN CALCIO 日いづる国のジョカトーレ』も発売されていないままですが、こちらは来年発売されると思います。
『大分トリニータ物語』は、BJ魂で連載されていた最終回に2009年7月に発売予定という情報がありましたが、今のところ発売される気配がありません。個人的に不可解なのは、一度予定時期まで告知しておきながら、結局されなかったことです。何か大人の事情でもあるのでしょうか?
ただ、今のトリニータの現状を考えると、このまま単行本化されることはないまま終わってしまうんでしょうね。むしろ今年起こったことこそ、しっかり取材して伝えるべきでは・・・と思いますけどね。
サンデー超、クラブサンデーに掲載された、『未来のフットボール』も単行本化が告知されながらも、未だ発売されないでいます。同時期に連載が始まってる他の作品は単行本化されているというのに・・・。個人的には、単行本出してほしかったんだけどなー。
昨年も『LOOK UP!』が単行本化されませんでしたが、それは最初から発売されるという告知すらされていないものでした。なので、まだ納得ができます。けど、先程挙げた2作品はそういうわけではありません。
予定は予定なので、「予定が変更になりました」と言われれば返す言葉もないですが、どんな作品であっても、少なからず単行本化を待っているファンがいるということを忘れてほしくないなと思いますね。
身勝手な個人的事情も言わせていただくと、単行本発売すると言うから連載誌を処分したのに、後になってやっぱり発売されませんというのは困ります。私自身も迂闊だったことは否定しませんが(せめて切り抜きだけでも発売されるまで残しておくべきだった)、またその雑誌を探すとなると大変なんだってば・・・orz
□ 『イナズマイレブン』の人気
アニメの新シリーズがゴールデンタイムで放送され、オリジナルであるゲームの新作も、“ファイア”と“ブリザード”の2つのバージョンで発売したからとはいえ、出荷本数がミリオンを突破するなど、その人気は着実な広がりを見せています。
先日グラウンドで子供たちが、「ツインシュート」ではなく「イナズマ1号」と叫びながらシュートしているのを見た時、時代の変化を感じてしまいましたね~。
ただ、コミック版の方は、着実に伸びているとはいえ、ゲームやアニメに比べるとその勢いは弱いんですけどね・・・。ですが、今の子供たちに影響を与えているものとして、取り上げてみました。
□ 大武ユキ先生がサッカーマンガの連載に復帰
個人的に、今年一番嬉しかった話題がこれです。
『サッカーボーイ』、『我らの流儀』がサッカーマンガファンにはな有名大武ユキ先生が、連載としては10年以上ぶりにサッカーマンガの世界に戻ってこられました。
新連載の『フットボールネーション』は、2001年にプロトタイプができて、多くのネームを持ち込みをして、8年の時を経て連載が実現したという大武先生の意欲作。
もも裏の筋肉が使ったプレーができるなどの一定のコンセプトに基づいて作られたチームが、日本をサッカー先進国へと成長させるための道標となるのか?
日本サッカーのひとつの可能性を描いたものとして、大武先生らしい感性でどう面白く、説得力のあるものとして描いていくのか、個人的に非常に楽しみにしています。
□ 綱本将也先生の次回作はサッカーマンガにあらず
すでにご存知の方も多いかと思いますが、これまで複数のサッカーマンガの原作を手掛けてきた、『GIANT KILLING』の原案者でもある綱本将也先生の次回作は、競馬漫画の原作に決まったという話です。
この話が出た当時は、次の項目に書く出来事が話題をさらっていたのもあり、書きそびれてしまったので、この場を借りて少し書かせていただこうと思います。
(参考リンク:日高舞台に競馬漫画 「スピーディワンダー」来春連載 原作者ら 牧場など現地取材(北海道新聞[道央]))
この話も、ただ普通に競馬漫画の連載が決まったということならまだしも・・・
綱本さんはサッカー漫画の新連載が決まっていたが、「20年来の競馬ファン」という自身の強い希望で、競馬漫画に方針変更した。
(参考リンクの記事より引用)
という記述があったことが、個人的に大きなショックでした。 えー、そりゃないですよー。というか、せめて路線変更の話は伏せておいてほしかったです・・・orz
まぁ、ですが、気が乗り切らないままにサッカーマンガの原作をするよりは、本人の一番やりたいものを形にするのがベストだと思います。こればっかりは、仕方がないよね・・・。
私は、正直競馬のことはさっぱり分からないので、自分の知らないジャンルを手がけたの綱本先生の作品を読んだ時、私自身がどんな感想を抱くのか・・・というのは、非常に興味あります。
私が今ここにいるのは、綱本先生が原作のサッカーマンガに触れたことがひとつのきっかけですし、一ファンとして、綱本先生を応援していきたいです。・・・けど、「またいつか、新作サッカーマンガの原作にも手がけて下さいね!」という言葉も付け加えておきますけどね(笑
□ 『GIANT KILLING』アニメ化が決定!
今年一番のサプライズは、やはりこれではないでしょうか。
サッカーマンガのアニメ化は、『エリアの騎士』の方が絶対先だと考えていたので、私にとってはかなりの不意打ちでした(笑
この件については、つい最近のことですし、記事でも言及しているので、ここで新たに書くこともないですね。アニメ化がジャイキリに何をもたしてくれるのか、思い入れが強い作品なだけに、不安を強く抱いているのも確かなの ですが、とりあえずは暖かい目で見守っていこうと思ってます。
・・・
私が思いついた限りでは、こんなところですがいかがでしたでしょうか?
世間的には、「サッカーマンガは面白くない」と、結構言われたりもしますが(苦笑)、“この業界なりに”ここ数年の流れの中では、昨年に引き続き堅調に推移していると私は思います。
売り上げ的数な話をすると、現在一番売れてる野球マンガやバスケマンガ、テニスマンガと比べてしまうと、サッカーマンガのそれは遥かに少ないという現状があるのは確かなのですが、オリコンの週刊ランキングトップ100に入る作品数は前年よりも増えているという事実もあり、全体を見ると底上げされてきています。
具体的なデータは、大人の事情的なものがありますので載せられないですが(自分用に作った資料はありますw)、大まかに不等号で表すと・・・
GIANT KILLING>エリアの騎士>(週刊トップ50の壁)>イナズマイレブン≧ANGEL VOICE≒LOST MAN≧GOLDEN★AGE≧龍時>(以下トップ100圏外)YATAGARASU、MAGiCO、ばもら!
大体こんな感じになっています。
個人的には、作品のバリエーションも結構ありますし、A代表を題材にした作品がひとつはほしいかなとは思いますが、普通に楽しめているものも多いので、現状のラインアップには概ね満足しています。
そして、来年へと話題を移していきますと・・・
まずは、何と言っても2010年南アフリカワールドカップがあります。
ワールドカップイヤーということで、いくつかの新連載が始まることに期待したいです。
新連載と言えば、『キャプテン翼』が連載30周年を迎えるということで、新シリーズの連載が春から始まる予定になっています(陽一先生は、先月のクラシコも取材しに行かれたそうです)。30周年のキャプ翼は、他にも様々な動きが見られるかもしれませんね。
あとは、何と言っても、『GIANT KILLING』のアニメが始まること。
気持ちとしては期待2割不安8割といったところですが、アニメ化によってどれだけ単行本の売り上げが伸びるのかという点も含めて、大いに注目したいところです。
・・・ということで、時間が押してしまい、だいぶ駆け足にとなりましたが、2009年のサッカーマンガについて振り返ってみました。サッカーマンガ業界にとって、2010年はもっと素敵な1年になりますように。