『イナズマイレブン 4』 / やぶのてんや
2009.10.31 23:54
※ネタバレとなりうる要素も含んでいますのでご注意ください
オリジナルであるゲームの新作が発売され、アニメも熱血放送中と、好調ぶりが窺える『イナズマイレブン』。そのコミック版4巻の感想です。
中学サッカーNo.1を決める大会“フットボールフロンティア”の地区予選を順調に勝ち上がる雷門中。4巻では、地区予選の決勝戦、何かと因縁のある帝国学園戦が始まっていきます。
帝国学園戦は、すべてがクライマックスと言わんばかりに、ハイテンションな展開が怒涛のように押し寄せてきます。
怪我から復活したたまごろうのゴール、レガースがボロボロになるほど(!)の強烈なシュートをブロックした風丸、影山が故意にピッチに円堂鉄骨を落としたところを守る鬼道、ゴッドハンドが破られたところをゴールラインギリギリのところで止める豪炎寺・・・
そして、圧巻だったのは、同点のままで迎えたロスタイム、雷門中がGK・円堂も含めた全員攻撃を仕掛けていく場面。 必殺シュートを繰り出しまくっても、なかなか帝国のゴールを割れなかったが、最後は、円堂と豪炎寺の“イナズマ1号”が帝国のゴールを打ち破る。いやぁ、熱い、熱かったですね!
スポーツとしてのサッカーという視点から見ると、無茶苦茶な展開ですが、『イナズマイレブン』については、これでいいんです!
少年マンガの王道を突き進む、熱血青春サッカーストーリーが『イナズマイレブン』らしさ、そういう意味では、今回も大いに楽しませてくれるものだったと思います。
・・・ですが、やはり、残念に思ってしまうのは、展開が端折られまくりなところですね。
コミック版では、春奈がいないので、鬼道との兄妹の話はできないですし、連載ペースを考えると、どんどん端折っていかなければならない事情があることは理解できるのですが、本来だったら、もっとボリュームのあるストーリー構成にするべき部分なだけに、残念な感があります。
(大人の方の)イナズマイレブンたちも出てこないですしねぇ・・・
このあたり、コミカライズ版の宿命として、割り切るべきかと思っていますが・・・。
それと、ゲーム、アニメ、コミック、それぞれ異なる要素があるので、コミック版でのキャラの扱い納得がいかないなど・・・、賛否分かれる部分もあるかと思いますが、私は、これはこれで楽しんでいます。
巻末の方には、現在別冊コロコロコミックにも掲載されている、“特別ギャグ編”が掲載されています。さりげに面白いです。壁山かわいいよ壁山。
※
さて、続く5巻では、4巻の終盤から描かれ始めていますが、フットボールフロンティア全国大会が描かれていきます。私は、連載をチェックしていないので、先の展開は知らないのですが、コミック版ではどのように描かれていくのか、ギャグ編も含めて楽しみにしています。
■ 掲載
第14話~第17話
月刊コロコロコミック2009年7月号~10月号
世宇子との対面、イナズマ1号が止められるところまで収録
※
特別ギャグ編
別冊コロコロコミック2009年8月号~10月号
タグ : イナズマイレブン
『ANGEL VOICE 12』 / 古谷野孝雄
2009.09.23 21:35
Amazonおすすめ度:

※ネタバレとなりうる要素も含んでいますのでご注意ください
記事のアップが遅くなってしまい、申し訳ないです。
『ANGEL VOICE』12巻の感想です。
王者・船和学院との準々決勝。
サッカー部存続のためのノルマであるベスト4入りを懸かった大一番ではありますが、王者相手に力の差を突きつけられることとなり、0-9と言葉にするまでもなく、勝利は絶望的な状況に・・・。
・・・しかし!
「――それでも…… それでも走るんだ」
勝利は絶望的であっても、せめて、船学の胸に自分たちの存在を刻み付けてやるために、気力を振り絞って走り続ける市蘭イレブン。
12巻では、試合時間が残りわずかとなる中、攻撃に出る市蘭は一矢を報いる1点を奪うことができるのか・・・といったところから始まっていきます。
※
熱くさせてくれたり・・・
虚しい、やるせない気分になったり・・・
憤りに近いものを感じたり・・・
今回もいろんな意味で、私の心を揺さぶってくれました。
まずは、船学戦の決着。
9点差をつけられても、もうサッカー部は存続できないと分かっていても、それでも最後まで全力で走り続けようとする市蘭イレブンの姿勢が実を結びます!
成田からパスを受けた乾。
船学DFに厳しいマークを受けながらも乾は、万代にスルーさせ、尾上へとスルーパスを通す。
パスを受けた尾上は、右足で打つシュートコースがないため、威力は弱いながらも左足でシュート。しかし、船学のGK・皆川がひじで当て防ぎます。そのこぼれ球を成田が押し込むも皆川はかろうじて身体に当て、市蘭にゴールを割らせませんが、一瞬ボールを見失った皆川、気づいたときには乾が走り込んでいて、なんとかボールをゴールに押し込もうとしますが・・・
すでに前後半90分近く走り続け、一度両足を痙攣させてしまっている乾(11巻参照)は、足がもつれ転んでしまいます。
しかし、ちょうど乾が転んだ先に、ボールが転がり込んできて・・・
ここで、視点が相手のカウンターに備えて、ハーフウェイラインにポジションを取っている脇坂に移るのですが、混戦模様になっていてゴール前の状況が見えずにイライラしている脇坂は・・・
「この日一番大きな歓声がわき起こった
その歓声が市蘭のゴールを伝えた」
観客の歓声によってゴールが決まったことを察し、声を張り上げる・・・
ゴールシーンを直接見せずに、ゴールが決まったことを悟らせる、この演出が心憎すぎんですよねー!
