『イナズマイレブン 3』 / やぶのてんや
2009.06.29 21:12
※ネタバレとなりうる要素も含んでいますのでご注意ください
新シリーズのアニメも始まり(しかも、ゴールデンタイムだ!)、着実に人気の輪が広がってきている印象を受ける『イナズマイレブン』のコミック版3巻の感想です。
いよいよフットボールフロンティアが始まり、1回戦の野生中と戦う雷門中のメンバーたち。たまごろうが直前の特訓で怪我をし、試合を欠場することになったショックから、2点のリードを許す雷門中。しかし、たまごろうをバカにする野生中の面々へ怒りのゴッドハンドで、シュートを止めた円堂。雷門中の反撃が始まっていくところから、3巻は始まっていきます。
3巻では、野生中との決戦、2回戦の御影専農戦、準決勝の秋葉名戸学園戦、そして決勝の帝国学園戦を控えて・・・というところまで、話はとんとん拍子に進んでいきます。
,p> 個人的には、コミック版は展開が端折られすぎで、もうちょっと、それぞれのエピソードをじっくり読んでみたいなって気持ちもあるのですが、そのあたりは、先のシリーズのコミック化を描かなくてはならないでしょうし、他メディア版と大きくタイムラグを作らないためにも、仕方のないことなのかもしれません。※
今回も、『イナズマイレブン』らしい、熱血青春サッカーストーリーで楽しませてくれます。
もう少し、それぞれのエピソードに時間を割いて描けたら、もっと盛り上げることができるんじゃないかなぁと思いつつも、弱小だった雷門中サッカー部が、打倒帝国を目指して懸命に練習し、成長を見せ、それがいつしか他の生徒たちにも伝わり、みんなに応援される存在になっていた描写は、良かったな~と思います。豪炎寺と鬼道のバトルも熱かったです。
ゲーム、アニメ、コミック、それぞれ微妙に違って描かれているので、ゲームやアニメを知ってる人でも、それぞれの違いを見ながら読んでいく楽しみ方もできます。
私的には、イナズマ落としのエピソードが好きですね。
ゲーム版のイナズマ落としは、踏み台にされる側はなんかダサいという雰囲気がありましたが、コミック版は、普通にカッコよく描かれていたので(笑
それと巻末には、4コママンガなどが描かれていて、これも面白かったですね。
『イナズマイレブン』は、必殺シュートが炸裂しまくるトンデモ路線のサッカーマンガなので、リアルサッカーの面白さを描いた作品を求めている方には、やはりお薦めできません。基本は、トンデモ路線のサッカーマンガを読みたい方や、リアルコロコロ世代向けです。
ですが、現代っ子たちに多大な知名度を誇るサッカーマンガとして、コロコロ世代から離れてしまった大人であっても、『イナズマイレブン』の世界に触れてみるというのも悪くないと思います(コミックに限らず、ゲームでもアニメでもいい・・・というか、世界観に触れるにはアニメが一番いいかも)。私は、これはこれで楽しんでいます。
※
さて、続く4巻では、雷門vs帝国が描かれていくようです。
私は、ゲーム版を1回だけですがクリアし、アニメの方もひと通りチェックいるのですが、コミック版ではどのように描かれることになるのかが気になります。
■ 掲載
第10話~第13話
月刊コロコロコミック2009年3月号~6月号
豪炎寺と鬼道が対決するところまで収録
タグ : イナズマイレブン
今週の連載雑感(2009年6月22日~6月28日)
2009.06.28 20:09
■ 今週の雑感リスト
- LOST MAN
- ANGEL VOICE
- うるとらスーパーさぶっ!!
- 未来のフットボール(最終話・クラブサンデーでの配信は7月3日からになります。ネタバレ要注意!)
【新連載】 ひとりのサッカー少女の青春ストーリーを描く『さよならフットボール』第1話雑感
2009.06.24 01:39
6月20日発売の、最近新装刊されたマガジンイーノ2号にて、連載がスタートした、『さよならフットボール』(作者:新川直司)の第1話を読んだ雑感をつらつら書いていきたいと思います。
タグ : さよならフットボール
今週の連載雑感(2009年6月15日~6月21日)
2009.06.21 23:02
- GOLDEN★AGE
- LOST MAN
- ANGEL VOICE
- 龍時
- うるとらスーパーさぶっ!!
