『~サッカー伝説!!~ デビルフットボールキングダム 1』 / 倉谷友也
2010.05.04 22:43
※ネタバレとなりうる要素を含んでいますのでご注意ください
連載の方はまったく追っておらず、この単行本が初見となります。
『デビルフットボールキングダム』1巻を読んだ感想です。
※
主人公の名前は、足音ソナタ。
ソナタは、サッカー部の鬼と呼ばれる、鬼島力男にこの日もいじめられていました。
“魔王の挑戦状”なるものが鬼島の元に届き、それに対しソナタが何かを言ってしまったことが、どうやらその原因となっているようです。
サッカーの魔王!!!
勝負して負けたやつは、
つぶされて必ずチームをやめていくという!!
そんなことが言い伝えられているらしいですが、自分は違う、自分は魔王を倒してやると言う鬼島に対し、今魔王が現れても逃げないんですねと返すソナタ。
さらに当たり前じゃあと言う鬼島に対し、安心したと返すソナタは・・・
自らが、“魔王・ソナタ”であると名乗り、鬼島に勝負を挑もうとします。
いじめて相手の正体が実は魔王だった・・・
まさかの展開に戦いを拒否しようとする鬼島ですが、これまでさんざんいじめてきたソナタは涙を見せ、周囲に勝負をさせるよう仕向けます。
これまで、わざといじめられっ子を演じ、自分をはめたソナタに対して、怒りを滲ませながらも1(ソナタ)vs11(鬼島のチーム)の勝負をけしかける鬼島。
それに対して、魔王・ソナタはどんな実力を見せていくのか・・・といった感じで物語は始まっていきます。
※
作品をざっと読んだ感想としては、掲載誌が別冊コロコロということで、児童向け漫画誌らしい作品だなと思いました。
自らを魔王と名乗るソナタが、魔王らしい(?)、挑発的な言動で周囲を煽り立てる→ちょっとピンチっぽ展開になる→それも魔王の手のひらの中さと言わんばかりに展開ソナタが実力を発揮し活躍→試合終了→何を言っても結局は強いヤツを相手にサッカーを楽しんでいただけさ→器の大きい魔王の言動に魅入られた対戦相手がひれ伏す・・・そういったお約束的な話の展開を楽しんでいく作品かなと思います。それに少年漫画的な熱さが加わったような感じかなと。
サッカーマンガとしては、完全にトンデモ系の作品です。
Sの字を描くようにボールが2度変化する、“魔刻シュート『S(サタン)』”
高く飛び上がり、かかと落としの要領でシュートする、“魔王技・魔王堕とし”など・・・
必殺プレーが多く見られます。
なので、リアリティ路線のサッカー描写の作品が読みたいという方には、お勧めできるものではありません。最初から、そういうものを求めるべきものではないものなので。
「お見通しなんだよ、魔王には」
「もう一度言うぞザコども・・・(以下略」
「ムダだ、もう当たらん」
・・・など、ソナタが魔王キャラになり切る(って、解釈しちゃっていいのかな)ナルシシスティックでちょっとアレなところは、何気に好きだったります(笑
あと、読んでいて思ったのは、この作品にも『キャプテン翼』に対するリスペクトが感じられることでしょうか。
ボールに挑戦状が書かれていたり、相手の技をすぐにコピーしてみちゃったり・・・
これは記事書いてる私もさすがにちょっと強引な解釈の仕方かもと思ってますが、“魔王技S・S(スカイサタン)”という、何かを思い浮かべてしまいそうな必殺プレーがあったりもします。
・・・ということで、作品としては人を選ぶものかなと思いますが、もし内容に興味があれば一度手に取ってみてはいかがでしょうか。
※
さて、続く2巻では、大会のレギュレーションが分からないし、単行本でしか読んでないので先の展開が分からないのですが、予選リーグが終わって、決勝トーナメントということになっていくのでしょうか。
この先、魔王・ソナタがどんなプレーで対戦相手をひれ伏していくのかが気になるところです。
■ 掲載
第1話~第5話
別冊コロコロコミック2009年6月号~2010年2月号
魔王FCvs聖帝FCの試合終了まで収録
タグ : デビルフットボールキングダム
『友まっしぐら 3(完結)』 / 原作:七三太郎 漫画:飛永宏之
2008.03.02 21:47
Amazonおすすめ度:

霊感系サッカーマンガ、『友まっしぐら』の3巻について、発売からだいぶ経過してしまいましたが、完結した作品なので、3巻の感想というよりは、作品の総評といった意味合いが強いですが、簡単に書いていきたいと思います。
まずは、3巻の見どころを簡潔に書きますと、夏の大会地区予選の1回戦の続きで・・・。
主人公・田中友の所属する快進中と、名門クラブを日本一に導いたという、MF・高久敏率いる北川中との対戦のクライマックス・・・作品は完結しますので、すなわち、作品のクライマックスへと向かう展開といったところになります。