9点をつけられても、決して投げやりになることなく、自分たちの戦い方を貫いてもぎ取った1点。
絶望的な中でも、自分たちらしさを貫き続けたことが、しっかりと“結実”したことが、本当に良かったなぁと思います。それを成し遂げた市蘭イレブンはカッコいいと思いますし、見ていて泣けました。
・・・
・・・ですが、試合は1-9と大差をつけられ敗れてしまいました。
結果は、屈辱的な大敗と言えるものかもしれないけど、90分間懸命に走り続けた市蘭イレブンを笑うものは誰もいない。ピッチから引き上げる市蘭イレブンを観客たち。
彼らの戦いぶりは、確かに、観客たちの心を動かすことに成功しました!
そして、試合終了後、ござる君から借りたスパイクのお金を返すために、船学のロッカールームを訪れた成田は、船学選手たちから健闘を讃える言葉の数々受け・・・
彼らの戦いぶりは、確かに、自分たちの存在を船学の面々に刻み付けることにも成功しました!!!
だけど・・・
「次はねえ!! 終わったんだよ」
・・・そう、結局、どれだけ人の心を動かすことができたとしても、ノルマであるベスト4に入れなかった市蘭サッカー部は、廃部の運命を辿ることになる・・・。
このあたりは、連載を読んで、先の展開を知っている状態で読み返すと、少し感情的に薄らぎますが、市蘭サッカー部員の心情を思うと、切なさ、虚しさ、何とも言えないやるせなさがこみ上げてきますね・・・。
※
その一方で・・・
「いかん!! いかんぞ!!
このまま終わらせてはいかんだ!!」
サッカー部存続派の第一人者であり、サッカー部建て直しのために黒木を招集した張本人である湯島校長は、サッカー部を何とか存続させるため、ここにきてようやく本気になって動き始めます。
そのきっかけとなる、瑠華姐さんの男気ある言動はカッコよすぎるので要チェックです。
(瑠華と校長のやり取りは、シリアスだけど微笑ましさもあって好きですねw)
結果、サッカー部は、1週間後、市蘭のグラウンドで練習試合を全校生徒・教員に見てもらい、その上で再度廃部について考え直すという、サッカー部からすればもう一度チャンスを得ることに成功します(ここは、校長の行動力を褒めてあげよう!)。
そんな事情を知らないサッカー部メンバーたちは、百瀬の提案で、最後にみんなで部室の掃除をすることに・・・。
掃除をするにも、それぞれ個性が見られて面白いのですが・・・
このエピソードでは、サッカー部の看板の裏に、歴代の先輩たちが書き残したメッセージを見つけ、それが、廃部が決まり、少し熱が冷めかけていたメンバーたちの心に再び火をともしていく場面が見どころですね。
尾上と母親とのちょっとやり取りや、麻衣の署名活動もそうですが、古谷野先生は、こういうじわじわとくる物語を作るのがすごく上手い方だなぁと改めて思います。本当、この独特のじわじわ感がたまらないです。
※
勝てば存続が決まるわけではないとは言え・・・
もう一度、戦うチャンスを得た市蘭と戦う相手は、全国大会常連校でもある、東京の帝稜高校。
帝稜戦は、13巻にも続いていくところなので、というか、ここまで長々ダラダラ書いてしまっているのでここは手短にしたいと思いますが・・・
市蘭で行われる試合とはいえ、一般生徒や教員たちは、サッカー部の廃部を望んでおり、実質アウェイで戦っている状態。
市蘭は先制点を奪うことに成功し、一般生徒たちも、部分的に目を奪われることはあるけれど、サッカー部に対する偏見的な目、反サッカー部の風潮もあって、彼らのことを認めようとはしてくれない・・・。
そんなところに、帝稜の同点ゴールが決まる。
失点してしまった場面は、脇坂たちが一般生徒たちに自分たちを認めさせたいがゆえに、より高いレベルのプレーを目指した結果が本来のバランスを崩し失点につながってしまった・・・。
ホームなのに、アウェイチームのゴールに歓声を送る一般生徒たちに、脇坂たちの思いを考えると、切なくもあり、憤りに近いものを感じていましたね。
そして、市蘭イレブンは、ここまで、自分たちの限界を超える戦いの中で力を発揮してきたわけですが、今回は、自分たち本来のプレー以上のことを目指そうとして失点してしまったというのは何とも皮肉な話だなと・・・。
1-1の同点になった以降の話は、13巻で描かれていくことになります。
帝稜側の話で言えば、やたらとキャラは立っているけど、今はまだベンチにいる20番・坪井は、要チェック人物です(笑
※
面白い。
本当に、面白いなぁと思います。
地味ではあるんだけど、ひとつひとつのエピソードが丁寧に描かれ、効いていて、いちいち心を揺さぶってくれます。
巻を重ねるにつれて、面白さも着実に積み上げていくということは、本当に難しいことだと思うんですよ。けど、(古谷野先生の前作の野球マンガ・『GO ANd GO』も含めて言えることだと思うのですが)それをやってのけてくれている。
古谷野先生というと、絵柄があの人に似ているとか、どうしてもそういう目に付きやすいところに視線がいきがちになってしまうのですが、もっとストーリー構成の上手さの部分にも目を向けてあげてほしいなと思います。後者の部分こそが、古谷野先生の真骨頂ですからね!