マガジンイーノで連載の始まった、『さよならフットボール』に関しては、もう少しお待ちください。
『YATAGARASU 20』 / 愛原司
2009.06.20 21:21
Amazonおすすめ度:

※ネタバレとなり得る要素を含んでいますのでご注意ください
ついに20巻到達となりました、『YATAGARASU』20巻の感想です。
高円宮杯全日本ユース選手権への出場を目標に掲げ、全日本クラブユース選手権の地域大会を戦う、グランヴォーチェ城ヶ丘SC。
予選リーグを無事首位通過し決勝トーナメントを迎える、グランヴォーチェの次なる相手は、故意に予選リーグを2位通過を狙い、グランヴォーチェと戦うことを臨んだ御陵川FC。
20巻では、その御陵川FC戦が描かれていきます。
※
で、読んだ感想ですが・・・
いつも通り、安定して面白いです!
今回の対戦相手は、鉄壁を誇るGK・藤を中心に徹底して守備的に戦い、(茂木に匹敵する俊足をである)FW・村主のスピードを活かした一発のカウンターを狙う御陵川FC。
ディフェンス陣全体の能力が高い御陵川の中でも、特筆すべき存在はGKの藤。
ボガータユースのテストも受けていたという藤は、驚異的な反応速度によるセービング、カウンターの起点にもなれる精度の高いキック、シュートコースを的確に見極める目、そして何より、"シューターの心理"を読み取ることに優れ、グランヴォーチェ攻撃陣にゴールを奪わせません。
それに対して、グランヴォーチェも、森村を中心に(というか、ほとんど森村)あらゆる思考を凝らして、御陵川のゴールに迫るも、藤の方が一枚上手であと一歩のところでゴールが奪えない。PKでさえも、止められてしまう(これは、逆に森村だからこそ読まれ止められてしまったという一面もありますが)。
相手が守備に絶対的な自信を持っているチームに対して、なかなかゴールが奪えない。
それによって、刻々と時間が迫ってくるにつれ、どうしても疲労の色も濃くなってくるし、焦りから集中力を欠いたプレーや、普通ではありえないような凡ミスも出てきてしまう・・・。
このあたりの攻防というが、すごく見応えがあって面白かったです。
特に、シューターの心理の話が、個人的には好きですね。
また、相手は素晴らしい能力を持ったGKではありますが、その中でも、同じGKの宮が意地の好プレーを見せてくれたり、江守くんもギリギリのところでシュートを止めたりなどの活躍も描かれていたので大満足です!(笑
やっぱり、きちんとサッカーを描いているサッカーマンガは面白い!
サッカー好き以外の方に対しては、強くプッシュできる要素に欠ける感も否めないですが、ここはサッカーマンガを題材にしたサイトであり、私自身が好きな作品ですから、(いつも主張していますけど)お薦めサッカーマンガのひとつに挙げておきます。もし未読の方で、きちんとサッカーしてる作品が読みたい方は是非、お手に取ってみていただけたらなと思います。
※
さて、続く21巻では、単行本派なので、本当に何も知らないのですが、御陵川FC戦の決着が描かれていくことになると思います。
延長後半も残り時間3分・・・
どうやって、藤の牙城を打ち破るのか?
一度止められてますが、フリーキックで?
それとも、シューターの心理を読む藤の上を行くのは、意外と茂木の破天荒さだったりして?
その続きは、4ヵ月後のお楽しみにしておきます(笑
『YATAGARASU』も、『VIVA! CALCIO』に並ぶ20巻まで到達しました。
この作品の結末は、まだまだ見えませんが、愛原先生の描くサッカーマンガを、この先も読み続けることができればいいな~と思ってます。
■ 掲載
Vol.76~Vol.79
月刊少年マガジン2009年1月号~4月号
御陵川戦延長後半残り3分のところまで収録
タグ : YATAGARASU
今週の連載雑感(2009年6月8日~6月14日)
2009.06.14 21:29
■ 今週の雑感リスト
- LOST MAN
- ANGEL VOICE
- キャプテン翼 海外激闘編 IN CALCIO
- うるとらスーパーさぶっ!!
