『マイスター 1』 / 加地君也
2009.04.08 23:24
※ネタバレとなり得る要素を含んでいる可能性がありますのでご注意ください
週刊少年ジャンプにて、10週打ち切りとなってしまった、『マイスター』1巻の感想記事ですが・・・、作品の総括的なものは、2巻(完結)のほうでやりたいと考えていますので、今回はなるべく簡単にまとめたいと思います。
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作品の舞台は、新設校ながら、前年県大会でベスト4の成績を残したという総海(さとみ)高校。
主人公の新岸頼歩(あらぎし らいほ)は、チームのキャプテンで、"楽しんで勝つ"をモットーに、個性的過ぎる部員たちとともに、インターハイ出場を目指していくといったストーリーです。
1巻では、全10話のうちの半分、Play.1~Play.5までが収録されて、大雑把に書くと、総海高校に入学した新1年生の話と、総海高校が目指すサッカーについての話が描かれています。
私個人の感想としては・・・
"マイスター"という言葉の示すの意味、"一芸に秀でた者が多く常識に捕われない考え方でチームを構成している"という総海のサッカースタイルと、"楽しんで勝つ!"の要素をストーリーの中で上手く見せていくことができれば、少なくとも10話で打ち切られることはないかなぁと考えていたのですが・・・
(現に序盤の展開では、サッカー描写的にツッコミどころはあるにしても、悪くはなかったと思います)
やっぱり・・・、Play.3で頼歩が錦(元プロクラブJr.ユース出身の新1年生FW)に言い放った、「ふざけるなァ!!」が、作品を悪い方向を加速させてしまったかなぁと思います。
奇をてらおうとすること自体に何も問題はないのですが、それには相応の説得力が必要になると思います。あの「ふざけるなァ!!」は、読む者を納得させることができるだけの説得力はなく、「なぜ?」という疑問ばかりが残るものでした・・・。
また、あの場面については、連載を読んだ当時の雑感でも書きましたが、楽しさを強調していこうとしていく作品なのなら、まずは、錦のプレーの良い部分を認めるところから入るべきだったのではないかと今でも思えてなりません。そうすれば、また違った展開になっていったようにも思うんですけどね・・・。
そして、あともうひとつ、楽しさを強調するサッカーマンガなら、やるべきではなかったと感じたものがあったのですが、それは2巻収録のお話なので、作品の総括的なものも含めて、そのあたりは次回に書きたいと思います。
リアリティのあるサッカーマンガというよりも、サッカーを楽しく描いていこうすることを目指した作品性。
10週で打ち切られてしまった作品である(アンケート至上主義の少年ジャンプでそういう判断が下された)、ということを踏まえたうえで、興味のある方はチェックみてはいかがでしょうか。
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さて、本編以外にも、10週打ち切りなのにもかかわらず全2巻構成というだけあって、単行本用に加えられた描き下ろされたも多く掲載されています。(通常のコミックよりページ数は多いです)
ウ○イレの能力値付きのキャラクター紹介に、サッカー用語解説、ギャグの元ネタなどについての解説もあったりして、個人的に、裏話的なものが好きだったりするので、こういうものは楽しんで読んでいたりするのですが・・・これに関してはちょっとばかりしゃべりすぎな部分があったかもしれませんね(笑
あと、カバーをめくっても面白い(?)ものが見られます。
そして、描き下ろしの解説の他に、以前週刊少年ジャンプで読み切り掲載された、『ストライカー義経』というサッカーマンガも掲載されています。
サッカー大好きだけど、名前負けしていじめを受けている、"弁慶"という名の少年が、弁慶の学校に転校してきた、自らを源義経の生まれ変わりと豪語する、"義経"と出会い、弁慶をいじめていた先輩たちに勝負を挑んでいく・・・といったお話です。
義経に触発され、自分の弱さを克服していく弁慶の姿など・・・、ひとつの読み切り作品としては、加地先生が必死に言い訳するほど悪くはないと思いますが、サッカー描写という点では、それほど見どころはない作品だったかなとは思います。
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さて、完結となる2巻は、5月1日発売になります。
一応、話の結末を知っている私としては、描き下ろし部分がどうなっているのかが 気になるところです。
■ 掲載
Play.1~Play.5
週刊少年ジャンプ2009年1号~6・7合併号
インターハイ県予選の組み合わせが決まるところまで収録
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【読み切り】ストライカー義経
週刊少年ジャンプ2004年50号掲載
タグ : マイスター