『ANGEL VOICE』も、この作品らしく、地味にじわじわと評価されているかなというのは感じますが、もっともっと高いポジションに居るべき作品だと信じているので、これからもプッシュしていきたいなと思っています。
※
さて、続く13巻では、引き続き帝稜戦が描かれていきます。
「一度(ひとたび)くるい始めたリズムを元に戻すのは 容易なことではなかった」
同点に追いつかれてしまったうえに、少し気持ちが空回り気味の脇坂たち・・・
試合の流れは市蘭に厳しい状況へとなっていきますが、全国レベルのチームを相手に勝利を収めることができるのか。何があっても最後まで諦めない市蘭イレブンの戦いに今後も目が離せません!
私自身、先の展開は知っていますが、単行本で読み返すと、また違ったものが見えてきたりもするので、2~3ヵ月後が楽しみです。
・・・
今回は、あれこれ詰め込もうとしすぎて上手くまとまらず、無駄にダラダラと長く書いてしまい反省(苦笑
まぁ、それだけ、語りたい要素が多いということですが、そのあたりは連載雑感で書いて、次回はもう少しポイントを絞って、コンパクトにまとめたいと思います。
■ 掲載
第97話~第105話
週刊少年チャンピオン2009年20号~29号
帝稜の同点ゴールが決まるところまで収録
タグ : ANGEL-VOICE
『ANGEL VOICE 11』 / 古谷野孝雄
2009.07.12 20:53
Amazonおすすめ度:

※ネタバレとなりうる要素も含んでいますのでご注意ください
ストーリーの大きな山場を迎えている、『ANGEL VOICE』11巻を読んだ感想です。
全国高校サッカー選手権千葉県予選は準々決勝。
ここを勝ち上がれば、サッカー部存続のためのノルマでるベスト4入りが達成となるのですが、その準々決勝の相手は、高校サッカー界の王者である船和学園。
しかも、前半の早い時間帯に3点を失ってしまい、まだ時間は残されているとはいえ、状況はかなり厳しいと言わざるを得ません。まずは、1点を返さなければ・・・というところから、11巻は描かれていきます。
※
読んだ感想としては・・・
熱いです。
とにかく、胸を熱くさせてくれます。
テーマとしては、“いかなる状況でも決して諦めずに、全力で戦い続ける”という、これまで市蘭サッカー部のメンバーたちが何度も見せてくれたものです。
ですが、ストーリー的にサッカー部運命を決める船学戦だからというのもありますが、その熱量が巻を重ねるにつれて、どんどん加速していっているところが本当にすごいなと思うんですよ!
それを象徴するのが試合後半・・・
前半を0-4折り返した市蘭イレブンは、後半開始10分で持てる体力すべてを出し切る決意で後半を迎えます(文章の都合上割愛しますが、ハーフタイム中のエピソードも見どころです)。
決死の覚悟で臨んでいることもあり、船学を押し込み、惜しいチャンスを何度か作りますが、船学のGK・皆川によって防がれ続け、どうしてもゴールを奪うことができません(この皆川という男、市蘭視点見ている側からすれば、本当憎たらしくてたまらない)。
そうこうしているうちに、タイムリミットを迎えた後半11分。
市蘭は、1点を奪い返すどころか、逆に船学の古川(ゴザル君)にディフェンスラインを破られ、飛び出してきた所沢の頭をふんわりと越える、決定的なループシュートを打たれてしまいます。
ですが・・・
「ゴールラインを割るまで得点じゃねえんだよ!!」
と、みんなで(画を見る限り8人います!)ゴールラインを割るギリギリまで諦めずにボールを追いかけていく・・・まず、この場面にグッときました。
けれど、現実には無情にもゴールが決まってしまう・・・。
(シンゴは別として)メンバーたちは、この失点の示す意味を理解しているはずです。
それでも、まだ可能性残されていると信じていたいからだと思います。「あと10分走れ!」という言葉を求めて、彼らは監督である黒木の方を見つめます。
しかし、黒木は、「これ以上走れ!」と、メンバーたちに言うことはできませんでした。
ここまで諦めることなく、自分たちの限界を超えて走り続けてきた彼らに、黒木は、これ以上のものを求めることはできなかったんです。
・・・支えとなっていたものが失われ、“廃部”が現実味を帯びた状況となり、とうとう心が折れてその場にへたりこんでしまう脇坂・・・そして、広能。
読んでいる私の方も、彼らの心情を思うと、涙を流さずにはいられなかったです。
そんなとき・・・、いつもキャプテンの百瀬は、チームを救ってくれますよね。
すでに廃部が決定的となっている状況でも、走り続ける意味・・・
「悔しいから…… 最後まで走るんだ」と百瀬は言います。
「船学を相手にこんな状況になったら
ほとんどのチームが諦めて足を止めてしまうだろう
そんなどこにでもあるようなチームのことを
あいつらが覚えていると思うか?
今走るのをやめたら 1週間もすればオレたちのことは忘れられてしまう
――それが悔しい
チームが出来て半年とちょっと……
短い間だったけど…… 最高のチームだと思う
だからっ…… このチームのことを忘れられるのは悔しい!!