今週は休載ですが、『GOLDEN★AGE』の件について少し。
結論から書くと、結局のところ、連載は続くみたいです。
14巻の発売が7月17日予定となっていますが、今月頭に私が小学館のサイトでコミックの発売予定を確認したときには、(完)がついていました。ですが、その後、読者の方から情報をいただき(どうもありあがとうございます)、改めて小学館のサイトを確認してきたら、(完)とついていたものがなくなっていました。そして、クラブサンデーの更新予定の方にも、15話の配信予定も加えられていました。よって、今度こそ、"G★Aは終わらない!"で、今度こそ間違いない・・・はずですよね、小学館さん?(笑
ちょうど、ドルフィンズ戦がクライマックスを迎えそうなタイミングと重なっていただけに、しかも、公式サイトで(完)と出していただけに、ずいぶんとドタバタに振り回されてしまいました(苦笑
いや、私自身が勝手に話を振り回してしまった感もあるので、その件につきましては、深くお詫び申し上げます。
今週の連載雑感(2009年6月1日~6月7日)
2009.06.07 21:40
■ 今週の雑感リスト
- GOLDEN★AGE
- ANGEL VOICE
- LOST MAN
- 龍時
- MAGiCO
- うるとらスーパーさぶっ!!
ただの雑談です
2009.06.06 22:59
○○物語系の記事を書くと、検索サイトからのアクセスが増えます。
特に今回は短期間に2つ記事を書いたこと、それに、やっぱりワールドカップ予選が間近ということもあってか(両作品とも6月6日というタイミングを意識してたと思います)、いつも以上に多いです。なんだかんだ言っても、世間の注目度は高いと思います。
この後すぐ、ウズベキスタン戦が始まるわけですが、テレビ的にどうとか余計なドラマは本当必要ないので、この試合で一気に決めてほしいですね!
※
『遠藤保仁物語』の記事が、ぶるぶるぶるっとGAMBA OSAKAというサイトさんからリンクされていたのですが・・・、あれ、ここって確か・・・
自分のブックマークした記事のリストの中にあるサイトさんでした。おぉ、なんたる偶然(笑
↑の記事は、タイトルのとおりなのですが、遠藤選手好き、オシムさん好きには、ニヤッとしてしまうような内容だと思うので、興味のある方は読んでみてほしいです。
※
今日本で一番頼れるDFって・・・トゥーリオは違うんですか?
という、コメントがあったので返信。
トゥーリオは、もちろんすごい選手であることは、自分の応援するクラブの選手ですし、十分知っているつもりです。その反面、ときに大ポカをやらかしてしまうこともあって(レッズでは、不用意なPKを2回与えてたりする)、"諸刃の剣"になっているところもあると思ってます。その部分を差し引いて、中澤選手に、「今日本で一番頼れるDF」という言葉を使いました。このあたりは、人それぞれ見方があるということで捉えていただけると幸いです。
トゥーリオは、強い責任感を持った男だということは知っているつもりですし、すごいことをやってのける男でもあります。先日の新潟戦のロスタイムのゴールなんかは、まさにそれですよね。あの試合見てましたが、思わずヒロミジャンプしそうになるぐらい喜びましたもん(笑
私は別に、トゥーリオを低く評価してるつもりはないです。 もし、何か気に障るような部分がありましたら謝罪します。
※
さて、中継が始まったので、今日のところはこのへんで。
みんなで日本代表を応援しましょう!
・・・テレ○の中継に、ちょっとだけ鬱陶しさを感じますが(爆
【以下追記】
ワールドカップ出場が決まりました!
