今週の連載雑感(2009年5月25日~5月31日)
2009.05.31 22:39
■ 今週の雑感リスト
- LOST MAN
- ANGEL VOICE
- 龍時
- うるとらスーパーさぶっ!!
- 未来のフットボール(クラブサンデーでの配信は6月2日からです。ネタバレ要注意!)
『LOST MAN 4』 / 草場道輝
2009.05.31 22:38
※ネタバレとなり得る要素を含んでいる可能性がありますのでご注意ください
第3集に引き続き、ファゼンダ編が描かれていく、『LOST MAN』第4集を読んだ感想です。
・・・
ファゼンダFCから、ファゼンダを潰そう企てる、カルロス・ゴードンがオーナーを務める、ローカスツFCに電撃移籍したマツモト。
マツモト移籍によって、ファゼンダの人々に絶大なショックを与えるものの、それが逆にファゼンダFCのメンバーたちのハートに火をつけ士気を高めることにも・・・
第4集では、ローカスツvsファゼンダの命運を懸けた大一番が描かれていくことになります。
※
・・・ということで、やはり、第4集の見どころは、ローカスツvsファゼンダ。
前回も書きましたが、ファゼンダ編では、人々との関わり合いが深く描かれているので、主人公であるマツモトがローカスツに移籍したとしても、ファゼンダにも愛着みたいなものをすごく感じるんですよ。
マツモトを慕っていた子供たちと決別のシーンなんかは、"勝利請負人"という冷徹なマツモトのイメージばかりでなく、記憶喪失である自分にはない地元を愛する"誇り"を意識させる言葉をかけてあげるなど、マツモトの人間味のある一面を感じられたところは、すごく温かい気持ちになれましたね。
恋する大人の女性を演じてくれたイリアーヌ先生も魅力的だったと思いますし、そんなイリアーヌに想いを寄せていたガイアーナは、私怨をパワーへと変換しゴールを決めたり(・・・けど、何かすごく切ない気分になるのはなぜだろう?)・・・
あとは、主人公のマツモト、何かを企むサカザキ、自分なりの信念で故郷を裏切ったカルロス・ゴードン、ファゼンダの地を守るために戦うティアーゴなど・・・
試合を直前に、ローカスツがファゼンダを吸収合併するというニュースが駆け巡り(当然、リークしたのはカルロス)、両クラブを取り巻く因縁だとか想いなどが交錯する中で行われる、ファゼンダ編の集大成となるこの戦いは、いろんな方向に心揺さぶられます。
このあたりは、短期集中連載だったルーマニア編と違って、時間をかけて描いていったことによる"成功"だと私は考えています。
試合描写でも、1トップのマツモトが最前線でキープし、全体を押し上げてコンパクトして、ショートパスを回して攻めようとするローカスツに対し、ラインを下げることをせずに、こちらもコンパクトさを保ったまま中盤でやり合うファゼンダなど・・・
圧倒的な戦力を持つローカスツに対し、自分たちの持てる武器を活かし最大限の戦いを見せるファゼンダは、なかなか迫力があって面白かったです。
ただ、やっぱり、『ファンタジスタ』と比べてしまうと、全体的にサッカー分が足りないと思います(それでも、4巻は多め)。このあたりは、作品の特性上仕方のないことと考えるべきなのでしょう。
※
その少ないサッカー分は、(人間ドラマもそうですが)コメディ・ギャグ描写が補ってくれます!(笑
今回は、シリアスなシーンが多かったため、なおさら、コメディ描写が際立っていたような気がします。
最近、すっかりギャグ・コメディ担当のキャラが板についてきた、メインヒロイン(?)の詩乃の爆発シーンは、見どころになっております。
女性としての魅力は、イリアーヌ先生の方が数段上ですが、詩乃のそういう役回りは嫌いじゃないんだぜ?
その他にも、モドキっぽいキャラもそうですけど、小ネタ系が散りばめられていたりするので、そういうのを探しながら読んでいくのも楽しみ方のひとつかもしれません。"あなたを殺して・・・" って、それが元ネタだったのか・・・。
『LOST MAN』という作品を評するとすると、サッカー描写は迫力ありますし魅力的ではあるのですが、純粋なサッカーマンガと言うには、サッカー描写の分量は少なめで、ギャグ・コメディの色も強く、『ファンタジスタ』とは、やはり毛色が違う作品・・・。
ルーマニア編と違って、ファゼンダ編は、周囲の人々の描写もすごくいいし、ギャグ・コメディパートも好きなので、私の中ではかなり面白いんですけど、草場先生の前作のサッカーマンガが、『ファンタジスタ』であるがゆえに、ファンタが好きな人に素直に薦めていいのかと問われると、ちょっと考えてしまいます。
ごめんなさい、意見としてあまり参考にならないと思いますが、そのあたり興味がある方は、ご自身で確かめてみてください(個人的には、第2集まで読めば判断できるかと思います)。
※
続く5巻は、ファゼンダ編が完結します。
試合の決着はどうなるのか? ファゼンダの人々の運命はどうなる? 次なる、作品の舞台となる場所はどこ?
続きは、数ヵ月後のお楽しみです。
■ 掲載
第28話~第37話
週刊ビッグコミックスピリッツ2008年51号~2009年13号(うち休載2回)
サカザキが大臣にけしかけるところまで収録。
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