せめてあいつらの胸に刻み込んでいこうよ
市蘭サッカー部が存在したことを
高校サッカー最強チームに思い知らせてやろう
オレたちは―― オレたちはここにいたんだ」
もう、この百瀬の言葉が最高でした。
この自分の気持ちを上手く表現できない自分に本当ガッカリしますけど(苦笑)、最高に心打たれる場面でした。
そんな百瀬の言葉に、市蘭イレブンも息を吹き返し、再び走り始めます。
5点を奪われた後でも、集中を保ったプレーを見せる市蘭のサッカーは、船学の選手たちの心をも突き動かし、大量リードでテンポを緩めるどころか、むしろ本気のプレーを引き出します。
その結果、さらに4失点を重ね、0-9とされてしまうのですが・・・
「――それでも…… それでも走るんだ」
市蘭サッカー部はなくなってしまうかもしれないけれど、せめて、船学の胸に自分たちの存在を刻み付けてやるために、彼らは走り続けるんですよ!
そんな彼らの姿勢は、船学を応援に来た、99.9%の観客の心をも突き動かし、市蘭サッカー部へと声援を送り始めていきます。
この畳み掛けるような心揺さぶられる展開の連続には、居ても立ってもいられない気分になります!
これだけ圧倒的に点差をつけられている試合を、これだけ読ませるストーリーに仕上げることができる古谷野先生は、素晴らしいと思いますね。
とにかく、彼らの諦めずに走り続ける姿を見てあげてほしい!
絶望的な状況でありながらも諦めずに走り続ける彼らの姿に、読者である私たちも、心突き動かされる“何か”を感じずにはいられないはず!
もし自分がこの先、何か壁にぶつかるようなことがあったとき、この船学戦を読んで勇気をもらいたい。私は、読んでいてそのように思いました。
これまで、この作品を何とな~く敬遠していた方もいらっしゃると思いますが、今最も熱いサッカーマンガのひとつなので、まずは、連載誌である週刊少年チャンピオンをパラッと立ち読みするところからでもいいから、作品に触れてみてほしいなと思います。単行本で最初から読み始める場合は、2~3巻ぐらいまでは見てほしいです。
もう本当、この熱くなりっぱなしの気持ちをどうしてくれようか?(笑
(その気持ちが高じて、簡易まとめを作っちゃたわけですが)
この作品が、現在一番売れてるサッカーマンガの半分どころか、4分の1も売れていないというのは不思議な話です(もちろん、それには相当の理由があるはずなんですけどね)。
今回は、文章の都合上カットしましたが、試合中にシザースをマスターしていくシンゴの描写、ルカ姐さんと校長のやり取り(姐さん男前すぎっす)、ヘタレキャラから格段の成長を見せてきてる脇坂の名言、ハーフタイム中の麻衣の歌なんかも良かったと思います。
※
さて、続く12巻は言いますと・・・
試合の結末が描かれていくのですが、後半33分の時点で0-9というスコア・・・。その数字が示す意味というのは、言葉にするまでもなく想像できるかと思いますが、まだ試合は終わっていません!
その後の展開も描かれますが、それよりも、いかなる状況でも全力で戦い続ける市蘭サッカー部のメンバーたちの姿を、まずは最後まで見届けてあげてほしいなと思います。
■ 掲載
第88話~第96話
週刊少年チャンピオン2009年11号~19号
試合終了間際、成田がシザースで辻井をかわすところまで収録
タグ : ANGEL-VOICE
『イナズマイレブン 3』 / やぶのてんや
2009.06.29 21:12
※ネタバレとなりうる要素も含んでいますのでご注意ください
新シリーズのアニメも始まり(しかも、ゴールデンタイムだ!)、着実に人気の輪が広がってきている印象を受ける『イナズマイレブン』のコミック版3巻の感想です。
いよいよフットボールフロンティアが始まり、1回戦の野生中と戦う雷門中のメンバーたち。たまごろうが直前の特訓で怪我をし、試合を欠場することになったショックから、2点のリードを許す雷門中。しかし、たまごろうをバカにする野生中の面々へ怒りのゴッドハンドで、シュートを止めた円堂。雷門中の反撃が始まっていくところから、3巻は始まっていきます。
3巻では、野生中との決戦、2回戦の御影専農戦、準決勝の秋葉名戸学園戦、そして決勝の帝国学園戦を控えて・・・というところまで、話はとんとん拍子に進んでいきます。
,p> 個人的には、コミック版は展開が端折られすぎで、もうちょっと、それぞれのエピソードをじっくり読んでみたいなって気持ちもあるのですが、そのあたりは、先のシリーズのコミック化を描かなくてはならないでしょうし、他メディア版と大きくタイムラグを作らないためにも、仕方のないことなのかもしれません。※
今回も、『イナズマイレブン』らしい、熱血青春サッカーストーリーで楽しませてくれます。
もう少し、それぞれのエピソードに時間を割いて描けたら、もっと盛り上げることができるんじゃないかなぁと思いつつも、弱小だった雷門中サッカー部が、打倒帝国を目指して懸命に練習し、成長を見せ、それがいつしか他の生徒たちにも伝わり、みんなに応援される存在になっていた描写は、良かったな~と思います。豪炎寺と鬼道のバトルも熱かったです。