酷い・・・。
本当にいろんな意味で酷すぎる試合だったと思いますが、選手たちは選手たちなりに懸命に戦いつかんだワールドカップへの切符。今は素直に、「おめでとうございます」の言葉を伝えたいです。
それにしても、岡崎は、笑っちゃうほど"らしい"ゴールでしたね。
きっと、『さぶっ!!』でもネタにされるんだろーな(笑
『中澤佑二物語』 / 塀内夏子
2009.06.06 01:28
ようやく単行本化となった、『中澤佑二物語』を読んだ感想です。
まずは、作品の概要から。
『中澤佑二物語』は、週刊ヤングマガジンで読み切りとして掲載されたものを単行本化したものです。
単行本では、全6話となっていますが、2006年に掲載された前編後編(1話~2話)とした中澤選手のブラジル時代を描いたものと、2008年に掲載された全4話(3話~最終話)で中澤選手のドイツワールドカップ後から2007年アジア杯までの話を描いたもの、実質2つの物語で構成されています。
この2つの物語についてもう少し書いていきますと・・・
ブラジル時代は、プロを諦めきれず、ブラジルに渡って、孤独にさいなまれながらも、プロになり代表選手としてワールドカップで戦うことを夢見ながら奮闘する物語。
ドイツW杯後の話は、私たちには到底理解できないであろう、深いところでの"痛み"を抱え、自分の進むべき道に迷い、もがき苦しみながらも前進していく姿を描いた物語になっています。
いずれのストーリーにも、中澤選手が慕い、よき相談相手にもなっていた、高校時代の恩師である・村田義昭氏が登場し、両者の絆というのが話の軸となっています。
※
作品を手がけたのは、『オフサイド』や『Jドリーム』と、サッカーマンガファンにはお馴染みとも言える塀内夏子先生(『Jドリーム』については、つい最近書きましたので興味ある方はご覧になってみてください)。
塀内夏子先生と言えば、人間ドラマを描く上手さが光る方ですが、今回の『中澤佑二物語』でも、そんな塀内先生らしさが出ていると思います(サッカー描写に関しては、以前の方が良かったような気も・・・)。
中澤選手と村田氏の絆の深さというのは、わざわざブラジルまで飛んで行ってしまう村田氏の行動力や、村田氏を慕い相談しに来る中澤選手のエピソードを見れば十分伝わってきますし、個人的に一番好きなのが、ブラジルの子供たちで、中澤選手のために誕生日のケーキを用意していた話は本当に泣けました。
メインの話の他にも、『中澤佑二物語』の裏話的なものも掲載されています。
もともと、『中澤佑二物語』は、塀内先生自身の提案で実現というだけあって、その熱意というのは伝わってきます(やはり、こういうものは、やりたいって本気思ってる人が描くべき!)。
※
私は、今日本で一番頼れるDFは、間違いなく中澤選手だと思ってます。
ジーコ時代の代表は、中澤選手にとっては、かなりネガティブなもののようでしたが、まずは、ワールドカップの切符をしっかりつかんで(この記事を書いてる時点では、ウズベキスタン戦まであと22時間ぐらい)、今度こそは(南アフリカ)、"完全燃焼"できる戦いをしてほしいなと思います。
せっかくの4年に1度の大舞台にもかかわらず、結果が出ないこと自体は仕方ないにしても、戦う選手が不完全燃焼なまま終わられてしまうというのは、応援して見守る立場からしても、これほどやるせないことはないですからね・・・。
中澤選手の栄光ではなく、苦しみといったものを描いていった作品ではありますが、中澤選手のファンや、塀内先生の描く人間ドラマが好きな方は、手に取ってみてはいかがでしょうか?
■ 掲載
週刊ヤングマガジン2006年27号28号(1話~2話)
週刊ヤングマガジン2008年17~20号(3話~最終話)
タグ : 中澤佑二物語
今週の『GIANT KILLING』#117
2009.06.04 22:34
今週のモーニングに、「GIANT KILLING」シート7月開催分の応募要項が掲載されています。
応募の締め切りは、6月12日までだそうです。
(参考リンク:「GIANT KILLINGシート」でサッカーを観よう! 7月開催分の募集開始です。)
そういえば、モーニングに講談社漫画賞のことが掲載されていましたが、ジャイキリは、受賞はしませんでしたが、ノミネートはされてたんですね。選評を読むと、かなり受賞に近いラインだったような印象を受けたんですけどね・・・。残念でした。
まぁ、講談社漫画賞は逃しても、私の心の中の漫画賞では、ぶっちぎりで2年連続受賞中ですから!