霊感によってチャンスやピンチを"察知"して動く、友を中心とした快進中のイレブンと、優れた予測能力により、先の展開を"的確に読んで"プレーする高久との対決が見どころになっていくかと思います。
※
私は、この『友まっしぐら』という作品について・・・
(以下、微妙に3巻のバレ要素あり)
チャンスやピンチとなる箇所が光って見える絶対的な能力を、"霊感"という非常に都合のいいものとして利用し、サッカー描写に組み込んでいこうとする、そのアイデアは斬新で、そのファンタジーな部分と、リアリティの部分、それに、幼稚園児並み運動能力しかない主人公の成長と、チームメイトたちの連携を高めていく、といったあたりのバランスを上手く取っていけば、面白くなるんじゃないかなぁ、面白くなるだけの資質はあるんじゃないかなぁと考えていました。
ですが、連載していたコミックボンボンの休刊が決まり、ストーリーをまとめていく方向へとなっていったためか、最終的には、霊感のインフレ状態と言いますか、ばあちゃんによって友の霊感パワーがさらに引き出され、さらにはさらには、チームメイトたちにまで、霊感が開花してしまうという・・・、霊感の投げ売り状態となってしまいました(^^;
原作の七三太郎先生の実績から考えれば、もう少し長いスパンで作品を描いていける状態であったなら、おそらく、あんなメチャクチャな展開ではなく、もっと全体のバランスが上手く取れて、主人公がじわじわと成長していく過程を読んでいくことができたと思うので、そういう意味では残念な作品だったと言えるかもしれないです。
連載初期の頃にも書いてると思いますが、もっと面白くなれる可能性はあった作品だと思うんだけどなぁ・・・。その片鱗は、確かに存在していたと思ってますが、最終的に3巻をまとめて総評すると、失礼承知の上で書きますが、私の主観では、平均点に届かない作品でしたと、そう結論付けておきます。できれば、ボンボンが休載のない状態で、本当の完結となる部分まで読んでみてから、判断したかったですね。
■ 収録
Mactch No.8~11
コミックボンボン2007年9月号~12月号
最終話まで収録
タグ : 友まっしぐら
『友まっしぐら 2』 / 原作:七三太郎 漫画:飛永宏之
2007.10.09 22:42
霊感系サッカーマンガ、『友まっしぐら』の2巻のレビューです。
紅白戦で霊感を生かしたプレーを連発し、チームメイトたちもその存在を信じざるを得なくなった状況の中、キャプテンは、その確証を得るべく、PK3本すべて止めればレギュラーの座を約束する(止められなければずっと補欠)という条件で、主人公の友は勝負をすることになります。
友はいかにして、PKを止めるのか?
結局は、最後のPKは入れられてしまうのですが、友の霊感の存在を確信したキャプテンは、友をレギュラーに抜擢。そして、友の霊感を軸に大会に向けてチーム作りをしていきます・・・。
しかし、友自身が成長し、パス出しのタイミングやスピードも上がっているため、紅白戦のときのようにパスが通らず、また練習が厳しいというのもあり、チーム内に険悪なムードが漂い始めます。
そこからいかにして、チームがまとまり始めていくのか?
そして、いよいよ大会が始まっていきます。
相手の全体レベルは決して高くはないものの、Jリーグの下部組織出身でU-15世代では県内ナンバーワンMF・高久敏がなぜか所属していて・・・
「サッカーは科学だ ちゃかすやつは許さない」
と、霊感を使う友の存在に不快感を示す高久と友のやりとりと、試合序盤の展開。
大体、このあたりが見どころになってくるでしょうか。
3巻に向けては、連載の方は全然チェックしてないので分からないのですが、霊感によってチャンスとなるスペースやピンチになるポイントを見つける友たちに対して、霊感を使わずとも試合全体の流れを的確に読みチームをコントロールする高久。
この両者のぶつかり合いが、さらに激しさを増してくという感じになっていきそうです。
※
"霊感系サッカー"というキーワードを除けば、"努力・友情・勝利"という、オーソドックスなタイプの少年マンガだと思います。七三太郎先生の作風(キャラのセリフの言い回しなど)は苦手だといつも書いてますけど(笑)、少年マンガとして安心して読める安定感はありますね。
その中に垣間見えるサッカー的な面白さ、"友の霊感というのを上手くサッカーの面白さに変換できれば・・・"という1巻のレビューに書いた、個人的な注目ポイントについては、もう少し読んでから結論付けたいですが・・・
複数のチームメイトが、同時に霊感をキャッチし、"わかった!"となるところまではいいのですが、そこからゴールにつながるまでのプレー(または演出)に、すごく主観的で感覚的な言い方しかできなくて申し訳ないんですが、私的にワクワク感が足りないかなぁと。