ゲーム、アニメ、コミック、それぞれ微妙に違って描かれているので、ゲームやアニメを知ってる人でも、それぞれの違いを見ながら読んでいく楽しみ方もできます。
私的には、イナズマ落としのエピソードが好きですね。
ゲーム版のイナズマ落としは、踏み台にされる側はなんかダサいという雰囲気がありましたが、コミック版は、普通にカッコよく描かれていたので(笑
それと巻末には、4コママンガなどが描かれていて、これも面白かったですね。
『イナズマイレブン』は、必殺シュートが炸裂しまくるトンデモ路線のサッカーマンガなので、リアルサッカーの面白さを描いた作品を求めている方には、やはりお薦めできません。基本は、トンデモ路線のサッカーマンガを読みたい方や、リアルコロコロ世代向けです。
ですが、現代っ子たちに多大な知名度を誇るサッカーマンガとして、コロコロ世代から離れてしまった大人であっても、『イナズマイレブン』の世界に触れてみるというのも悪くないと思います(コミックに限らず、ゲームでもアニメでもいい・・・というか、世界観に触れるにはアニメが一番いいかも)。私は、これはこれで楽しんでいます。
※
さて、続く4巻では、雷門vs帝国が描かれていくようです。
私は、ゲーム版を1回だけですがクリアし、アニメの方もひと通りチェックいるのですが、コミック版ではどのように描かれることになるのかが気になります。
■ 掲載
第10話~第13話
月刊コロコロコミック2009年3月号~6月号
豪炎寺と鬼道が対決するところまで収録
タグ : イナズマイレブン
『YATAGARASU 20』 / 愛原司
2009.06.20 21:21
Amazonおすすめ度:

※ネタバレとなり得る要素を含んでいますのでご注意ください
ついに20巻到達となりました、『YATAGARASU』20巻の感想です。
高円宮杯全日本ユース選手権への出場を目標に掲げ、全日本クラブユース選手権の地域大会を戦う、グランヴォーチェ城ヶ丘SC。
予選リーグを無事首位通過し決勝トーナメントを迎える、グランヴォーチェの次なる相手は、故意に予選リーグを2位通過を狙い、グランヴォーチェと戦うことを臨んだ御陵川FC。
20巻では、その御陵川FC戦が描かれていきます。
※
で、読んだ感想ですが・・・
いつも通り、安定して面白いです!
今回の対戦相手は、鉄壁を誇るGK・藤を中心に徹底して守備的に戦い、(茂木に匹敵する俊足をである)FW・村主のスピードを活かした一発のカウンターを狙う御陵川FC。
ディフェンス陣全体の能力が高い御陵川の中でも、特筆すべき存在はGKの藤。
ボガータユースのテストも受けていたという藤は、驚異的な反応速度によるセービング、カウンターの起点にもなれる精度の高いキック、シュートコースを的確に見極める目、そして何より、"シューターの心理"を読み取ることに優れ、グランヴォーチェ攻撃陣にゴールを奪わせません。
それに対して、グランヴォーチェも、森村を中心に(というか、ほとんど森村)あらゆる思考を凝らして、御陵川のゴールに迫るも、藤の方が一枚上手であと一歩のところでゴールが奪えない。PKでさえも、止められてしまう(これは、逆に森村だからこそ読まれ止められてしまったという一面もありますが)。
相手が守備に絶対的な自信を持っているチームに対して、なかなかゴールが奪えない。
それによって、刻々と時間が迫ってくるにつれ、どうしても疲労の色も濃くなってくるし、焦りから集中力を欠いたプレーや、普通ではありえないような凡ミスも出てきてしまう・・・。
このあたりの攻防というが、すごく見応えがあって面白かったです。
特に、シューターの心理の話が、個人的には好きですね。
また、相手は素晴らしい能力を持ったGKではありますが、その中でも、同じGKの宮が意地の好プレーを見せてくれたり、江守くんもギリギリのところでシュートを止めたりなどの活躍も描かれていたので大満足です!(笑
やっぱり、きちんとサッカーを描いているサッカーマンガは面白い!
サッカー好き以外の方に対しては、強くプッシュできる要素に欠ける感も否めないですが、ここはサッカーマンガを題材にしたサイトであり、私自身が好きな作品ですから、(いつも主張していますけど)お薦めサッカーマンガのひとつに挙げておきます。もし未読の方で、きちんとサッカーしてる作品が読みたい方は是非、お手に取ってみていただけたらなと思います。
※
さて、続く21巻では、単行本派なので、本当に何も知らないのですが、御陵川FC戦の決着が描かれていくことになると思います。
延長後半も残り時間3分・・・
どうやって、藤の牙城を打ち破るのか?
一度止められてますが、フリーキックで?
それとも、シューターの心理を読む藤の上を行くのは、意外と茂木の破天荒さだったりして?