(何のステータスもない賞ですがね・・・orz)
チャンスはまたあると思うので、頑張ってほしいなと思います。
タグ : GIANT-KILLING
【読み切り雑感】『遠藤保仁物語』 / 原作:テレビ朝日「GET SPORTS」 漫画:関口太郎
2009.06.04 01:34
6月3日発売の週刊少年マガジン27号に掲載されている、『遠藤保仁物語』を読んだ雑感を、時間的にかなり押してしまっているので、なるべく簡単に書いていきたいと思います。
まず、作品の概要を書いていきますと、テレビ朝日で日曜深夜に放送されている"GET SPORTS"(やべっちFCの次にやってる番組と言う方が、このブログ的には分かりやすいかもしれません)と、週刊少年マガジンとのコラボレーション企画の第2弾として描かれたものです(ちなみに第1弾は、野球・巨人の坂本勇人選手)。
話の内容的には、遠藤選手がプロサッカー選手になってから、現在までの軌跡を描いていったものになっています。
所属していた横浜フリューゲルスの消滅、補欠メンバーとしてベンチにすら入ることのできなかったシドニー五輪、フィールドプレーヤーでただひとりピッチに立てなかった失意のドイツW杯、オシムとの出会いによって得たもの、ウイルス性肝炎でまたもやピッチに立つことのできなかった北京五輪・・・46ページという限られた中で、感心するほど非常に良くまとめられているなと思います。
物語の中には、もちろん、遠藤選手の代名詞とも言える、"コロコロPK"に関するエピソードも描かれていますし(というか、作品もPKに始まりPKに終わってます)、奥さんとのラブコメチックな話もいいアクセントになっていたと思います(高校時代から付き合ってた奥さんと結婚したからこそ描けることですよね~w)。
作中でも描かれてますが、遠藤選手は、オシムに出会ってから本当に素晴らしい選手になったなという印象があります。変幻自在なのは、あのPKばかりではなくて、動き回って、ボールを受けて、キープしたり長短精度の高い"気の利いた"パスを送ったりして中盤をコントロールするの力についても言えること。
現在では、代表の中盤に欠かすことのできない存在の遠藤選手。
これまで、代表では苦汁をなめることの方が多かったですが、今度こそは、南アフリカこそは、大舞台で輝きを放つことができればいいなと(私はガンバファンじゃないどころか違うクラブを応援してる人間ではあるけどね)願ってます。それだけの力を持った選手ですからね。そのためには、まずは、ワールドカップの切符を手に入れないとね!
・・・ということで、遠藤選手のヒストリーに興味のある方は、チェックしてみてはいがでしょうか。
【以下追記】
『遠藤保仁物語』を含む、週刊少年マガジンとテレビ朝日「GET SPORTS」のコラボレーションで描かれたアスリートたちのスポーツドキュメントドラマを描いたコミックが発売になっています。
読み切りを見逃してしまった方は、単行本のでチェックしてみてはいかがでしょうか。
久々に『Jドリーム』 (塀内夏子)を読んでみた
2009.06.02 23:59
部屋を整理していたら、思わぬところから、『Jドリーム』(無印)が出てきて、気がついたら片付けそっちのけで夢中になって全部読んでしいました(←部屋の片づけ中にありがちな罠)。
せっかくなので、普段旧作について書くことも少ないですし、『Jドリーム』(読み返したのは、"無印"だけなので、今回はそれに限定)について、あれこれ書いてみたいと思います。
※
舞台は、Jリーグ創設初期。
リーグ開幕する前年、1992年のナビスコ杯が始まる直前のお話。
日本代表が、ワールドカップに出場できれば1000万円のボーナスがもらえると知り、プロサッカー選手を目指し浦和レッズに入団テストを受けに来た、主人公の赤星鷹。
鷹は、一度は入団テストに落ちるものの、鷹のプレーを見ていたコーチに見出され、無事にレッズに加入します。
幼少の頃からボールが友達だった鷹は、16歳とは思えないほどの、抜群のテクニック、センスを見せ、瞬く間に日本代表の一員へとなります。
そこから、ワールドカップ一次予選を勝ち抜き、1993年のJリーグ開幕を経て、悲願のワールドカップ初出場に向けたアジア最終予選の戦っていく・・・というのが、『Jドリーム』無印版の大まかなストーリーです。