雑ではないけど、どこか手抜きっぽさのある作画の影響もあるのかもしれませんが、サッカー描写にもっとこだわりがあれば、もっと面白くなれるような気がします。決して、悪いわけではないのですが、もう一味何かがほしいといったところでしょうか。
ストーリーの方向性としては、今の路線でいいと思います。
霊感を駆使した超絶バトルマンガというパターンも読んでみたかった気もしますが、それは七三太郎先生原作の作品に求めるところではないですからね(笑
※
主人公の友は、良くも悪くも、特にサッカーに対してバカ正直で、見ていて結構面白い。 ありきたりのことですが、名言もあったりして・・・
友の"霊感パス(笑)"は、イメージ的にはかつての中田英ぐらい、厳しいコースへパスを出すのですが(いや、作中見てるとそれ以上に鬼かもしれないw)、そのパスが全然通らず、味方の足元に簡単なパスを出せと友のせいでポジションをDFに下げられてしまった先輩が怒りをあらわにするのですが、それに対して友の発言は・・・
「パスばっかつなげてても点取れませんよ」
と、先輩の怒り炎に油を注ぐようなことを言ってみたり、1巻でも、試合中ミスを繰り返す、誰よりもド下手な友が、周囲の空気を読まずに・・・
「サッカーはミスの連続のゲームですよ
みんなミスせず進んだら全部ゴールになっちゃうでしょ」
(さらに、"気にしない気にしない"の書き文字もあり)
と言い放ち周囲を唖然とさせたりなど、思わず、"お前が言うんじゃねぇーーー!"とツッコまずにはいられなくなる発言は、この作品の隠れた見どころなのかもしれません(笑
※
全然まとなりのない文章となってしまいましたが、コミック3巻は今冬発売とのことで、すでに休刊が決まっている少年ボンボンですが、果たして作品の行方はどうなるのか、気になるところです。
"休刊=連載終了"となるなら、3巻で完結ということになるはずですが、個人的にはもうちょっと先を読んでみたいところなので(かといって"霊感サッカー"で代表編というのは逆に見たくないですがw)、新雑誌に移籍できればいいなぁと思います。
■ 掲載
Match No.4~No.7
月刊コミックボンボン2007年5月号~8月号
大会初戦、vs北川中前半先制点が入るところまで掲載
タグ : 友まっしぐら
『友まっしぐら 1』 / 原作:七三太郎 漫画:飛永宏之
2007.08.10 10:02
コミックの発売から1ヶ月以上が経過してしまいましたが・・・(^^;
"霊感系サッカーマンガ"、『友まっしぐら』の1巻のレビューです。
"霊感系"とは言っても、"霊力を駆使した超絶サッカーバトル(意味不明)"的なトンデモ路線ではなく、決定的チャンスを生み出しそうなスペースや、相手が打ってくるシュートコースなどが、霊感によってそのポイントが光って見えるというもので、確かにオカルト的ではありますが、基本的なサッカー描写そのものはわりと普通(選手のポジショニングなど、多少気になる部分はありますが・・・)。
サッカーは大好きだけど、トラップもろくにできない幼稚園児並のレベルの主人公・田中友が、霊媒師だった祖母が田舎から訪問してきたことをきっかけに、友の霊感も本格的に覚醒し(それまでは、単に勘がいいって感じだった)、その"霊感"を活かして、試合で活躍を見せていくというのがおおまかなストーリーです。
一流プレイヤーが持ち合わせているような感覚的なものを、"霊感"ということで表現し、サッカーが下手な少年にその能力を持たせるという設定に、1話目を読んだときは斬新で(自分の本流は少々違った意味でですが)面白いと思っていましたけど、作品の総合的な評価というのは、今のところは何ともいえないかなぁって感じです(参照:『友まっしぐら』1話目の雑感記事)。
その設定を活かして、今後どんな展開にしていくか次第となっていくでしょう。
友の霊感というのを上手くサッカーの面白さに変換できれば、友の感知したスペースを味方の選手たちと共有して、"人とボールがキレイに連動している感"が作中でもっと表現できれば、自分好みにはなるかな~と思ってますが、それは、ちょっと期待値が高すぎるかも。
この先どうなっていくのか、現在は連載の方はチェックしてないので、それは、コミック2巻(10月発売予定)を読んで確かめてみたいと思います。
そういえば、コミックボンボンは、12月号を最後に休刊してしまうとのことなので、この作品の行方も気になるところです。
■ 掲載
Match No.1~Match No.3
コミックボンボン2007年2月号~4月号
レギュラーをかけたPK対決の直前のシーンまで収録
タグ : 友まっしぐら