その続きは、4ヵ月後のお楽しみにしておきます(笑
『YATAGARASU』も、『VIVA! CALCIO』に並ぶ20巻まで到達しました。
この作品の結末は、まだまだ見えませんが、愛原先生の描くサッカーマンガを、この先も読み続けることができればいいな~と思ってます。
■ 掲載
Vol.76~Vol.79
月刊少年マガジン2009年1月号~4月号
御陵川戦延長後半残り3分のところまで収録
タグ : YATAGARASU
『ANGEL VOICE 10』 / 古谷野孝雄
2009.04.14 21:15
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※ネタバレとなり得る要素を含んでいる可能性がありますのでご注意ください
今、一番読む者の心を強く揺さぶるサッカーマンガかもしれない・・・
『ANGEL VOICE』10巻の感想です。
全国高校サッカー選手権の決勝トーナメント1回戦。
千葉南光と戦う市蘭サッカー部は、試合序盤こそ初めて体験する芝のピッチに戸惑いを見せるも、尾上のミドルで先制点を奪うことに成功。10巻は、その千葉南光戦の先制点後から描かれていきます。
10巻で描かれている内容は、千葉南光戦の決着、現在の市蘭サッカー部をめぐる話、そして、いよいよノルマである県大会ベスト4をかけた大一番であり、県内いや全国クラスでの強豪校である、船和学院戦が始まっていきます。
今回も非常に面白かったです。
というか、ストーリーが進むにつれて、どんどん面白くなっていると思います。
※
まず、取り上げたいのは、市蘭サッカー部のメンバーたちは、それぞれに努力して、全力で戦い、成長を見せている・・・にもかかわらず、厳しい現実にさらさせているということ。
ピッチの外の話でその部分が描かれているのは、第81話~第82話のエピソード。
県大会でベスト8進出を決め、市蘭サッカー部を取り巻く環境もいい方向へと傾き始めても・・・と思うところですが、現実は、以前サッカー部を荒らしていた連中が再度動きを活発化させている影響もあり、市蘭の一般生徒たちの視線はあくまで冷たく、まさに、ホームになのに完全にアウェイであるかの状況。
「オレはあいつらとは違う
オレは変わったんだ もう以前のオレじゃねえ」
「わかってるよ万代
でも……… それは自分で口に出して言うことじゃない」
言い方は厳しいかもしれないけれど、少なくとも、以前は一緒になって学校を荒らしていた、万代、二宮、水内、脇坂にとっては、この仕打ちは決して理不尽なことではありません。それは、そもそも彼ら自身が招いたことなのだから・・・。
ですが・・・
誰もが市蘭サッカー部の存在を認めてくれない生徒たちばかりという状況の中、「次の試合頑張れよ」と声をかけられ、そのことが彼らにとってすごくすごく大きな勇気と希望を与えていたのにもかかわらず・・・、実際にそいつは、単にからかっていただけでこれっぽちも応援する気なんかなかったという現実。それを知った時の脇坂の涙には、さすがに言葉にならない悲しさとやるせなさがこみ上げてきました・・・。
ごくごく少数派でも、彼らを応援してくれる人がいることを、読んでる私も素直に嬉しく思っていたので、このショックのダメージは私にとってもかなり大きなものとなりました。彼らは、ここまでの仕打ちを受けなければならないのかと・・・。
そして、ピッチの中での話に目を向けると、それはやはり、敗れた時点で廃部が確定してしまう、運命をかけた船学戦。
正真正銘、絶対に負けられない戦い!
市蘭のメンバーたちは、これまで仮想・船学として、大学生を相手に練習を重ね、着実に強くなっていました。
・・・にもかかわらず、船学の古川には簡単にパスを通され、ユゥエルには簡単に突破を許し、あっという間に先制ゴールを許してしまいます。
その後も、反撃を試みるも得点を奪えず、さらには追加点を奪われ、前半の早い時間帯に3点のビハインドを負うことに・・・。
サッカーは何が起こるか分からないとはいえ、相手のことを考えると絶望的とも言える点差で、厳しい現実にさらされている状況と言えますが・・・
「少なくともここ数ヶ月の練習量はこっちの方が上だろーが!!
少しくらい意地見せてやろうって思わねえのかよ!!」
この脇坂の言葉で、やられっぱなしだった船学の攻撃に対し意地を見せ始めます。
これまで作中で何度なく見せてくれていますが、どんな状況であろうとも、決して諦めず投げ出すことなく全力で戦っていこうとする彼らの姿勢に胸が熱くならずにはいられません。
本当に、彼らを取り巻く状況は厳しい・・・。
それでも、彼らは本気でサッカーに取り組み続けていく・・・。
彼らは、本当にカッコいいと私は思います。
※
登場人物たちの着実な成長や、彼らのサッカーに対する姿勢も非常に魅力的ですが、作中に見られるギャグ描写も私は好きです。
芝のピッチでシュートをふかしてしまう成田が、ふかさないようにするためにアドバイスを受けシュートを打ったら、思いっきりダフった場面は、9巻にも描かれていますが・・・。
シュートを打つたびに、芝のえぐれ方が小さくなっていって、その成田の見せる進歩が地味に相手DFに恐怖を与えている画が私的には笑えます。
あとは、9巻で出会っている、船学のエース・"ござる君"こと古川鷹山と成田が、試合前に再会する場面もかなり面白かったです。
ストーリー的に、シリアス度が加速していくところではあるのですが、その中で見せるギャグ的描写がまた秀逸で、シリアスに偏りそうな空気をいい具合に和ませているなと思います。
このあたりのギャグ描写を面白いと思う感覚などは、人それぞれ大きく異なる部分だとは思うのですが、私からすれば、そのへんのバランス感覚は絶妙に感じられます。
※
さて、続く11巻では、船学とのベスト4入りをかけた戦いが続いていきます。
早々に3点を奪われる厳しい、非常に厳しい状況ではありますが・・・、それでも全力で戦い続ける彼らの姿を見守ってあげてほしいなと思います。
少しずつ伸びてきているとはいえ、まだまだ過小評価されていると言わざるを得ない作品。
私自身も、もっとこの作品の面白さについて、伝えていけるようにしていければいいなと思ってます。
■ 掲載
第79話~第87話
週刊少年チャンピオン2008年52号~2009年10号
県大会準決勝、市蘭vs船学、船学3点目まで収録
タグ : ANGEL-VOICE
『イナズマイレブン 2』 / やぶのてんや
2009.03.10 20:52
※ネタバレとなり得る要素を含んでいる可能性がありますのでご注意ください
ニンテンドーDS用ゲーム、超次元サッカーRPG『イナズマイレブン』のコミック版の2巻の感想を・・・今回は簡単にまとめたいと思います。