※
私にとっての、『Jドリーム』の魅力は、ワールドカップを目指し戦う人々の人間ドラマがまずひとつ。
そして、たった"2つ"しかない、アジア枠の椅子をめぐって(現在は"4.5"ですが、この当時は"2"しかありませんでした)、利用したり、欺いたり、削ったり・・・あらゆる欲望が渦巻き、決してキレイゴトばかりではない、勝負所でのギリギリの緊迫感、"勝負のあや"をめぐる駆け引きといったものをリアリティ路線のサッカー描写で描いているところ。
人間ドラマを描く上手さというのは、他の塀内夏子作品にも共通して言えることですが・・・
- W杯出場のためなら、悪魔にでも魂を売るという覚悟を持つレネ監督
- 腰が悪く身体はボロボロだけど戦い続けるこれまでレギュラーだった富永と、身体能力・環境に恵まれ芝で育ちレネに見出されて代表入りした若さと素質に優れる上條の正GK争い
-
骨折を乗り越え、戦える喜びを噛み締める嶋
(個人的に、Jドリで一番好きだったり、いつか"完全燃焼編"について書くときがあれば語りたいと思います) - レネに都合よく利用されていることを知りながら、足の痛みに耐えながらも、必死にDFラインをコントロールすし、骨折するまで戦い抜いたベテラン・本郷
- 身体能力は高いけどメンタル面は弱かったのが、 作品を通じて、厳しい戦いを乗り越えるにつれて、ストライカーとしての逞しさを見せていくようになる北村
悲願のワールドカップ初出場を目指し、それぞれの想いを胸に戦っていく、特に日本代表選手たちの人間ドラマに、胸が熱くなったり、ときには、涙したりもしました。このあたりは、一度では語りつくないほどです。
サッカー描写に関しては、一部誤認などミスが見受けられる部分があったり、 若干16歳にしてずば抜けた技術と鋭い勝負勘を兼ね備えた鷹の存在はある意味トンデモかもしれないですが(それ言ったら、ビバカルのシーナの方がすごいですけどね)、サッカーマンガとしての全体的なバランスは、私の中でもっとも優れている部類に入れていい作品だと考えています。
※
そしてもうひとつ、『Jドリーム』について取り上げたいのは、Jリーグ創設初期が舞台として描かれていて、鷹が浦和レッズに所属していたということですね~(笑
まぁ、浦和うんぬんの話はいいとして(余計なことまで思い出してしまうので)、Jリーグのクラブは実名ですし、当時のユニフォームとか、実名選手っぽいキャラが登場したりと、いろいろ読んでいて懐かしいです。"代表>クラブ"の風潮が強いのは、ちょっと悲しいところではあるんですけどね(選手にとって代表は"誇り"ですし、当時の時代背景からしても当然の流れとも言えますが・・・)。
人間ドラマの面でも、"譲り葉"になぞらえた、Jリーグ開幕、ワールドカップ予選に臨む前に、試合中の怪我によって現役を余儀なくされた本橋譲二と、彼と重なり入れ替わるように頭角を現す鷹の話は、本当に泣けます。
※
『Jドリーム』は、当時週刊少年マガジンに同時期に掲載されていた、『シュート!』のような大ヒットした作品ではないかもしれませんが、王道的な少年スポーツマンガの熱さを『シュート!』とはまた違った、"いぶし銀"的な輝きがあると思います。
現在では、日本がワールドカップに出場することは、わりと日常的なこととして捉えられている感もありますが、"まだワールドカップの出場自体が夢であった時代の物語"として、個人的には、読む意義のある作品ではないかと思っています。
リアル日本代表も、ワールドカップ最終予選の最後の戦いを間近に迫っていることですし、『Jドリーム』(無印・完全燃焼編)、または、『俺達のフィールド』なんかもいいですよね、ワールドカップ予選を戦うサッカーマンガを読んで、気分を高めてみるというのはいかがでしょうか?
・・・と、『Jドリーム』を読み返したのは、本当にたまたまな出来事だったりしますが、最後はキレイにまとめることができたかな?(笑
■ 作品データ
掲載 : 週刊少年マガジン(1992年~1995年)
コミック : 全14巻
文庫版 : 全7巻
その他 : 講談社プラチナコミックス版もあり