2巻は、尾刈斗中との練習試合~フットボールフロンティアの初戦、野生中戦の試合途中までが収録されています。
『イナズマイレブン』の特徴と言えば、必殺シュートが炸裂しまくりな、少年マンガのベッタベタの王道を突き進む超熱血青春サッカーストーリー。
今回もそんな『イナズマイレブン』らしさを、楽しめるものでした。
個人的には、ルックス的なものも含めてなんかカッコよくなっている染岡(お前はもっとコワモテ風だろうとw)、地道な特訓から分身フェイントをマスターした、たまごろうの話が好きでした。あ、あと、さりげに男刈斗中の呪いを催眠術と見破っていたのは、影野だったということも忘れるわけにはいきません(笑
また、ストーリーやキャラの印象も、ゲーム版との違いがあるので、そのあたりの違いを見ていくのが面白かったですね(個人的に、コミック版の夏未には納得いかないのですがw)。
※
基本的には、コロコロコミックをリアルで読んでいる世代向けの作品ではありますが、そうではなくても、そういう作風が好きな方、コロコロ読んでいた時代を懐かしく思えるようなキャプ翼世代あたりにも楽しめる素地はあるんじゃないかと思います。
完全にトンデモ系に特化しているので、(トンデモ系をどうしても受け入れられないという方にはスルー推奨と言わざるを得ませんが)トンデモに特化している分、リアリティ路線のサッカーマンガが好きであってもそれはそれで違ったものとして読んでいけると思います。
かつての『キャプテン翼』ようなムーブメントを巻き起こす・・・というほどではないにしても、今の小学生たちにとって、サッカーマンガと言えば、『イナズマイレブン』というぐらいには浸透しているらしいので、ゲームの続編の発売も決まっていますし、今後の動向にも注目していきたいです。
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さて続く3巻は、掲載ペースからして7月末あたりが有力視されますが、2点のリードを許した雷門中が、野生中をいかにして逆転していくのか、このあたり"イナズマおとし"の話は出てこないし、たまごろうが思わぬことになってるしと、ゲームとは話が違うので、どういう展開になっていくのかすごく気になります。
■ 掲載
第5話~第9話
月刊コロコロコミック2008年10月号~2009年2月号
フットボールフロンティア初戦、野生中戦途中まで収録
タグ : イナズマイレブン
『あかねSAL☆ 4(完結)』 / 原作:岡田惠和 漫画:なかはら★ももた
2009.02.11 01:08
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この記事は、下書きだけして10ヶ月ぐらい放置されたままになっていたものをベースに書き上げたものです(基本的に当時のままで手直しはしてません)。
フットサルマンガの記事を書くために、あれこれ調べていたら、すっかり忘れ去られていたこれを発掘しまして、とりあえず、こちらのほうをアップしておきます(笑
今回で最終巻だったんですね。
一応、"フットサルマンガ"というカテゴリーではありましたが・・・
本格志向のフットサルマンガというよりは、ひょんなことから、女子アイドルフットサルチームの選手兼コーチとして加入し、そこでのさまざまな出会いや出来事を通じて、"主人公・田丸茜が成長していく姿を描いていく"ほうがメインテーマと言える作品でした。
正直、3巻(の感想は書けませんでしたが)で茜がフットサルアイドルとして芸能人になってしまったときは、どうなることかと思いましたが、プロクラブのレディースに誘われて悩んだりしつつも、最終的には、子供たちにフットサルを教える、指導者としての道に活路を見出していくといった形で、それなりにキレイに話はまとまったかなぁと思います。
茜が指導者としての道を決心させるところは、雅の言葉に後押しされるよりも、茜自身の強い意思でもって決めてほしかったかなぁって気持ちが私の中には残ってしまったのですが、まぁけど、それもまた決断力のない茜らしいところなのかな?(笑
私がどう感じようが、そもそも私は作品のターゲット層ではないでしょうし、茜と同じような境遇の子が何かを感じ取ることができたなら、それでOKなのだと思います。
それよりも、フットサルを通じてつながっていく心の温かみを描く場面が魅力的で・・・
フットサルって楽しいよ♪
と、茜が子供たちに指導するほんわかとした空気感がすごく好きですね。
特に、運動のちょっと苦手そうなマリちゃんが、リフティング50回を達成する場面なんかはすごく良かったです。とにかくそのマリちゃんがかわいすぎるんですよ、マリちゃんが(笑
真剣勝負のフットサルというよりは、楽しく一生懸命にプレーするフットサル。
フットサル描写そのものには、物足りなさを感じてしまいますが(特に茜が高いレベルでプレーしているときは凄さを感じてみたかった)、楽しく一生懸命にプレーする彼女たちの姿を読んでいるとすごくフットサルをしてみたい気持ちにさせてくれる・・・。
わりと気軽に読みやすい作品で、個人的には好きなんですけど、一般男子が本屋で買いにくいのが難点ということでー(笑)、まぁ、興味のある方はチェックしてみてください。隠れた良作ではないかと私は思ってます。
■ 収録
第20話~最終話
Kiss2007年No.20~No.22、2008年No.1~No.3
タグ : あかねSAL☆
『ANGEL VOICE 9』 / 古谷野孝雄
2009.02.10 00:22
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※ネタバレとなり得る要素を含んでいますのでご注意ください
高校サッカー選手権千葉県予選の1次予選を突破し、2次予選を見据え徹底的にフィジカル強化を目的とした合宿に取り組みパワーアップした市蘭のメンバーたち。
9巻では、2次予選、そしてさらにその先の戦いが描かれていくことになります。
※
今回は、サッカーの部分も、『ANGEL VOICE』らしいキャラの成長やドラマを描いた部分も両方楽しめる内容となっています。
まずは、最近プレー中のミスが多く、自信を失ってしまった広能と、練習後、広能のために特訓に付き合う乾とのエピソード。
自暴自棄になる広能には、ちょっとイラッとしていまいましたが、その後はしっかりと成長を見せてくれましたし、何より、優しさを見せる乾のいいヤツぶりがすごく良かった。
また、ふたりの特訓を見守る麻衣の姿も合わせて、とても微笑ましい気持ちになれました。
続いて、次の対戦相手ではないけれど、ノルマであるベスト4入りをかけた大一番の相手は、なんとよりによって天下の船和学院に・・・!
・・・ということで、船学との戦いを見据えたさらなるチームの強化と、そして、船学のエース・古川鷹山(ござる君)と偶然にも出会うことになる主人公・成田信吾のエピソード。
前者は、サッカーの基本的なことも丁寧に描くこの作品の良さとキャラの成長、後者は、敵役とのエピソードもカッコ良く描ける、これまたこの作品の魅力を見ることができます。
成田とござる君の出会いは、半分ギャグ入ってるところもありますが、成田がござる君の正体を知ったときの・・・
「全力で来い!!」
と、言葉をかける場面は、このふたりの再開の時をとても楽しみさせてくれるものでした。
そして、いよいよ始まる決勝トーナメント。
船学と戦う前に、まずは千葉南光を倒さなければならないのですが、これまで戦ってきた土ではなく、芝のピッチに悪戦苦闘する市蘭。
土と芝のピッチの違いをテーマにしたサッカー描写の面白さと、キャラたちが着実に成長しているところを感じられるところが良かったです。
先程の繰り返しになりますが、丁寧なサッカーの描写に、この作品らしいキャラの成長やドラマ、それに加えここぞの場面でギャグで笑わせてくれる・・・
『ANGEL VOICE』の魅力のあらゆる要素が詰め込まれていて、面白く読ませていただきました。
あとは、やっぱり・・・
これもいつも毎回言ってることの繰り返しになってしまいすが、サッカー描写の"動きのある画"に迫力が感じられないのが惜しいところです。
特にミドルシュートというのは、サッカーの中でも豪快かつとても美しいもので、そのあたりの魅力を作画の中でもう少し引き出せたら(ボールの軌道の描き方にもう少し工夫がほしいかなと・・・)、私の中ではほぼパーフェクトな作品なんですけどね・・・。
・・・なんて偉そうなことを書いてしまいましたが(苦笑)、その部分を差し引いても、私にとってはとても魅力的な作品ですし、もっともっと評価されてほしいなぁと願っています。
※
さて、続く10巻は、千葉南光戦のまとめ。
そして、市蘭サッカー部の命運をかけた大一番、船和学院と戦うことになっていきます。
船学と戦う前に描かれる切ないエピソードもあり、ここからより感情移入度が高まっていくであろう市蘭サッカー部をめぐる物語に注目です。
■ 収録
第70話~第78話
週刊少年チャンピオン2008年43号~51号
千葉南光戦、尾上の先制点のところまで収録
タグ : ANGEL-VOICE
『レッズサポのバイブル 赤菱のイレブンⅢ 2008シーズン』 / 古沢優
2009.01.04 21:05
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毎年の恒例行事となった感もある、浦和レッズを題材にした4コママンガ、『赤菱のイレブン』の"ネタのストックがほとんど底をついてしまったため3分の1ほどは描き下ろし"だという(笑)、2008年シーズンを主に描いたシリーズ最新作です。
以前よりも、だいぶ毒は薄れた感はありますが、シリーズファンから見れば、赤菱らしい古沢先生のユーモア溢れた面白さは健在!
私は、ご存知の方も多いと思いますが、Jリーグ開幕当初から浦和レッズを応援しているので(サポと呼べるほどのレベルではないですが)、ときにシャレになってないネタに苦笑いしつつも、楽しく読ませていただきました。
・・・まぁ、今年は成績が成績だっただけに、もうちょっとネタをブラックな方向に振っても良かったのかなって気はしますけどね(爆
すでに年も明け、もう来週チームが始動するので、これを読んで、「あぁ、こんなこともあったね」と、ひと通り振り返るだけ振り返ったら、あとは、フィンケ新監督を迎え、新たなスタートを切る2009年に思いを馳せたいと思います(チームとしての形が見えてくるまで、かなりの苦難が予想されますけどね・・・)。
ネタ的には、昨シーズン、チームで一番飛躍を遂げ、大きな期待を抱かせてくれた、細貝選手が赤菱でも存在感がより増してましたね。五輪代表の半袖ネタは、最高でした(笑
あとは、華々しくラストゲームを飾ったワシントンの影で、ひとり寂しく去っていったネネの姿がすごく切なかったな・・・。
内容が、100%浦和レッズのものなので、読んでくださってるほとんどの方にとっては、ほんっとどうでもいい作品だとは思いますが(ここの読者さんにレッズ好きはどのくらいいるのでしょうか?w)、本当に興味のある方のみ、手にとっていただければと思います(笑
タグ : 赤菱のイレブン